本編


 槇原と獅山は無事に成仏した。魂の消滅は免れることができたのだ。

 あのあと、間口は負の感情が暴走して優朴に切られたらしい。本当は対話で成仏させたいところだったが、雪の幸せを願うほど愛してた間口が、槇原にふられて正気を保てるわけがない。きっと、今回の件は二人が成仏する方法はなかったのだ。
  
 翌日になり。今日の宿り心監獄は静かだった。俺は、看守長室にはいる。看守長に、昨日の件の報告書を届けに来たのだ。

 看守長室には看守長と夢路がいた。
 
 「夢路、これから来る魂の資料は棚にあって、もうすでに来てる魂の資料は床。このあたり」

「なるほど……」
  
「槇原の資料は棚にあったでしょ? その時は槇原はまだ来てなかったから、そこにあったんだよ」

「たしかに……」
 
 看守長が指を指しながら書類の場所を説明している。夢路は必死にメモをとっていた。

「夢路が場所を覚えるより、看守長が部屋を片した方が早いぞ」

 荒れ果てた看守長室をみながら、俺は言った。

「看守長、どこに誰の資料があるか、わかりやすくしてくれ。あと、報告・連絡・相談もしっかりしてくれ。出掛けるときは引き継ぎを……」

「はーい」

 返事はするが、看守長は唇を尖らせている。ただでさえ童顔なのに、こんな態度をとられると子どもにしか見えない。

 俺が呆れたようにため息をつくと、看守長は今度は頬を膨らませる。そして、彼女はそのまま自分の机に移動した。

 看守長は机に向きながら、ひとつの資料をみた。しばらくそれを見つめている。

 そして、それを見終わった頃。彼女はにたりと笑みをこぼしながら、俺たちの方を向いた。

「今から、新しい魂が来るって」

 今日も俺たちは、この宿り心監獄で働くのであった。
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