君に捧げる10の願い


03.届かなくていいから、だけど消えないで



学校も違う。


家の場所も遠い。


おまけに年も違う。


共通点はテニスだけ。


………それでも。





───貴方が好きです。





『あ!長太郎だっ♪』


「……っえ?…き、菊丸さん?………と、桃城…。」


「よっ♪」



驚いた。まさかこんなところで逢うなんて。
………しかも、桃城と一緒。



「どうしたんですか?こんなところで。」


『えへへ♪デートだよんっ♪』



わかりきったことだったけど、聞いてみた。

すると、やはり予想通りの答えと幸せそうな笑顔。



──…すごく、苦しい。



俺がこの人のことを好きだと気付いたときはもう既に2人は付き合っていた。


何度も忘れようとした。


………けど、忘れられなかった。



けれどあの人を困らせることはしたくないから。



………言えない。



『じゃあ、俺達行くね!バイバイ、長太郎♪』


「あっ…はい。さようなら。2人とも」



言いかけた言葉を必死で飲み込む。



届かない想い。



伝えられないのならせめて、





「好きでいること、許してください…」



【…END…】
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