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*2009/09/02~
[文化祭。/青学菊]
「いらっしゃいませ!」
本日青春学園文化祭。
だだでさえ騒がしい中、一際騒がしい場所の中心で客に笑顔を振り撒く青学のアイドル。
「ちょっと!こんなの僕聞いてないんだけど!」
「当たり前だ!言っていないからな!」
「乾…、君って奴は本当に勝手だね!」
「不二にだけは言われたくないな!」
そして言い争う青学の天才とデータマン。
「まあまあ…そこら辺にしたらどうだ?」
「「大石は黙ってて!」」
少しでも場を落ち着けようとしたもののことごとく失敗に終わってしまった。
そもそも何故ここまで収集つかない事態に陥っているかというと、
「…はぁ、いいじゃないっスか。メイド服くらい。」
そう、メイド服である。
何せ文化祭なのだから、メイド服があること自体は何ら不思議ではないが、今2人の言い争いの原因はそこではなかった。
「何にもわかってないね越前は!……とにかく!何で僕の英二が僕以外の人の前で着なくちゃならないの!?」
「英二がメイド服を着ることによって大幅に売上があがるんだよ!っていうか英二は不二のじゃないだろ!」
「まあまあ、もう始まっちゃったんだし…」
「「だから黙ってて!」」
本格的に頭を悩ませ始めた大石を気遣いながら、河村も2人に声を掛けた。
「しっかし…ホント可愛いよなぁエージ先輩」
「ふしゅう…いいからさっさと仕事しろ」
「ったく…お前も可愛いとか思ってるくせによ!」
「んな…っ!」
話は数日前に遡る。
我らが青学テニス部は喫茶店を開くことになった。
もちろん、顔の良いレギュラー陣は接客担当であり、相当な売上が見込まれたが、更なる売上の向上を目論んだ乾が菊丸にメイド服を着せることを1人内密に計画していた。
菊丸自身お祭り好きな性格であったし、そんな姿を見たいという人が沢山いた為に反論者はいなかった。
が、不二はそれを許さなかった。
「もういいよ!…英二!」
「あ、え?にゃんだよ不二っ」
「…本当に可愛いね。だけどね!僕以外の人の前でそんな格好はしないで!」
「え、ちょっと、まだお客さんがいる…っ!」
流石は天才。
実に自分勝手な理由で菊丸を陰に隠そうとしている。
「おいお前達!何を騒いでいるんだ!」
「「手塚!」」
しかし、そこに別の仕事から戻ってきた手塚がタイミング良く現れた。
「いったい何なんだ。仕事をしていないじゃないか」
「聞いてくれよ手塚!不二が…」
「ちょっと!それは僕のセリフなんだけど!」
少し落ち着きを取り戻し、助けを請うような視線を投げ掛けてくる部員を見て聞いた。
そしてなんとか2人の話に耳を傾け把握した状況は、
「メイド服、だと?」
「「そうさ!」」
眉間に皺を寄せ考え始めた手塚を見て、部員は何だか不安にかられた。
「おい、菊丸。こっちに来い」
「え?…あ、うん」
それぞれにひそひそと会話を交わしているところに、なんとも意外な言葉が聞こえた。
「………何だ、似合うじゃないか。さぁ、客が待っている。行ってこい」
「え?…うんっ!」
『「えーっ!?」』
まさか手塚がそんな言葉を発するとは微塵も思っていなかったレギュラー陣が呆気にとられる中、争いの原因、菊丸英二は元気良く駆けだして行った。
(((手塚が笑った…!)))
(おいおいマジかよ…!)
(手塚が僕を裏切った…!)
(((いや、違うだろ…)))
*2009/09/02~