本編
私、フィーリオ・デル・リアンは現在、王立マルザール学園に潜入捜査している。なぜか、女の姿で。
異世界転移魔法が頻繁に行われていることが発覚したのは、数ヶ月前のことだった。俺の臣下であるレナード・モルセットが異常を察知したのが事の発端だった。
レナードはモルセット家の跡取りということもあり、優秀な魔道士だ。今では父であるエリックをも超え、この国1の魔道士だと言っても過言ではない。
そんな彼がこの異常を察したのだ。異世界転移魔法は禁忌である。しかも、それが何度も何度も起こっているらしいのだ。
すぐに極秘の少数精鋭の対策部隊がつくられた。
異世界転移魔法には相当の魔力と技術を要する。そんな簡単に使えるものでは無い。そのため、問題の発生源である可能性の高い中枢のエリート魔道士たちと研究機関でもある王立マルザール学園の調査を中心に捜査を進めている。
魔道士たちの調査に関しては、私の臣下であるアラン・フィリンスが潜入捜査を行っており、私は学園で潜入捜査を行っている。レナードには探知魔法の強化をしてもらいつつ、可能性は低いが王都外の調査をおこなってもらっている。
なお、現段階では「異世界転移魔法が利用されてる」という確信を得たところまでしか調査は進んでない。何が転移されてるのか、どのようにして転移されているのかについてはさっぱり分からない。よっぽどの手練魔法使いが術師なのだと思われる。
女の姿であるのは、レナードの助言によるものだ。女の姿で、オリヴィアと繋がった方がいいという言葉のもとである。
学園にいる限りは誰が味方か分からない。しかし、レナードの身内であり、正義感の強い芯のある女性であるオリヴィアの異世界転移魔法の関与の可能性は低い。オリヴィアと友だちごっこすれば、学園に馴染むことができるとのレナードの言葉を信じ、この格好でいる。
……今思えば、レナードが面白がってるだけの可能性もぬぐえないが。
普段の生活のカモフラージュとして彼女に近づくだけ──はずだった。
今では彼女といるのが楽しくてたまらない。
実は彼女とは元々面識はあった。とはいえ、舞踏会の挨拶程度だ。オリヴィアは自分から話しかけるのは得意ではなく、私も他の参加者の挨拶をしていたため話し合う余裕はなかった。
でも、とても綺麗な女性であるというのが当時からの印象である。
彼女はレナードと同じく、銀色の髪にアメジストの瞳を携えている。銀色の髪は綺麗な直毛で、腰ほどの長さがあり、まるで銀色の川のようだ。
顔の造形もとても整っている。ぱっちりとした瞳にすっと通った鼻筋、頬はほどよくふっくらとしている。美人とも可愛いともいえる、絶世の美少女であった。どこか庇護欲を感じさせるあどけなさも持ち合わせ、思わず見とれてしまったのを覚えている。
そんな彼女であったが、すでに婚約者がいた。エドワード・フィリンス。自分の臣下のアランの弟だ。
少し残念に思った。
もしかしたら、婚約者がなかったらあの時もう少し積極的に彼女と話したのかもしれない。
さて、彼女との学校生活がはじまった。下心は少しはあったが、彼女の性格は露知らず見た目だけの評価だったので、最初は学校生活のカモフラージュ以外の関わりはないと思っていた。
しかし、彼女とは趣味が合う。
好きな本も似てる。
好きな場所も同じ。
好きな食べ物も似てる。
趣味がチェスというのも同じ。
トランプで遊ぶのが好きなのも同じ。
興味関心もよく似てる。
興味関心が強い性格も似てる。
話してて、楽しくて楽しくて。潜入捜査で浮かれるのは良くないことであると分かっているが、毎日が楽しい。
彼女が笑う姿も、冗談をいう姿も可愛い。見た目だけじゃなくて、性格も可愛いのだ。
手に入ればいいのに。エドワードじゃなくて、自分を選べばいいのに。
何度もそう思った。
そんな中、あの事件が起きた。クリスマスパーティーでの婚約破棄事件である。
彼女は弱音を吐かないが、噂に晒され疲れているのが見て取れた。
婚約破棄されたから自分が彼女と……とも思ったが、彼女は今は恋愛をする気分ではないようで。
自分が入る余地はない。
エドワードが憎くて憎くて仕方ない。こんなやさしくて可愛くて賢い子が手に入る状態だったのに。自分が手に入れられないものが手に入れられてたのに。
今の自分にできることは、異世界転移魔法の事件解決することだけである。そして、彼女を守ることである。
「あなたが男性だったら、私あなたと結婚したいわ」
……彼女の言った その言葉が冗談じゃなくて、本当だったらいいのに。
異世界転移魔法が頻繁に行われていることが発覚したのは、数ヶ月前のことだった。俺の臣下であるレナード・モルセットが異常を察知したのが事の発端だった。
レナードはモルセット家の跡取りということもあり、優秀な魔道士だ。今では父であるエリックをも超え、この国1の魔道士だと言っても過言ではない。
そんな彼がこの異常を察したのだ。異世界転移魔法は禁忌である。しかも、それが何度も何度も起こっているらしいのだ。
すぐに極秘の少数精鋭の対策部隊がつくられた。
異世界転移魔法には相当の魔力と技術を要する。そんな簡単に使えるものでは無い。そのため、問題の発生源である可能性の高い中枢のエリート魔道士たちと研究機関でもある王立マルザール学園の調査を中心に捜査を進めている。
魔道士たちの調査に関しては、私の臣下であるアラン・フィリンスが潜入捜査を行っており、私は学園で潜入捜査を行っている。レナードには探知魔法の強化をしてもらいつつ、可能性は低いが王都外の調査をおこなってもらっている。
なお、現段階では「異世界転移魔法が利用されてる」という確信を得たところまでしか調査は進んでない。何が転移されてるのか、どのようにして転移されているのかについてはさっぱり分からない。よっぽどの手練魔法使いが術師なのだと思われる。
女の姿であるのは、レナードの助言によるものだ。女の姿で、オリヴィアと繋がった方がいいという言葉のもとである。
学園にいる限りは誰が味方か分からない。しかし、レナードの身内であり、正義感の強い芯のある女性であるオリヴィアの異世界転移魔法の関与の可能性は低い。オリヴィアと友だちごっこすれば、学園に馴染むことができるとのレナードの言葉を信じ、この格好でいる。
……今思えば、レナードが面白がってるだけの可能性もぬぐえないが。
普段の生活のカモフラージュとして彼女に近づくだけ──はずだった。
今では彼女といるのが楽しくてたまらない。
実は彼女とは元々面識はあった。とはいえ、舞踏会の挨拶程度だ。オリヴィアは自分から話しかけるのは得意ではなく、私も他の参加者の挨拶をしていたため話し合う余裕はなかった。
でも、とても綺麗な女性であるというのが当時からの印象である。
彼女はレナードと同じく、銀色の髪にアメジストの瞳を携えている。銀色の髪は綺麗な直毛で、腰ほどの長さがあり、まるで銀色の川のようだ。
顔の造形もとても整っている。ぱっちりとした瞳にすっと通った鼻筋、頬はほどよくふっくらとしている。美人とも可愛いともいえる、絶世の美少女であった。どこか庇護欲を感じさせるあどけなさも持ち合わせ、思わず見とれてしまったのを覚えている。
そんな彼女であったが、すでに婚約者がいた。エドワード・フィリンス。自分の臣下のアランの弟だ。
少し残念に思った。
もしかしたら、婚約者がなかったらあの時もう少し積極的に彼女と話したのかもしれない。
さて、彼女との学校生活がはじまった。下心は少しはあったが、彼女の性格は露知らず見た目だけの評価だったので、最初は学校生活のカモフラージュ以外の関わりはないと思っていた。
しかし、彼女とは趣味が合う。
好きな本も似てる。
好きな場所も同じ。
好きな食べ物も似てる。
趣味がチェスというのも同じ。
トランプで遊ぶのが好きなのも同じ。
興味関心もよく似てる。
興味関心が強い性格も似てる。
話してて、楽しくて楽しくて。潜入捜査で浮かれるのは良くないことであると分かっているが、毎日が楽しい。
彼女が笑う姿も、冗談をいう姿も可愛い。見た目だけじゃなくて、性格も可愛いのだ。
手に入ればいいのに。エドワードじゃなくて、自分を選べばいいのに。
何度もそう思った。
そんな中、あの事件が起きた。クリスマスパーティーでの婚約破棄事件である。
彼女は弱音を吐かないが、噂に晒され疲れているのが見て取れた。
婚約破棄されたから自分が彼女と……とも思ったが、彼女は今は恋愛をする気分ではないようで。
自分が入る余地はない。
エドワードが憎くて憎くて仕方ない。こんなやさしくて可愛くて賢い子が手に入る状態だったのに。自分が手に入れられないものが手に入れられてたのに。
今の自分にできることは、異世界転移魔法の事件解決することだけである。そして、彼女を守ることである。
「あなたが男性だったら、私あなたと結婚したいわ」
……彼女の言った その言葉が冗談じゃなくて、本当だったらいいのに。
