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百花学園の愉快な日常 ACT:1

朝目覚ましよりも先にぱちりと起きて、アラームを解除する。居間へ降りていくと朝ご飯は作り置きしてあるものの、そこにいつもいるはずの父の姿はなく、既に起きていたらしい潤一がTVを観ていた。
「ひふみおはよ」
「おは、潤。父さんと母さんはもう行ったの?」
冷蔵庫から牛乳を取り出してコップに注ぐ一二三に、潤一も俺も飲む、とコップを持ってきて質問の答えを返す。
「早朝からね。今日は遠くまで行くみたい。面白いお土産あるといいね。朝ご飯食べる?待ってたんだ」
机の上にあるラップがかけられたおかずをレンジに放り込み、牛乳の入ったコップを代わりに置く。潤一はご飯を茶碗によそってきた。流石十何年も一緒にいる姉弟で、聞かずともぴったりの量を盛ってくる。
「ねえ潤一、そういえば昨日私いつ寝た?途中から記憶がなくなってた。ごめんね」
「いいよ疲れてたんだし。カメラの画像見せてもらってたとこだったよ。いただきます」
「いただきます。今日はどこ行くの?近くのとこ?」
「いや駅前のでっかいスポーツショップの方。ランニング用のシューズ新調したくて」
潤一は早朝のジョギングを毎日欠かさず行なっている。といっても陸上をやっているわけではないので本格的なものではない。
部活をやっていないし体育科でもないが潤一は体を動かすのが好きだった。得意でもある。何をやっても上手だったし、小学生の頃はクラスメイト達と一緒に毎日昼休みにグラウンドで遊んでは活躍していた。いつからか自分の能力が他人のそれを軽く凌駕していると気付き、人と共に戦うスポーツをしなくなった。自分の力が妬みや嫉みを生むものだと、聡い潤一は気付いてしまったのだ。
それでも体を動かすのは好きで、毎日ジョギングを始めたのだった。
「最近は栄場大橋の辺りまで行くんだ」
「えーと、長谷橋の向こうの?すごいね。そのうち地球の裏側まで行くとか言わないよね」
「ひふみのいない場所に俺が行くわけないでしょ。どこまで行っても俺はひふみのところに帰ってくるよ」
「……有り難いんだか困るんだか。やれやれ」
その後は他愛ない話を続けながら朝食を終え、それぞれが出掛ける支度を始めた。
しかし部屋は向かい合わせで、二人ともあまり部屋のドアを閉める習慣を持ち合わせておらず各々が自分の部屋に入って数分もしないうちに潤一が一二三の部屋に入ってくる。
「ねえ俺の鞄知らない?黒のショルダー」
「うーん……ああ、玄関で見たよ確か」
行ってみる、と潤一が一階へ降りていく音を聞きながら一二三は着替えを済ませて携帯を手に取る。
二件のメールの通知が来ていた。一つは宗教メールでタイトルが『あなたを救う方法』と書かれていて未だにこんなものがあるのかと苦笑しながらゴミ箱に移動させた。
もう一つは夜須からだった。珍しい差出人に驚きつつもメールを開くと、どうやら今日夜須はロッククライミングに行っているらしく、岩の写真が添付されていた。タイトルには高悟山、目標オンサイトとあった。その山の難易度にひたすら感嘆しながらも応援のメールを返す。ついでに何で誘ってくれなかったのかと少しだけ文句をつけて。
鞄があったらしい潤一が声をかけて来たので携帯を小ぶりの赤いリュックに放り込んで肩にかける。
二人は愛用の自転車に乗り、駅前を目指してペダルを漕ぐ。最初は広い道を並走するものの、徐々に対抗心を燃やし始めた二人は人気のない道を選び競争を始めた。スポーツショップに着く頃には軽く汗をかいていた程だ。
「私もついでにクライミング用のシューズを見ていこうかな。新しいの欲しい」
先に潤一のジョギング用のシューズを見に行く。某有名スポーツメーカー製のものを愛用しているのだが、いかんせんとても高価だ。普通の高校生には中々厳しい。潤一も大切に履いていたもののやはり限界は来る。しかし父も母もスポーツ用品や勉強の為の参考書代などは惜しまず出してくれる。有り難い両親に感謝しつつ、新品のブルーのラインが入ったシューズを手に取った。
「お、それカッコいいね」
一二三が後ろから覗き込む。潤一が手にしたものはこの間出たばかりの新作だった。値段はそこそこ高い。が、一二三のクライミング用具フルセットに比べれば幾らもマシだ。
「ちょっと履いてみる。待ってて」
結局潤一はそのシューズを買い、一二三もまた気に入ったクライミングシューズを購入した。
「もうお昼だねえ。なに食べる?」
一二三と潤一はうーんと考えて近くのファミレスにした。
週末の昼時という事で結構混んでいたものの、運良く席が空いて座ることが出来た。何にするかとメニューを開いた時、一二三の後ろから声がかかった。
「偶然じゃの、大饗姉弟。昨日ぶりと一昨日ぶりじゃの」
知った声に振り向けば江角てこがいた。
「でこ先生、そろそろ自分で料理作ったらどうですか」
潤一が昨日一二三が言ったのと同じような台詞を発する。するとやはりてこはまず、でこじゃないわい、と言いそして面倒じゃ、と二言ぶっきらぼうに言い放ち目をそらす。
「うん?大饗さんに大饗くん。君たちも昼食かな」
ドリンクバーのジュースを両手に持って現れたのは草司だ。どうやら二人で食事に来たらしいが、草司がこういう店に来るのは珍しいと一二三と潤一は驚く。草司は他所で食べるくらいなら自分で作った方が美味いし早いし安上がりだと考える人間なので外食は好まないと知っている。
「はい。今日は両親が小旅行という名のデートでいないので。さっきまでスポーツショップで靴買ってたんですよ。ほら、近くに大きいとこあるじゃないですか」
一二三が説明しているところに潤一がボタンを押していてウェイトレスが来た。二人は適当に今日のオススメやメニューの一枚目にでっかく写っている料理を頼んだ。
「それにしても草刈先生珍しいですね。いつもご自身で料理を作られていると聞きましたが」
ウェイトレスが去った後、潤一が草司に聞いた。草司は片手のカップをてこの前に置いて、もう片方のカップに一度口を付けてから答えた。
「いやあ、昨夜停電が起きて冷蔵庫の中身が全て駄目になってしまったんだ。仕方なしにそして不本意ながら、てこが常連だというこの店に共にやってきた次第だよ」
「停電ですか。うちの方は何とも……。って確かてこ先生も同じマンションでは?」
一二三が聞くとてこはあっさりと頷いた。
「そうじゃ。まあわしの冷蔵庫の中身はビールかチューハイか割る用の炭酸水かのどれかじゃからな。また冷やせば良いだけじゃしの」
「あはは、将来メタボ確定ですね。今が筋肉質なぶん」
「そうですよね。大饗さんの言う通りですね。もっと言っておあげなさい」
草司が笑ってけしかける。てこは言葉の刃に心をズタズタにされたのか、もう少しで倒れそうだった。そしてトドメを刺したのは意外にも潤一。
「普段の食生活からいっても、生活習慣病に絶対なりますよね」
一二三と草司が吹き出した瞬間、てこはテーブルに突っ伏した。

食後、家へと帰って行った潤一を見送り、件の美術館に行くのだと伝えたら何と二人もついてくると言ってきた。心配半分、興味半分、といったように。
まあ別に良いかと一二三も頷き、美術館前の時計台へと向かう。十五分前で既にみちかはそこにいた。
薄青の七分袖のシャツに白のベスト。ふわりとした膝丈のスカートなど、シンプルで地味であるけれど清楚で聡明な印象を与える。もう少しばかり着飾ればとても美しくなるのに、と一二三は思っていた。いや今のままでも充分に美しくはあるか。あとは……やはり自信の問題かもしれない。才も美も持っているのにどうして自分を蔑むのか不思議でならない。
「みちか、ごめん待った?」
声をかけるとみちかは不安から解放されたような表情を見せる。無理もない、みちかは外に出るのが本当は嫌で仕方ないのだ。だから当初は誘っていいものか悩んだのだ。
一二三の言葉に首を横に振るみちかは、一二三の背後にいる二人に目を向けた。それに気付いて説明する。
「さっきね、潤とファミレスに入ったら先生達がいてね。例の手紙の事知ってたし、一緒に来る事になってさ。良いかな?」
それにも頷くだけのみちか。どうかしたのかと聞いてみると震える声で先程ナンパに合っていた事を教えてくれた。よく逃げれたものだね、と言えば知り合いが助けてくれたのだという。
行こうか、と声をかけて美術館内へと向かった。そして自動扉の前まで行く。
──すると。
「ぎゃ」
「うわ、最悪」
「……」
それぞれてこ、市古、假屋だ。美術館の自動扉の前で睨み合いをしている市古と假屋を見つけたてこの顔が見る見る間に歪み、それは市古らにも感染した。しかし彼らが再び口を開く前に、草司が釘を刺した。
「公衆の面前で罵り合ったら本気で君達を十発づつ殴るか蹴るぞ。そして自分達の職業を考えてみろ。ここにいる二人の生徒の前で出来るのか?」
同期の桜の前だと一瞬で冷たい空気を纏う草司。一二三はこの時の草司が他の何より怖いと思っている。
「それにしても珍しい。友也はともかく、優征がこんなところにいるなんて」
草司が少し怒りを鎮めると三人は緊張を解いた。假屋はズレてしまった眼鏡を中指で押し上げて答える。
「知人が出品しているので来いと言われてな。入ろうとしたら市古を見つけてしまい、睨み合いだ」
意外と、假屋と市古の二人が出会った時というのは、口喧嘩はそこまでない。が、てこがそこに入った場合、もしくはてことどちらか一人の時は物凄い罵倒の応酬になる。てこがただ単に騒がしいのか、てこに言い易いのかは分からない。
一行は成り行きでそのまま美術館に入っていく。一二三はチケットを持っているが他は美術館の入り口で入場料を取られる。
てこ達が払い終え、大人達では假屋が最後に財布を取り出した辺りでようやくみちかも自分の鞄を漁った。展示を見終えたら館内のカフェで一休みする為にいつもより多く入れてある。
「失礼、大人一枚と学生一枚。早乙女くん、学生証を出しなさい」
假屋の言葉に何が起こったのか理解できないみちかはきょとん、とした。他の面子も言葉を失っている。学生証を出さないみちかに假屋は静かな溜め息と共に続ける。
「……教師たるもの生徒の知識向上の為に当然の行動をしているに過ぎない。遠慮はいらないので早く学生証を出しなさい」
「あ、……は、はい、すみません……ありが、と、う、ござい、ます」
「謝辞も礼も不要だ。生徒の成長に必要ならばいくらでも投資するのが教師の務めだと私は思っている」
あまりの漢らしさに一二三もみちかもぽかんとする。逆にてこや市古は假屋だけがいい格好をして今にも舌打ちしそうだった。草司が一人微笑ましいものを見るようにその光景を眺めていた。そして生徒たちに聞こえないように囁く。
「優征、よく出来たので今月末ピンチになったら助けてあげるよ」
う、と顔を顰める假屋に草司はにっこりと笑って先へ行く。こういうところが勝てないのだと実感する。
展示会場には多くの作品が並べられていて、その大半は一二三と同じ学校の生徒達が描いたものだった。
とても同じ高校生が描いたものとは思えない、素晴らしい作品ばかりだと一二三は溜め息を吐く。こんな風に自分の世界を表現できる人は凄い。
「ああ、やっぱり美しいものを見ると心が洗われるようだ。やっぱりうちの学校の生徒はレベルが違う」
「ハッ、何を当たり前の事を。お前が自分以外を美しいと思う心があったとは驚きじゃわい」
「突っかかって来ないでくれる?今は邪念を抱きたくないの。アンタの声を聞くだけで気分が害される」
「この……」
「同じ事を何度言わせるのかな?」
市古とてこの静かな言い合いはすぐに収まった。
一二三は市古の見ていた絵をそっと見上げる。
入り口から入ったところにあったそれは美しい藤棚の絵だった。日本画のテイストで描かれたそれは横長の紙に鮮やかに咲いていた。瑞々しくこれ以上ないほど満開の藤は見事としか言いようがない。濃淡のある藤は淡い色合いの部分が末に広がり、紙一面に花びらの雨を降らせている。繊細な筆で微細に描かれた一枚一枚の花びらが目の前いっぱいに広がる様は圧巻としか言いようがない。
名前のプレートにはうちの学校の名前と芸術科三年生の名前が書かれており、銀のリボンがついていた。
「おお、流石じゃなこやつの作品は。そうじゃひふみ、こっち来てみろ」
後ろ髪引かれる思いでその場を離れて、てこについていく。
一番目立つ場所に飾られたそれは賞を獲った証のリボンが名前のプレート横につけられていた。
見事なまでの風景画。油絵でこちらも題材は花。鮮やかな花が描かれている。向日葵畑だ。目にも鮮やかな黄色い大輪の花がキャンパスいっぱいに広がり、その向こうに広がるのは目を奪われる程の夕焼け。夕日に染まり始めた向日葵があまりにも美しい。懐かしい風景のようで、そこに人が存在していないかのような、そんな不思議な絵だった。
「流石赤羽君ですね、金賞、審査員特別賞両方獲るなんて」
草司が独り言のように呟いたのを一二三は聞き逃さず質問する。
「このひともうちの学校の生徒なんですか?」
すると草司はにこりと笑ってプレートを指差し、一二三は読み上げる。
「百花学園三年、赤羽往哉」
知らない名前だ。分かっていないふうの一二三にてこが呆れた声を出す。
「芸術科の生徒会長じゃ。お前は一年も学校に通っていて本当に何も知らんのう。興味のない事に意識を向けなさすぎじゃ」
「……あ、の、この間、逆蔵くんが、説明して、いたよ」
「そういやなんか聞いた気がするね」
赤羽は小学生の頃から絵の才はピカイチでの、賞なんぞ腐る程貰っとる。十年に一度の天才とか言われとっての、穏やかな男じゃ。自分の才を鼻にかけん。どっかの誰かみたいにな」
「今日はやけに突っかかるねえ、まあ、いいや。私はアンタ達と違って心が広いから」
そう言って市古は他の作品を見に場を離れた。
てこは鼻を鳴らして解説を続ける。
「赤羽往哉の作品は、どんなに作風を変えようがどうしようが一目で赤羽往哉の作品だと分かる。素人目にもな」
これは確かに本物の美術品だと一二三にも分かる。言葉にできない程の美しさ。赤羽往哉という人は、本物を作れる人。絵の中に本物の世界を作れる人だ。だが、それでも。
「わたしはさっきの藤の方が好きですけどねえ」
「赤羽往哉の絵を前にしてそう言えるのはお前くらいじゃな、ひふみ」
呆れた声を出すてこの言葉に一二三が返そうとするのを遮る声が一行の後ろからかけられた。
「あは、嬉しい事言ってくれるね〜。作者冥利に尽きるよお」
穏やかで、それでいて強い。そんな声に一二三が振り返ると、思っていたよりもガタイの大きい人物が思っていたよりも近くに立っていた。
「おや、比企島くん。来ていたんだね」
草司が声をかけると軽く会釈をする。比企島、その名前はさっき見たプレートに書かれた名前だと一二三は気付く。
「ども、こんにちは〜」
手をひらひらとさせ、眩しい笑顔を見せる彼は芸術家というよりもアスリートのような屈強な体で、それでいて威圧感を感じさせない雰囲気に包まれていた。
「センセたち来てたんだね〜。ま、俺はまた往哉に負けて銀賞なんだけど。そっちの子が褒めてくれたからいいかな〜。ありがと、ね!」
長い睫毛に彩られた彫りの深い顔はおおよそ日本人に見えず、その顔からぺらぺらと沢山の言葉が紡がれるのがとても心地よいと思った。
「君もうちの生徒だよね?……あっ早乙女ちゃんここに来てたのね。無事でよかった!って事は二年生?友達?」
一方的に言葉の雨を降らせてくる彼にみちかは小さく頷くしかない。きっと彼女の苦手な部類の人間なのだろうと一二三は思って声を上げる。
「あ、はい。二年、普通科進学系列普通理数系コース、大饗一二三です」
自己紹介をすると彼はにっこりと、なんだかとても嬉しそうに満面の笑みを浮かべて自己紹介を返す。
「芸術科三年、絵画系列日本画コース。って彫刻もやってるんだけどさ。比企島満。芸術科の副生徒会長やってるよお。よろしくね!」
そう言って右手を差し出して握手を求める。それに返すと、思っていた通り、とても大きくて分厚い掌だった。ふわりと、ココナッツのような香りがした。好きな香水の匂いだった。
「ひふみ、さっき困ってた所を……助けてくれたのが、この比企島、先輩なの」
掠れるような声でみちかが言えばなるほど、と一二三は返す。このような男が入ってこればどんなナンパ師といえど踵を返すに違いない。
「あれ、大饗ってもしかして医療科のさ戌神くんとこで副会長やってる……」
「ああ、双子の弟なんです。出来る弟です」
自慢するように笑うと、比企島は一瞬だけ笑う口元を引きつらせた。誰も気がつく事はない一瞬だった。
「へえ〜、凄いよねえ。あっじゃあややこしそうだから名前で呼んでいい?ひふみちゃん!俺の事も満って呼んでいいからさ〜」
「ってもう呼んでるじゃないですか」
ふざけあっていると、草司がこほんと咳払いを一つ。
「美術館では静かに、ね。」
静かながらも威圧感を放つ笑みに一二三も比企島も小さくはあい、と返すのだった。
「これで大体見終わったね。ここにはカフェもあるし寄って行こうか」
草司が提案して教師四人と生徒二人は頷き、比企島は「じゃ、俺は挨拶回りあるからまたね〜」と去って行った。

一二三達から見えなくなって、比企島は柱の陰で電話をかけた。
「……ねえ、来てたよ、彼女。俺の作品の方が好きだって。銀賞なのにね。君のより、俺のだって。え……?ああ見てたよ、君の絵も。ってかさ会わないの?直接。何今更恥ずかしがってんの。あんなストーカーじみた手紙送っといてさあ。はは、まあ俺なら貰ったら気持ち悪い捨てよって思う内容だったよ。え?何で止めなかったか?だって見ものだと思ったんだもん。ま、ほんと来るとは思わなかったけれど。ほんとお前ってメンヘラみたーい。……はは、そだね。ま、いいや。じゃ、今度生徒会の打ち合わせでそっち行くから。またね、往哉」
携帯端末を尻ポケットにねじ込んで、比企島は天を仰いでゆっくりと息を吐く。思わず独りごちる。
「試合に負けて、勝負に勝った感じかな。
思ってたよりちょろいんだなあ、俺」
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