不思議の始まり
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センラ「突然なんやけど…、お前ら、シンクロニシティって言葉とか現象って、知ってる?」
唐突に、センラくんはそう言った。
志麻くんは、
「聞いたことはある…けど。どんなんなん?」
と言う。
私も分からない。そしたら、センラくんがこう続けた。
セ「意味のある偶然が重なった運命のようなこと。それをシンクロニシティって言うんや」
意味のある、偶然…。
坂田くんが言った。
「意味ある偶然って…、偶然って意味の無いことなんだから、それっておかしくない?」
センラくんが続ける。
「じゃあ、俺とさかたんとまーしぃ。3人で何の計画も立てず、旅行に行くとする。もちろん、旅行に行くことすら伝えてない。連絡も一切とってない。だけど、偶然にも旅先が一緒で、どこを観光したりするかも一緒、挙句の果てには泊まるホテルも一緒。こう想像してみると、どうや?」
そう、考えてみると。
坂田くん「なんか、運命みたいやなぁ」
私の言いたいことを、坂田くんが言ってくれた。
坂田くん「なあ、リカは、どう思う?」
ドキリとした。急に坂田くんに声を掛けられたから。
リカ「あ…。私も、運命みたいだなって、思った」
坂田くんとシンクロニシティ、みたいな事が起こらないかなって思ったことは秘密にしておく。
出会えたことが、シンクロニシティ…、っていう風に言っちゃダメなのかな?
どっちにしろ、こんな想いが届いて欲しいって思ってるのは変わらない。
ずっとずっと、坂田くんが好きだった。
今も大好き。
こんなに好きになるなんて、思ってなかった。
出会えたことが、すごく嬉しいの。
急に浦田くんが、口を開いた。
浦田「…おい」
…うん、分かってた。私も。
浦「お前ら、今何時か分かってんのか?」
坂田「は?そんなん知らねーよ…。気にした方が負け、ってな!」
坂田くんが豪快に言う。
内心、私は心の中がぶるぶる震えていた。
生まれて初めての遅刻と、先生に怒られる恐怖で。
近くで、学校のチャイムが鳴った。
浦「これが何時限目のチャイムか分かるか!?4時限目の始まりだぞ!?」
「そんなん知らへんし…」
本当なら、とっくに私以外の4人は早弁をしている時間だ。
浦「お前らが寝坊するからだろ!!電話もメールもチャットも出ない!俺がわざわざリカと一緒にお前らの家に行ったら寝てるなんて言うから!待ってたんだろ!お前らのせいだからな!!」
志麻「……うらたん、俺らのこと置いて行ってもろてかまへんかってんで?」
私も、浦田くんに一応、そう言いはした。
でも、答えは一緒だった。
「ずっと一緒に行ってるんだから、今日だけ行かないとかナシ。…彼女とか出来たなら仕方ないけど、今回は寝坊だったから。一緒じゃないとダメ」
か…かわいい…!
セ「とかなんとか言って…。ほんまは俺らのこと大好きやってんな?もーうらたんったら〜」
浦「そんなんじゃねーよ!!ほら早く…って…おいおい…」
ようやく門の前、というところで待ち構えていたのは生徒指導の先生。通称ゴリラ。
志「よーっすゴリ……じゃなくて先生!」
先生「よーっす!……じゃねーんだよ!ゴルァ!今何時だと思ってんだ!この5人…ってことは、絶対ろくな理由じゃねーだろ!」
セ「いやいやセンセ、男4人はいいとしてですね?佐藤さんはなんもしてないじゃないですか。ね?」
センラくん…!!ありがとう!!…と思ったのもつかの間、
先生「いいも悪いもあるか!……ったく…。そもそも、男4人に女1人ってどう考えてもおかしいだろ!」
ビクッとした。
分かってた。いくら幼なじみだからって、小学校、中学校、高校になってまでつるむのは希だし、周りから見ても(この4人が)、印象がいいとは言えない。
ダークグリーン、アッシュパープル、赤髪、金髪。傍から見たら、ヤンキーが普通の子をパシってる感じにしか見えない。自分で言うのもあれだけど。
だけど。
リカ「私は、自分の意思で彼らといます。好きで一緒にいる友達を、先生にどうこう言われる筋合いはありません!…遅刻したことは謝りますし、罰も受けます。だけど、男4人に女1人って何がおかしいんですか?私たちはそんな関係じゃなくて、ただ純粋に楽しいから一緒にいます。そんなこと考えるなんて、先生の方がどうかしてます!」
息継ぎも忘れて、先生に言った。
言ってしまった。
でも、後悔はしてない。
坂田くん「…震えてた割には、頑張ったじゃん」
小さな声で、呟くように坂田くんは言った。
リカ「へへ…。あとでたくさん怒られないと」
坂田くんにだけ聞こえるように、ボソッと言った。……届いたかな?
先生「…その…まぁ、なんだ。今回は見逃してやる。次はないぞ!」
ゴホゴホと咳をして、そそくさと去って行った。
セ「まぁ、一件落着、てことで。みんなに会いにいきますか!」
リカ「そうだね〜」
志「せやな」
浦「やれやれ…」
坂「れっつごー!」
「「「「「おおー!!!」」」」」
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