【中編】あなたとこれからを
審神者はとある本丸の主だ。元夫から離縁を言い渡されて、実家に出戻ったところスカウトを受けた。
今は、高齢を理由に引退した老夫婦から審神者を引き継ぎ、刀剣男士たちと共に暮らしている。
元夫から暴力を受けていたことで病にかかり、刀剣男士たちはその治療に付き合ってくれた。今は、症状は出ずに穏やかに過ごせている。
そして──。
「……どうしましょう…………」
「姫さんがそんなに悩むの、珍しいな」
審神者は隣にいる鶴丸と、恋仲になっている。トラウマを抱えていた自分を支え、『姫さん』と呼んでくれる大切な存在。
今は彼とのデートの最中。デパートの食品コーナーにいた。
せっかくだからおやつを買って帰ろうと思ったのだが、どのクッキーにするべきか決まらない。
「バタークッキーは王道で外せませんし……チョコチップも……こっちの抹茶も捨て難いですし……うう……!」
個包装のクッキーの種類を選ぶのに、かなりの時間を使ってしまっている。だが、こればかりは許して欲しい。クッキーは審神者の大好物なのだ。
「よし姫さん、俺に任せてくれ」
「え?」
「このクッキー缶、一番大きいやつをくれないか。自宅用で」
「はい、かしこまりました」
「つ、鶴丸!?」
鶴丸はたくさんの種類が入っているクッキー缶を選んだ。確かに審神者が食べたいクッキーは全部入っているが、当然値段も張る。
「駄目です、予算オーバーですよ……!」
「もちろん俺のポケットマネーから出すさ。惚れた女にこれくらいあげられないでどうする?」
鶴丸は決して安くないクッキー缶を買って、審神者に手渡した。
「ほら、姫さん。これで好きなだけ食えるぜ」
「こんなにたくさん……」
実は小さい頃、おばあちゃんちにあったクッキー缶を全部独り占めしたいと夢を持っていた。それがまさか叶ってしまうなんて。
「そうだ、クッキー食うなら紅茶もいるんじゃないか? それも買って帰ろうぜ」
鶴丸は審神者の手を引いて紅茶売り場へ向かう。当然、デパートにある紅茶なのだから値段が高い。
「なあ店員さん、クッキーに合う紅茶を見繕ってくれないか?」
「はい、それでしたらこちらがおすすめですよ」
「つ、鶴丸……!」
鶴丸は紅茶も買って、にやりと笑う。
「どうだ? 驚いたか?」
「もう、あなたは……私をこんなに甘やかしてしまっていいのですか?」
「そりゃ、姫さんは俺のお姫さんだからな。甘やかすのが当然じゃないか?」
鶴丸はまるで王子様のように審神者の手の甲に口づける。
「本当に……あなたは格好よくて、素敵な方ですね」
審神者はふふっと笑って、鶴丸の隣を歩く。
幸せな日々は、確かにここにあった。
今は、高齢を理由に引退した老夫婦から審神者を引き継ぎ、刀剣男士たちと共に暮らしている。
元夫から暴力を受けていたことで病にかかり、刀剣男士たちはその治療に付き合ってくれた。今は、症状は出ずに穏やかに過ごせている。
そして──。
「……どうしましょう…………」
「姫さんがそんなに悩むの、珍しいな」
審神者は隣にいる鶴丸と、恋仲になっている。トラウマを抱えていた自分を支え、『姫さん』と呼んでくれる大切な存在。
今は彼とのデートの最中。デパートの食品コーナーにいた。
せっかくだからおやつを買って帰ろうと思ったのだが、どのクッキーにするべきか決まらない。
「バタークッキーは王道で外せませんし……チョコチップも……こっちの抹茶も捨て難いですし……うう……!」
個包装のクッキーの種類を選ぶのに、かなりの時間を使ってしまっている。だが、こればかりは許して欲しい。クッキーは審神者の大好物なのだ。
「よし姫さん、俺に任せてくれ」
「え?」
「このクッキー缶、一番大きいやつをくれないか。自宅用で」
「はい、かしこまりました」
「つ、鶴丸!?」
鶴丸はたくさんの種類が入っているクッキー缶を選んだ。確かに審神者が食べたいクッキーは全部入っているが、当然値段も張る。
「駄目です、予算オーバーですよ……!」
「もちろん俺のポケットマネーから出すさ。惚れた女にこれくらいあげられないでどうする?」
鶴丸は決して安くないクッキー缶を買って、審神者に手渡した。
「ほら、姫さん。これで好きなだけ食えるぜ」
「こんなにたくさん……」
実は小さい頃、おばあちゃんちにあったクッキー缶を全部独り占めしたいと夢を持っていた。それがまさか叶ってしまうなんて。
「そうだ、クッキー食うなら紅茶もいるんじゃないか? それも買って帰ろうぜ」
鶴丸は審神者の手を引いて紅茶売り場へ向かう。当然、デパートにある紅茶なのだから値段が高い。
「なあ店員さん、クッキーに合う紅茶を見繕ってくれないか?」
「はい、それでしたらこちらがおすすめですよ」
「つ、鶴丸……!」
鶴丸は紅茶も買って、にやりと笑う。
「どうだ? 驚いたか?」
「もう、あなたは……私をこんなに甘やかしてしまっていいのですか?」
「そりゃ、姫さんは俺のお姫さんだからな。甘やかすのが当然じゃないか?」
鶴丸はまるで王子様のように審神者の手の甲に口づける。
「本当に……あなたは格好よくて、素敵な方ですね」
審神者はふふっと笑って、鶴丸の隣を歩く。
幸せな日々は、確かにここにあった。