本編
家に帰って生徒会長の件、両親に相談したら「いいんじゃない?」「好きにしなさい」という軽い回答をもらった。縁談のことは口うるさく言われるが、ここに関しての反応はあっさりしていた。
とはいえ、好きにしろという言質を貰ったので、好きにさせてもらうことにしよう。
もちろん、フィオナにもこのことは告げた。
「すごいじゃん!」
フィオナの第一声はそんなものだった。まるで自分のことのように喜んでくれた。
「それで生徒会長、引き受けるの?」
キラキラと目を輝かせながら、私の顔を覗き込む。
「うん、引き受けようかな……」
生徒会長という立場は私にとって、メリットしかない。将来、魔道士になるにしろ結婚するにしろ、どういう未来になるにしても、生徒会長という立場は私にとって大きな武器になる。
それに、誰かに頼られるのは普通に嬉しい。今までコツコツと頑張ってたことが認められたのはとても嬉しい。
……ふと、頭によぎったのはエドワードのことだ。エドワードは先日、自分が生徒会長になる気満々であった。私が生徒会長になったら、少しめんどくさいことになる。
とはいえ、エドワードが生徒会長になれないのは本人の努力不足だ。誰の目から見ても明らかに怠けていた自分自身のせいである。そこに配慮する必要はないだろう。
「オリヴィアが生徒会長なら、この学校も、もっといい学校になるね」
穏やかな笑みを浮かべるフィオナ。フィオナの金色の美しい髪の毛がふわりと風に揺れる。
今、私たちはピクニックをしていた。授業が終わって、街に向かって、パンを買って、公園に向かった。
やってきたのは自然豊かな公園であった。ベンチに座って、買ってきたいくつものパンを広げる。
今日は冬にしては暖かかった。青空が私たちの頭上に広がり、陽の光がポカポカと私たちを温める。
私は木いちごのパンをぱくりとかぶりついた。
「本当にここのパン、おいしい」
「でしょう? 」
「ええ。生地がふっくらとしてるわ。木いちごの酸味も際立ってておいしい」
「一緒に食べたかったんだ。お気に入りなんだ」
しばらくして、パンを食べ終わる。それでも私たちの他愛ない話は止まらなかった。
「そういえば、あのパン屋の隣の仕立て屋素敵だったわね」
「そうだね。オリヴィアが着たら似合うんだろうな……」
「フィオナの方が似合うわよ。そういえば、リーアン・ルィッツの新作出てたわね」
「ああ、すでに買ったよ。読む?」
普段の日常会話。彼女といると、本当に居心地がいい。本当に楽しい。
彼女との関わりは、癒しだった。
しばらくしてベンチから離れ、公園内を散歩することとなった。小川のほとりをゆっくりと歩く。キラキラと輝く川は澄み渡っており、底の砂利まではっきりと見えた。小魚が泳いでいるのが見える。
「綺麗な川ね」
「そうだね。学園の周りにこんな綺麗な水があるなんて」
「夏になったら、ここで川遊びしましょう」
「そうだね」
そんな話を続けていた、刹那──
ドクン──
「あ、あれ……?」
何が起こったのか分からない。
思わず、フィオナにもたれ掛かった。「大丈夫?」という、フィオナの怪訝な声が聞こえた。
ドクン──ドクン──
ドクン──ドクン──
心臓がいきなり大きく脈打つ。
熱い。
熱い。
熱い。
心臓から炎が発したかのようだった。
苦しい。
つらい。
なんで……?
私は手で胸を押え、私はくずれおちた。つらすぎて、涙がこぼれ落ちる。
「オリヴィア!? オリヴィア!?」
フィオナが私の肩を抱く。そして、大きく揺する。
頭が痛い。
ドンドンと頭を叩かれるような痛みである。
どこからともなく光がやってきて、私の体を覆う。私が立っている地面に、魔法陣のようなものが浮かび上がった。私が見たものでは無い。学園でも見たことの無い魔法陣であった。血のように赤くおどろおどろしい色の魔法陣である。
魔法がかけられたのか……?
なんでいきなり……?
でも、なんの魔法がかけられたか分からない。
私は必死に抵抗する。自分の身体を守るようにして、自分の体にやどる魔力を一気に放出する。私だって、魔法一族モルセット家の一員なんだ。できるはず。
たえろ。
たえろ。
たえろ。
たえるんだ。
どれくらい耐えたのかわからない。どれくらい苦しんだのか分からない。
ふわっと。一瞬体が楽になった。それは一瞬だった。すぐに燃えるような痛みが再発する。
さっき、自分でもどのように魔力を放出したか分からない。魔力を使ってどのような魔法を使ったか、自分でも分からない。
でも、この感覚を続ければ……この魔力放出をつづければ……この正体不明の魔法をかけ続ければ……
楽になるかも──
ひたすら、魔力を放出させる。自分でも分からない魔法を自分にかけ続ける。
燃えるような痛みが、身体を覆った。今まで感じたことの無い痛みであった。
「んぁあっ!」
おもわず、声が出てしまった。朧気ながら、フィオナの心配する声が聞こえる。
しばらくして。私の意識がだんだんと遠くなる。だんだんと目の前が暗くなる。
そして、私の意識はゆっくりと落ちていった──
とはいえ、好きにしろという言質を貰ったので、好きにさせてもらうことにしよう。
もちろん、フィオナにもこのことは告げた。
「すごいじゃん!」
フィオナの第一声はそんなものだった。まるで自分のことのように喜んでくれた。
「それで生徒会長、引き受けるの?」
キラキラと目を輝かせながら、私の顔を覗き込む。
「うん、引き受けようかな……」
生徒会長という立場は私にとって、メリットしかない。将来、魔道士になるにしろ結婚するにしろ、どういう未来になるにしても、生徒会長という立場は私にとって大きな武器になる。
それに、誰かに頼られるのは普通に嬉しい。今までコツコツと頑張ってたことが認められたのはとても嬉しい。
……ふと、頭によぎったのはエドワードのことだ。エドワードは先日、自分が生徒会長になる気満々であった。私が生徒会長になったら、少しめんどくさいことになる。
とはいえ、エドワードが生徒会長になれないのは本人の努力不足だ。誰の目から見ても明らかに怠けていた自分自身のせいである。そこに配慮する必要はないだろう。
「オリヴィアが生徒会長なら、この学校も、もっといい学校になるね」
穏やかな笑みを浮かべるフィオナ。フィオナの金色の美しい髪の毛がふわりと風に揺れる。
今、私たちはピクニックをしていた。授業が終わって、街に向かって、パンを買って、公園に向かった。
やってきたのは自然豊かな公園であった。ベンチに座って、買ってきたいくつものパンを広げる。
今日は冬にしては暖かかった。青空が私たちの頭上に広がり、陽の光がポカポカと私たちを温める。
私は木いちごのパンをぱくりとかぶりついた。
「本当にここのパン、おいしい」
「でしょう? 」
「ええ。生地がふっくらとしてるわ。木いちごの酸味も際立ってておいしい」
「一緒に食べたかったんだ。お気に入りなんだ」
しばらくして、パンを食べ終わる。それでも私たちの他愛ない話は止まらなかった。
「そういえば、あのパン屋の隣の仕立て屋素敵だったわね」
「そうだね。オリヴィアが着たら似合うんだろうな……」
「フィオナの方が似合うわよ。そういえば、リーアン・ルィッツの新作出てたわね」
「ああ、すでに買ったよ。読む?」
普段の日常会話。彼女といると、本当に居心地がいい。本当に楽しい。
彼女との関わりは、癒しだった。
しばらくしてベンチから離れ、公園内を散歩することとなった。小川のほとりをゆっくりと歩く。キラキラと輝く川は澄み渡っており、底の砂利まではっきりと見えた。小魚が泳いでいるのが見える。
「綺麗な川ね」
「そうだね。学園の周りにこんな綺麗な水があるなんて」
「夏になったら、ここで川遊びしましょう」
「そうだね」
そんな話を続けていた、刹那──
ドクン──
「あ、あれ……?」
何が起こったのか分からない。
思わず、フィオナにもたれ掛かった。「大丈夫?」という、フィオナの怪訝な声が聞こえた。
ドクン──ドクン──
ドクン──ドクン──
心臓がいきなり大きく脈打つ。
熱い。
熱い。
熱い。
心臓から炎が発したかのようだった。
苦しい。
つらい。
なんで……?
私は手で胸を押え、私はくずれおちた。つらすぎて、涙がこぼれ落ちる。
「オリヴィア!? オリヴィア!?」
フィオナが私の肩を抱く。そして、大きく揺する。
頭が痛い。
ドンドンと頭を叩かれるような痛みである。
どこからともなく光がやってきて、私の体を覆う。私が立っている地面に、魔法陣のようなものが浮かび上がった。私が見たものでは無い。学園でも見たことの無い魔法陣であった。血のように赤くおどろおどろしい色の魔法陣である。
魔法がかけられたのか……?
なんでいきなり……?
でも、なんの魔法がかけられたか分からない。
私は必死に抵抗する。自分の身体を守るようにして、自分の体にやどる魔力を一気に放出する。私だって、魔法一族モルセット家の一員なんだ。できるはず。
たえろ。
たえろ。
たえろ。
たえるんだ。
どれくらい耐えたのかわからない。どれくらい苦しんだのか分からない。
ふわっと。一瞬体が楽になった。それは一瞬だった。すぐに燃えるような痛みが再発する。
さっき、自分でもどのように魔力を放出したか分からない。魔力を使ってどのような魔法を使ったか、自分でも分からない。
でも、この感覚を続ければ……この魔力放出をつづければ……この正体不明の魔法をかけ続ければ……
楽になるかも──
ひたすら、魔力を放出させる。自分でも分からない魔法を自分にかけ続ける。
燃えるような痛みが、身体を覆った。今まで感じたことの無い痛みであった。
「んぁあっ!」
おもわず、声が出てしまった。朧気ながら、フィオナの心配する声が聞こえる。
しばらくして。私の意識がだんだんと遠くなる。だんだんと目の前が暗くなる。
そして、私の意識はゆっくりと落ちていった──
