誰よりも愛を知っている貴方は
男は時間を問わず審神者を呼びつけ、蹂躙した。本丸の皆には恋人ができたと説明して、どうにかごまかしている。
残虐な行為は審神者の心身を蝕んでいく。スマートフォンの通知が鳴る度に身体が震える。
怖くて、怖くて、怖くて、怖くて。
どうすればこの地獄から抜け出せるのだろう。でも、本丸の皆には言えない。審神者が元暴走族だと──なんの罪悪感もなく人を傷つけるような人種だとわかったら、これまで築き上げてきたものが壊れてしまう。
それに、行為の最中の写真も撮られている。それをばら撒かれたりでもしたら──。
「っ……」
地獄から抜け出すことも、助けを求めることもできない。審神者はただ男の玩具になるしかないのだ。
寝不足の身体でふらついていると、庭で加州と安定、亀甲と和泉守が談笑していた。
「あ、おーい主!」
「安定……」
「今主の話してたんだ。彼氏ができたばっかりって言っても、デートばっかりで体調大丈夫かなって」
「あ、あはは……大丈夫、彼が寂しがり屋だからさ。ずっと一緒にいたいんだって」
「おっ、惚気けるねえ」
「…………」
加州は寂しそうな、訝しんだ目をしている。つい数日前まで亀甲が好きだと言っていたのに、急に恋人を作ったのだから怪しむのは当然だ。
「なあ、デートって何するんだ?」
「えっと、カラオケが多いかな。彼、歌うの大好きだから」
嘘だ。本当はカラオケの前で待ち合わせて、ホテルに連れ込まれている。時には前後不覚になるほど酒を飲まされて、男に蹂躙される。
思い出すだけで身体が震える。今、ここで助けを求められたら。
「おい主、身体震えてるぜ。平気か──」
和泉守の手が審神者に伸びる。その瞬間、昨夜の光景がフラッシュバックした。
『おら、黙って言うこと聞けよ!』
そう言われて、髪を掴まれて、おぞましい好意を──。
「──い、嫌っ! やめてぇっ!」
身体を縮こまらせて防御の姿勢を取る。怖い、嫌だ、誰か、助けて。
「あ、主?」
「ご主人様……?」
はっと気づいて、笑顔を必死に作る。
「ご、ごめん! ちょっとびっくりしちゃってさ、あはは!」
審神者は立ち上がって、なんでもない風に笑った。
「……おかしいだろ」
加州は真っ直ぐに審神者を見つめた。
「主、あんた彼氏に何されてるの?」
「なに加州、何の話? ちょっと驚いただけだってば。彼氏は関係ないから──」
どうにか取り繕わなくてはいけない。知られたら、全てが終わる。
「どう考えても変だよ! だって、俺たちに詳しいこと教えてくれないし、夜中にいなくなるし! 急に知らない男と付き合いだしたのだって変だ! だって、あんたが好きなのは──!」
「っ、やめて!」
審神者は大切な仲間から逃げ出す。
「主!」
「ご主人様!」
今ここで泣き出せたら、どれだけ楽になるだろう。
でも、それは許されない。
これは罰なのだろうか。幼い頃に人を傷つけた、罰。
審神者は涙を必死にこらえながら、独りで走り続けるしかなかった。
残虐な行為は審神者の心身を蝕んでいく。スマートフォンの通知が鳴る度に身体が震える。
怖くて、怖くて、怖くて、怖くて。
どうすればこの地獄から抜け出せるのだろう。でも、本丸の皆には言えない。審神者が元暴走族だと──なんの罪悪感もなく人を傷つけるような人種だとわかったら、これまで築き上げてきたものが壊れてしまう。
それに、行為の最中の写真も撮られている。それをばら撒かれたりでもしたら──。
「っ……」
地獄から抜け出すことも、助けを求めることもできない。審神者はただ男の玩具になるしかないのだ。
寝不足の身体でふらついていると、庭で加州と安定、亀甲と和泉守が談笑していた。
「あ、おーい主!」
「安定……」
「今主の話してたんだ。彼氏ができたばっかりって言っても、デートばっかりで体調大丈夫かなって」
「あ、あはは……大丈夫、彼が寂しがり屋だからさ。ずっと一緒にいたいんだって」
「おっ、惚気けるねえ」
「…………」
加州は寂しそうな、訝しんだ目をしている。つい数日前まで亀甲が好きだと言っていたのに、急に恋人を作ったのだから怪しむのは当然だ。
「なあ、デートって何するんだ?」
「えっと、カラオケが多いかな。彼、歌うの大好きだから」
嘘だ。本当はカラオケの前で待ち合わせて、ホテルに連れ込まれている。時には前後不覚になるほど酒を飲まされて、男に蹂躙される。
思い出すだけで身体が震える。今、ここで助けを求められたら。
「おい主、身体震えてるぜ。平気か──」
和泉守の手が審神者に伸びる。その瞬間、昨夜の光景がフラッシュバックした。
『おら、黙って言うこと聞けよ!』
そう言われて、髪を掴まれて、おぞましい好意を──。
「──い、嫌っ! やめてぇっ!」
身体を縮こまらせて防御の姿勢を取る。怖い、嫌だ、誰か、助けて。
「あ、主?」
「ご主人様……?」
はっと気づいて、笑顔を必死に作る。
「ご、ごめん! ちょっとびっくりしちゃってさ、あはは!」
審神者は立ち上がって、なんでもない風に笑った。
「……おかしいだろ」
加州は真っ直ぐに審神者を見つめた。
「主、あんた彼氏に何されてるの?」
「なに加州、何の話? ちょっと驚いただけだってば。彼氏は関係ないから──」
どうにか取り繕わなくてはいけない。知られたら、全てが終わる。
「どう考えても変だよ! だって、俺たちに詳しいこと教えてくれないし、夜中にいなくなるし! 急に知らない男と付き合いだしたのだって変だ! だって、あんたが好きなのは──!」
「っ、やめて!」
審神者は大切な仲間から逃げ出す。
「主!」
「ご主人様!」
今ここで泣き出せたら、どれだけ楽になるだろう。
でも、それは許されない。
これは罰なのだろうか。幼い頃に人を傷つけた、罰。
審神者は涙を必死にこらえながら、独りで走り続けるしかなかった。