俺は1人になると女々しく涙を流すことが習慣となってしまった。きっと極道のくせに人間くさくうつだったと思う。取り留めのないものに触れるときでさえゆみ、お前を思い出す。俺は呪われてた。解決策のない広大な死の海に俺は飲み込まれ溺れた。何度も思った。あの時死んだのがゆみじゃなくて俺だったら。この世界は変わっていただろうか。この世界はお前のために存在するんやゆみ。すまん。すまん。赦してくれ。何も出来なかった俺を。

時計の針が1時を指そうとしていた。そうや、今日はサンドラが彼女…もとい事務員を連れてくるんやな。まったくサンドラのやつ、公私混同しよって。まああいつが機嫌がいいようで何よりやわ。さあ、いつまでも辛気臭い顔しとっても「親父」として示しがつかんからな。

「噛みました、すみません！」

俺が望んだ愛した人がそこに佇んでいた。俺が全ての愛を注いだかけがえのない優しいヒトが俺の目に映る。