case1 洛首神社のおまじない


 私は鬼である。

この世に生を成し千五百年ほどとなるが、何を成し遂げるというわけでなく、だらだらと何もしない日々を過ごしてきた。

これも、生まれついて持つ怠惰な性格からなるものである。

どこかへ行こうという気力もなく、誰かと交わろうとする積極性もなく、何かを成し遂げようという目標もなく。

ただただ、だらだらとここまで来てしまった。

平安の世は山にこもり、鎌倉の世も山にこもる。室町も戦国も山にこもり続けた。江戸の世になるとさすがに山から出て、街で生活するようにはなったが、これといった定職につかず、都会の喧騒のなかに潜みつづけた。

 本当になにもしなかった。なにもなかった。

争いが起きようと、天災が起きようと、私はひたすら怠惰な日々を送り続けた。

これからも、こもり続ける――

 はずだった。今までは。

 時は令和。この時代の日本は比較的平和な世であった。
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