No.2
夢小説設定
あてんしょんぷりーず‼・この小説は完全二次創作の学パロ(?)です。
(人物関係に於いては原作大体忠実にします。)
・文スト×ヘタリアのクロスオーバー‼
・(文ストサイド)異能力は登場しません。
・(ヘタリアサイド)基本人物名での登場です。
・現実のアニメ名、人物名が若干登場するかも…(作者の趣味です…。)
それでも構わん‼という心優しき御方は是非どうぞ❗
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切花が転入してから一週間が経過した_
昼休み、青空以外何もない、がらんとした屋上。
「探偵部と港組……組んだんだよね」切花がアーサーに尋ねた。
「どうやら其の様だ」アーサーが深刻そうな顔で答える。「ま、あの短期間に十件以上も騒ぎを起こしちゃあ、な_どうやら黑龍会の様子を探りに動くらしい」
「…ご免なさい、任務に支障をもたらしてしまって」切花が浮かない顔で俯く。彼女の元々の肌の白さ、瞳の青さに乗じて、その顔は青空に溶けてしまいそうだ。
アーサーが慌てふためく。「いや、もう港組には十分損害を与えている。お前が謝ることじゃ無えよ」
「………」切花は顔を上げ、その顔を除き覗き込むアーサーと、何かを見つめる。
「ところで、
………何故彼等が此処に?」
「チャオチャオ!アーサーも切花ちゃんも、ご飯食べて元気になろう、ね!」
「……云っておくけどな、俺は一旦は止めた。だが此奴が『二人が心配だから行く!』と云って聞かなくてな……すまない」
明るい顔をしながら美味しそうにご飯を食べる、高等部一年、フェリシアーノ・ヴァルガスと、彼とは対極に胃が痛そうな顔をしている、同じく一年、ルートヴィッヒ・バイルシュミット。アーサーと切花の仕事上での後輩でもあり、彼等と同じくして、横浜の地で情報収集を行う。
今、四人_正式にはアーサーと切花の二人だが、其処にフェリとルートが合流した_は誰も居ない屋上で、昼食をとりながらの緊急談義中である。_探偵部と港組が組んだ、と云う事態に対して。
「お前も大変だな……」アーサーが深くルートに同情した。
「ところで、今日の議題は」切花が気を取り直して聞いた。
「嗚呼、そうだったな…」アーサーが答える。「探偵部と港組が組んだ今、此れから如何するか、だ」
「ヴェ~俺良い意見が在るよ!」
「フェリシアーノ、どうだ」
「先ず、港組と探偵部の皆に謝りに行きます‼白旗は必需だよ!そして学校生活を楽しみます‼」
「もっとまともな意見を出さんかフェリシアーノ‼」
「うわぁぁぁご免なさいルート!‼何でもするから許してぇ‼」
ルートがフェリを叱り始めてしまった。ぎゃぁぎゃぁする二人を見て、アーサーがため息を付いた。「あいつら…」
「貴方も人の事云えない。特にフランシス君の事」
「其れは云うな馬鹿」
切花はルートとフェリを微笑ましげに見ると、ポツリと呟いた。
「でも、割とその意見には賛成」
「えっ⁉」「なっっ?⁉」「本当に!?」
アーサー、ルート、フェリが交互に叫んだ。真逆切花が_事もあろうに、連続襲撃事件の当事者である切花が_其のような考えを示すとは思ってもなかったのだ。
「おいおい、本気か切花。探偵部は兎も角、お前が港組に捕縛されたら、只じゃ済まされないんだぞ」アーサーが切花に尋ねた。
「判ってる」
「……だけど此れは私の希望。現実はそうはいかない」
切花がスマホを取り出し、ある画面を掲げた。
「探偵部と港組の件について、王耀さんに聞いてみた。その返答」
『 to.切花
我も首領に、探偵部と港組の件を相談してみたある……その返答は、
“下等な癖に、厄介な奴等だ。_探偵部も港組も、全員殺せ。皆殺しにせよ。血と暴力、恐怖による報いを、今こそ奴等に見せるときだ”
_あるよ。切花達には気の毒あるが、此れも上司命令ある、やるしかねぇよろし。 from.王耀』
四人の間を、風が通りすぎた。
「全員……殺せ、だと⁉」ルートが驚愕した。
アーサーも又正気でなかった。
「無理だろ‼此方に居る人数だけで、あの港組に正面から挑め、って……首領は本気なのか⁉」
「本気で港組を潰したいのか、逸れとも厄介者の私を“名誉の戦死”と云う事にして処分したいのか……両方あると思う」
切花は毒気づいた。「随分と立派な中華思想」
「ねぇ…何故切花ちゃん達が、黑龍会の『厄介者』扱いされちゃうの?切花ちゃんは組織にすっごく貢献しているよ……手柄だっていっぱいとっているのに」フェリの顔は今にも泣きそうだった。
「私が王耀さんの部下だから」切花は至極当然の様に云った。
「二年前に先代首領が亡くなってから、黑龍会は一気に只の暴力集団になった。……殺戮さえすれば回りに畏怖を与えられる、とでも云う様に」
「それが何で、」フェリが云い掛けて辞めた。アーサーとルートは思い当たる節が在るらしく、何も云えないでいた。切花は続ける。
「そんな組織の流れに対し、王耀さんは先代の考えを未だに受け継いでいる。_組織の存続と利益を第一優先にする考え方。つまり、暴力に頼りきりの黑龍会の現体制に異を唱えている。そんな王耀さんは今の黑龍会には邪魔者。……そして、彼の部下であり、同じ考えを持つ私も」
「……そんな」フェリは言葉を返すことも出来なかった。
「…現に、私は命令を受けて港組を襲撃したとき、一人も殺さなかった」切花は其処まで云うと、また同じ様に俯いた。
「何故、殺さなかったんだ」ルートが切花に聞いた。その声は、彼にしては珍しく淡かった。
「必要以上の損害を向こうに与える必要は無い、与えてしまえば向こうを余計に刺激する、と思ったから」
アーサーが反応し、そのまま切花を見つめる。やがて何か決意したようだ。
「……?」
「なあ切花_」
キーンコーンカーンコーン~
午後の授業開始五分前を告げるチャイムが鳴った。切花が立ち上がり、三人に告げた。
「もうすぐ授業が始まる。行こう」
「_そうだね」フェリが立ち上がったのを機に、皆が教室へと戻っていった。暗めな顔のままで。
「……成程ねぇ」
太宰治が屋上に盗聴器を仕掛け、彼等の会話を後に聞くことになることを、今の切花達は知る由も無かった。