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まさにヒューマンエラーと言うしかなかった。
ラッピングご希望のお客様がたくさん来店され、あろうことかお包みしたお品物を間違えて渡した。それだけではなく、価格を間違えてレジ入力をし、お客様に多くお支払い頂いてしまった。レジ入力については、その場で気づいたためすぐに訂正することが出来たが、ミスはミスだ。それに変わりはない。
2年ほどアパレルで店員として働いてきて、こんな失態は初めてだ。誰に慰められても私自身が許せない。気持ちを切り替えて、なんて簡単に言う。それができる人間ばかりではないのに。
「ただいま」
精神的なものも相まって、体が酷く重たい。どうやって家に帰ってきたかも覚えていない。なにもしたくない。化粧すら落とすのが面倒だ。ヒールを雑に脱ぎ捨て、リビングのドアを開ける。
「お帰りなさい」
「…………なんでいるの」
我が物顔でソファーを独占する恋人の姿。いや、本当にどうしているの。来てくれて嬉しい気持ちと、いまは相手出来そうにない気持ちが複雑に混ざり合う。
「俺が来ちゃ駄目なことでも?」
「そんなことはないけど。……今日はごめん、早く寝たいの」
鞄も重たいし、早く横になりたい。早口で言い終えると、私は洗面台へ向かおうとした。
ふわり、と頬が茨の手で包まれる。珍しい行動に驚いて動けない。
「何かあったんですか」
「……なんで」
「随分疲れた顔してるな、と。仕事でミスでもしました?」
図星を突かれた。というか、
「そう思ってて、よく直球で聞けたね。普通オブラートに包むでしょ」
「ああ! それは、すみませんでした。今日は無駄に言葉遊びをするのも億劫かと思いまして。」
途端、いつもの対外的な調子に戻る茨に、私は静かにため息をついた。
「気、遣ってもらって悪いんだけど。本当に早く休みたいから。適当に過ごしてて」
「……夕食は?」
「食べる気しない。っていうか、何も買ってない」
「そう言うと思って、とっくに作ったんですが。要らないなら、処分しますね」
「ちょっと待って」
「あ。やっぱり食べます?」
「……食べる。もったいない」
「ははっ、そこで俺の料理が食いたいなんて健気なことを言わない貴女が好きですよ」
温めてくるので、少々お待ちを。言いながら、茨はキッチンへと向かった。
冷えていた体が、室温で緩やかに温まっていく。漠然と今日はいつもより眠れそうだなんて。
ラッピングご希望のお客様がたくさん来店され、あろうことかお包みしたお品物を間違えて渡した。それだけではなく、価格を間違えてレジ入力をし、お客様に多くお支払い頂いてしまった。レジ入力については、その場で気づいたためすぐに訂正することが出来たが、ミスはミスだ。それに変わりはない。
2年ほどアパレルで店員として働いてきて、こんな失態は初めてだ。誰に慰められても私自身が許せない。気持ちを切り替えて、なんて簡単に言う。それができる人間ばかりではないのに。
「ただいま」
精神的なものも相まって、体が酷く重たい。どうやって家に帰ってきたかも覚えていない。なにもしたくない。化粧すら落とすのが面倒だ。ヒールを雑に脱ぎ捨て、リビングのドアを開ける。
「お帰りなさい」
「…………なんでいるの」
我が物顔でソファーを独占する恋人の姿。いや、本当にどうしているの。来てくれて嬉しい気持ちと、いまは相手出来そうにない気持ちが複雑に混ざり合う。
「俺が来ちゃ駄目なことでも?」
「そんなことはないけど。……今日はごめん、早く寝たいの」
鞄も重たいし、早く横になりたい。早口で言い終えると、私は洗面台へ向かおうとした。
ふわり、と頬が茨の手で包まれる。珍しい行動に驚いて動けない。
「何かあったんですか」
「……なんで」
「随分疲れた顔してるな、と。仕事でミスでもしました?」
図星を突かれた。というか、
「そう思ってて、よく直球で聞けたね。普通オブラートに包むでしょ」
「ああ! それは、すみませんでした。今日は無駄に言葉遊びをするのも億劫かと思いまして。」
途端、いつもの対外的な調子に戻る茨に、私は静かにため息をついた。
「気、遣ってもらって悪いんだけど。本当に早く休みたいから。適当に過ごしてて」
「……夕食は?」
「食べる気しない。っていうか、何も買ってない」
「そう言うと思って、とっくに作ったんですが。要らないなら、処分しますね」
「ちょっと待って」
「あ。やっぱり食べます?」
「……食べる。もったいない」
「ははっ、そこで俺の料理が食いたいなんて健気なことを言わない貴女が好きですよ」
温めてくるので、少々お待ちを。言いながら、茨はキッチンへと向かった。
冷えていた体が、室温で緩やかに温まっていく。漠然と今日はいつもより眠れそうだなんて。