第一章 眼を眩ますは浅葱色
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“恋人である峯義孝が死んだ”
それはいつもと同じ夜だった。
ただ、このところの峯は以前にもまして思いつめることが多くなっていた。
恋人という間柄になっても、彼はどこか儚く、いつか自分の前からふらりと姿を消してしまうのではないかと感じていた。
そんな予感が、本当に現実になってしまうなんて。
『もしもし……義孝さん、今お時間大丈夫ですか?』
なんとなく冷たい夜風が嫌な予感を掻き立てて、家につくことを待たずして道端で電話を掛けた。
数回コールを挟んだ後に繋がった彼との電話は、たったの数度しか言葉を交わすことが出来なかった。
電話に出た峯は、いつもの低く抑揚がない声とは打って変わって、酷くかすれ息も絶え絶えの様子だった。
胸騒ぎが的中してしまったことに状況もわからないまま冷や汗ばかりが流れ、必死に峯の状態を案じた。
こちらが焦れば焦るほど、何故か穏やかになっていく峯の声に胸が張り裂けそうになった。
『名前、おまえがずっと……』
峯が何か自分にそう言おうとしたが、そこで音声は途切れてしまった。
画面を確認するが、電話は繋がったままだ。
何かあったのかと必死に耳を足当てながら呼びかけると、銃声が耳をつんざいた。
その銃声は複数回に及んだ。
状況が理解できず、ただ震えることしかできない。
これでもかと耳につけられた携帯電話からは何か会話のような音は聞こえるものの、誰が何を話しているのかはまったく聞き取れない状況にもどかしさと焦りばかりだけが募る。
結果、最後に聞こえたのは眠っているはずの大吾が、峯の名前を強く叫ぶ声だった。
通話はそこで終了してしまった。
何度掛けなおしても、機械的な音声が流れるばかりで相手の携帯に繋げられないことを伝えられるばかりだ。
ますます足が震え、息も浅くなっていく。
___最後に峯の名前を呼んでいたのは間違いなく大吾だ。
彼は病院で意識不明のままのはずだが、幼馴染で誰よりも傍にいた彼の声を聞き間違えることはない自信が名前にはあった。
震える身体を無理やり動かし、嫌な予想はすべて外れてくれとひたすら大吾の入院する病院まで走り抜いた。
そこにあったのは、電池切れの峯の携帯と目を覚ました大吾とそれを支える桐生。
肝心な恋人の姿はどこにも見当たらなくて、酷い眩暈に襲われながらなんとか大吾に峯のことを尋ねた。
「……峯は、死んだ」
深く、憔悴した声で唱えられたその言葉。
目の前があっという間に暗く冷たいものになっていく。
大吾の痛々しいくらいの悲しみと悔しさの表情から、全てが現実だと警報を鳴らしている。
その日から名前は、生きる意味を失ったのだ。
それはいつもと同じ夜だった。
ただ、このところの峯は以前にもまして思いつめることが多くなっていた。
恋人という間柄になっても、彼はどこか儚く、いつか自分の前からふらりと姿を消してしまうのではないかと感じていた。
そんな予感が、本当に現実になってしまうなんて。
『もしもし……義孝さん、今お時間大丈夫ですか?』
なんとなく冷たい夜風が嫌な予感を掻き立てて、家につくことを待たずして道端で電話を掛けた。
数回コールを挟んだ後に繋がった彼との電話は、たったの数度しか言葉を交わすことが出来なかった。
電話に出た峯は、いつもの低く抑揚がない声とは打って変わって、酷くかすれ息も絶え絶えの様子だった。
胸騒ぎが的中してしまったことに状況もわからないまま冷や汗ばかりが流れ、必死に峯の状態を案じた。
こちらが焦れば焦るほど、何故か穏やかになっていく峯の声に胸が張り裂けそうになった。
『名前、おまえがずっと……』
峯が何か自分にそう言おうとしたが、そこで音声は途切れてしまった。
画面を確認するが、電話は繋がったままだ。
何かあったのかと必死に耳を足当てながら呼びかけると、銃声が耳をつんざいた。
その銃声は複数回に及んだ。
状況が理解できず、ただ震えることしかできない。
これでもかと耳につけられた携帯電話からは何か会話のような音は聞こえるものの、誰が何を話しているのかはまったく聞き取れない状況にもどかしさと焦りばかりだけが募る。
結果、最後に聞こえたのは眠っているはずの大吾が、峯の名前を強く叫ぶ声だった。
通話はそこで終了してしまった。
何度掛けなおしても、機械的な音声が流れるばかりで相手の携帯に繋げられないことを伝えられるばかりだ。
ますます足が震え、息も浅くなっていく。
___最後に峯の名前を呼んでいたのは間違いなく大吾だ。
彼は病院で意識不明のままのはずだが、幼馴染で誰よりも傍にいた彼の声を聞き間違えることはない自信が名前にはあった。
震える身体を無理やり動かし、嫌な予想はすべて外れてくれとひたすら大吾の入院する病院まで走り抜いた。
そこにあったのは、電池切れの峯の携帯と目を覚ました大吾とそれを支える桐生。
肝心な恋人の姿はどこにも見当たらなくて、酷い眩暈に襲われながらなんとか大吾に峯のことを尋ねた。
「……峯は、死んだ」
深く、憔悴した声で唱えられたその言葉。
目の前があっという間に暗く冷たいものになっていく。
大吾の痛々しいくらいの悲しみと悔しさの表情から、全てが現実だと警報を鳴らしている。
その日から名前は、生きる意味を失ったのだ。
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