幻想水滸伝
人間誰しも、その背には逆鱗を持っている。
英雄談議
「ねぇねぇ、アップルさん」
「はい、なんですか? ヒューゴくん」
「十五年前の英雄って、どんな人だったの?」
「ああ、サクラさんですね。そりゃあもう、可愛いらしい方でしたよー。笑顔がまるで花みたいで……」
「……女の人……なの?」
「? いいえ、男性ですよ。というより、少年です。
ですが、彼はまさに英雄でしたね。あの笑顔と性格、それら全てがどんな人の心をも引き付け、彼のためならば命も惜しくないと思わせた……本当に不思議な方です。
城の中ではしょっちゅう転んで、笑って、泣いて……でもひとたび戦場に立てば、彼は何万もの兵を従える同盟軍のリーダーになる。その力強さはどんな妄執も切り捨てた」
「じゃあ、十八年前の英雄は? えーっと、リ……リライだっけ?」
「リロイ・マクドール様……ですね」
「そうそう、その人はどんな人だったの?」
「彼は――言葉で表現するのは、難しいのですが……そう、一言で言えば、性格破綻者ですね!」
「……えっ?」
「あの全てを見透かすような目も、誘導尋問みたいな語り口も、いつも余裕振った笑み浮かべて人の揚げ足取って、今思い出しても頭に来ますよ、あの人はッ!
今でもどこかで生きているでしょうから、会ったら横っ面に一発お見舞いしてやりたいですよッ!」
「あ……アップルさん……?」
「ヒューゴくん!!」
「は、はいッ!?」
「あなたはあんな人間になってはいけませんよ!
思いやりを! 労りの心をお持ちなさい!」
「は、はい!」
「あれはヒトではありません! そう、人間の皮を被った悪魔よ! あの人に比べたら、ユーバーなんて可愛いものだわ」
「え、ええーッ!?」
「そうだわ! ルックくんがはっちゃけちゃったのも、きっとリロイさんが原因に違いないわ!
ああ、もうなんて迷惑な人なのかしらッ!!」
「えっ? え~~っ?」
決して、触れてはならない。
・END・
☆お粗末さまでした☆
ヘタな説明はしない方が良いと思ったので、会話のみで。
うちのアップルちゃんは、坊っさんが大嫌いなんです。