働き者の手
「すう……すう……」
鶴丸の腕の中で、誰よりも愛しい人が眠っている。穏やかな寝顔を見ているとどうしようもない幸福で満たされた。
「姫さんは寝顔も可憐だな」
ちゅ、と額に口づけを落として、審神者を抱き締める。優しく手を握ると、彼女の手が荒れていることに気づいた。
審神者はいつも家事をしていて、その中には水仕事も含まれる。きっとそのせいで荒れてしまったのだろう。
手にはあかぎれも見える。きっとこのままでは痛いだろう。
「……明日、ハンドクリーム買ってくるか」
鶴丸は大切な彼女の手を握って、静かに眠りについた。
*
「姫さん!」
呼び止められて振り返ると、現代服に身を包んだ鶴丸がいた。手には何か紙袋を持っている。
「鶴丸、お出かけですか?」
「いや、今帰ってきたところなんだ。姫さんに渡したいものがあってな。部屋に行っていいか?」
「ええ、じゃあお茶をいれて待ってますね」
部屋に戻ってふたり分の緑茶をいれる。鶴丸は内番服に着替えてきて、審神者の真正面に座った。
「これを買ってきたんだ。よかったら貰ってくれ」
差し出されたのは鶴丸が持っていた紙袋。
「まあ、いただいていいんですか?」
「おう、もちろんだ」
中に入っていたのはハンドクリーム。控えめなデザインが可愛らしい。
「素敵……」
「姫さん、塗るから貸してくれ」
鶴丸はハンドクリームを渡すと、少量を出して審神者の手を包み込んだ。
「最近手が荒れてただろう? 痛いかと思ってな」
優しい手が、ゆっくりとハンドクリームを塗り込んでいく。程よい力強さで指圧をされると気持ちがよかった。
「ありがとうございます……とても、嬉しいです」
乾燥している自分の手は、とても可憐とは言えない。
「こんなボロボロの手で、恥ずかしいですね」
苦笑すると、鶴丸はきゅっと審神者の手を握り締めた。
「何言ってるんだ姫さん。働き者の手だろ。立派じゃないか」
そのまま引き寄せられて、鶴丸の腕の中にぽすんと収まる。
「毎日、俺たちと本丸を守ってくれる優しい手だ。ちゃんと誇ってくれ」
「鶴丸……」
彼に身体を預ける。ああ、こんなに優しくて、強くて、愛しくて。
「鶴丸は、私に甘いですね」
「そりゃそうだ。惚れた女なんて甘やかすに決まってるだろう?」
鶴丸は笑いながら、審神者の唇に愛を捧げる。
「それに、姫さんは姫さんだからな。大切にして当然さ」
ゆっくりと肩を撫でられて、その体温に溺れていく。
「ふふ、あなたは本当に、素敵な王子様ですね」
審神者は微笑みを浮かべて、誰よりも優しい刀を抱き締めた。
鶴丸の腕の中で、誰よりも愛しい人が眠っている。穏やかな寝顔を見ているとどうしようもない幸福で満たされた。
「姫さんは寝顔も可憐だな」
ちゅ、と額に口づけを落として、審神者を抱き締める。優しく手を握ると、彼女の手が荒れていることに気づいた。
審神者はいつも家事をしていて、その中には水仕事も含まれる。きっとそのせいで荒れてしまったのだろう。
手にはあかぎれも見える。きっとこのままでは痛いだろう。
「……明日、ハンドクリーム買ってくるか」
鶴丸は大切な彼女の手を握って、静かに眠りについた。
*
「姫さん!」
呼び止められて振り返ると、現代服に身を包んだ鶴丸がいた。手には何か紙袋を持っている。
「鶴丸、お出かけですか?」
「いや、今帰ってきたところなんだ。姫さんに渡したいものがあってな。部屋に行っていいか?」
「ええ、じゃあお茶をいれて待ってますね」
部屋に戻ってふたり分の緑茶をいれる。鶴丸は内番服に着替えてきて、審神者の真正面に座った。
「これを買ってきたんだ。よかったら貰ってくれ」
差し出されたのは鶴丸が持っていた紙袋。
「まあ、いただいていいんですか?」
「おう、もちろんだ」
中に入っていたのはハンドクリーム。控えめなデザインが可愛らしい。
「素敵……」
「姫さん、塗るから貸してくれ」
鶴丸はハンドクリームを渡すと、少量を出して審神者の手を包み込んだ。
「最近手が荒れてただろう? 痛いかと思ってな」
優しい手が、ゆっくりとハンドクリームを塗り込んでいく。程よい力強さで指圧をされると気持ちがよかった。
「ありがとうございます……とても、嬉しいです」
乾燥している自分の手は、とても可憐とは言えない。
「こんなボロボロの手で、恥ずかしいですね」
苦笑すると、鶴丸はきゅっと審神者の手を握り締めた。
「何言ってるんだ姫さん。働き者の手だろ。立派じゃないか」
そのまま引き寄せられて、鶴丸の腕の中にぽすんと収まる。
「毎日、俺たちと本丸を守ってくれる優しい手だ。ちゃんと誇ってくれ」
「鶴丸……」
彼に身体を預ける。ああ、こんなに優しくて、強くて、愛しくて。
「鶴丸は、私に甘いですね」
「そりゃそうだ。惚れた女なんて甘やかすに決まってるだろう?」
鶴丸は笑いながら、審神者の唇に愛を捧げる。
「それに、姫さんは姫さんだからな。大切にして当然さ」
ゆっくりと肩を撫でられて、その体温に溺れていく。
「ふふ、あなたは本当に、素敵な王子様ですね」
審神者は微笑みを浮かべて、誰よりも優しい刀を抱き締めた。
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