夢の中も共に
クーラーの効いた部屋で、審神者はすうすうと寝息を立てている。昼間に布団では暑いだろうと、後家はそっとブランケットを腹にだけかけた。
仕事がひと段落して、目を擦って眠そうにしていた彼女を見つけ、昼寝をしようと部屋に連行した。真面目な彼女は最初は渋ったが、涼しい部屋で頭を撫でてやるとすぐに夢の中へ落ちていった。
「疲れてたんだろうなあ……」
彼女は仕事が溜まっている状態が気持ち悪いらしく、政府から仕事を与えられるとどれだけ締め切りが先でもそれをこなしてしまおうとする。真面目なのはいいことなのだが、ここまで詰め込みすぎなのは心配だ。
彼女を叱るのはもっぱら近侍である長義の役目だが、最近はそれが後家に変わってきている。長義曰く、『恋刀の言うことなら素直に聞くだろう? 主も君の言葉なら強く返せないようだし』とのことだった。確かに審神者は後家が心配しているから休んで欲しいと言うと、困ったような顔をした後に言うことを聞いてくれるのだ。
「ん……」
審神者がころんと寝返りを打って、こちらに顔を向ける。幼子のようなあどけない寝顔が愛らしい。
「すう……」
「寝顔もかわいいなあ……」
そっと頬を撫でると、その手を弱い力で掴まれた。
「……け……」
「うん?」
「ごけ……」
彼女はすり、と手に頬を寄せる。無意識で甘えるなんて仕草をされて、心臓がばくばくと高鳴った。
「っ……ちょっと、かわいすぎじゃない?」
「……すう……」
眠っている彼女の額に額をくっつける。あまりにも無防備で愛らしい。
「ねえ主、どんな夢見てるの?」
「ごけ、と、デートしてる……」
「デートかあ、どこに?」
「カフェ……ごけが、ワッフル食べてる……」
「ワッフル? おいしそう。主は何食べてるの?」
「パフェ……」
審神者はむにゃむにゃと口を動かしている。夢の中でも逢瀬をしてくれているなんて、嬉しいことこの上ない。
「ねえ主、お昼寝終わったらほんとうに食べにいっちゃおうか」
「うん……行く……」
夢の中にいる審神者は、いつもより幾分正直だ。普段はデートの約束の返事をもらうのにもう少し時間がかかる。
「へへ、やった」
言質は取った。後家は審神者の頭をぽんぽんと撫でて、箪笥の中にある現世に溶け込める服に着替え始めた。
「おつかい頼まれてたけど、おつうに代わってもらおーっと」
現世にデートに行くのは久しぶりだ。支度を終えて、まだ夢の中にいる審神者に口づけを落とす。
「夢でも現実でも、ずーっと一緒にいようね、主?」
全てを幸福に満たされた男は、心の底からの笑みを浮かべた。
仕事がひと段落して、目を擦って眠そうにしていた彼女を見つけ、昼寝をしようと部屋に連行した。真面目な彼女は最初は渋ったが、涼しい部屋で頭を撫でてやるとすぐに夢の中へ落ちていった。
「疲れてたんだろうなあ……」
彼女は仕事が溜まっている状態が気持ち悪いらしく、政府から仕事を与えられるとどれだけ締め切りが先でもそれをこなしてしまおうとする。真面目なのはいいことなのだが、ここまで詰め込みすぎなのは心配だ。
彼女を叱るのはもっぱら近侍である長義の役目だが、最近はそれが後家に変わってきている。長義曰く、『恋刀の言うことなら素直に聞くだろう? 主も君の言葉なら強く返せないようだし』とのことだった。確かに審神者は後家が心配しているから休んで欲しいと言うと、困ったような顔をした後に言うことを聞いてくれるのだ。
「ん……」
審神者がころんと寝返りを打って、こちらに顔を向ける。幼子のようなあどけない寝顔が愛らしい。
「すう……」
「寝顔もかわいいなあ……」
そっと頬を撫でると、その手を弱い力で掴まれた。
「……け……」
「うん?」
「ごけ……」
彼女はすり、と手に頬を寄せる。無意識で甘えるなんて仕草をされて、心臓がばくばくと高鳴った。
「っ……ちょっと、かわいすぎじゃない?」
「……すう……」
眠っている彼女の額に額をくっつける。あまりにも無防備で愛らしい。
「ねえ主、どんな夢見てるの?」
「ごけ、と、デートしてる……」
「デートかあ、どこに?」
「カフェ……ごけが、ワッフル食べてる……」
「ワッフル? おいしそう。主は何食べてるの?」
「パフェ……」
審神者はむにゃむにゃと口を動かしている。夢の中でも逢瀬をしてくれているなんて、嬉しいことこの上ない。
「ねえ主、お昼寝終わったらほんとうに食べにいっちゃおうか」
「うん……行く……」
夢の中にいる審神者は、いつもより幾分正直だ。普段はデートの約束の返事をもらうのにもう少し時間がかかる。
「へへ、やった」
言質は取った。後家は審神者の頭をぽんぽんと撫でて、箪笥の中にある現世に溶け込める服に着替え始めた。
「おつかい頼まれてたけど、おつうに代わってもらおーっと」
現世にデートに行くのは久しぶりだ。支度を終えて、まだ夢の中にいる審神者に口づけを落とす。
「夢でも現実でも、ずーっと一緒にいようね、主?」
全てを幸福に満たされた男は、心の底からの笑みを浮かべた。