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それは、まるで白雪姫のように。
「おはようございます」
――そう言って笑った、あなたの唇が私の唇に触れた。
「……おはよう」
「紅茶、入れてますよ」
「……ありがとう」
「まぁだ、寝ぼけてるんすか?」
「……うん」
途端、視界が薄暗くなり、再び唇に熱が灯る。ジュンに口付けられているのだと分かったのは、彼が名残惜しそうに離れたとき。
「これで、目。覚めました?」
挑発的に笑う彼を、それでもまだ覚めない寝ぼけ眼で睨みつける。
「私の彼氏は、いつからキス魔になったの?」
「したい時にしちゃ、いけないんすか?」
「……随分、言うようになったし」
「イイコちゃんで居てほしいなら、その通りにしますけど?」
なおもどこか私に対して煽るような態度を改めないジュンに、ひとつだけため息をついて、ベッドから起き上がる。
「イイコちゃんなんて、今更」
「これでも礼儀は守ってるつもりなんすけどねぇ……」
困ったように頭を掻きながら、起き上がった私に黒のカーディガンを肩にふわりと掛ける。……こういうところは流石というか。
「ちひろさん」
控えめな声で呼ばれた彼に顔を向けた瞬間、それが彼の罠だと気づいた。三度、薄い唇が私と重なる。そっと、しかししっかりと後頭部に回されたジュンの右手に力が篭もった。私と彼の距離が、よりゼロになる。
気持ち、先の二回よりも長い。息が続かないので、そろそろ勘弁して頂きたい。限界を知らせるようにジュンの筋肉質な腕をタップする。
「……」
いや、動いてよ。素知らぬ顔で続けないでよ。酸素が恋しいんだよ、こっちは。
酸欠になりそうなので、先程よりも気持ち強めに腕を叩く。反応無し。
――いい加減にしなさい。
「……なに、」
キスに夢中の、彼のその唇。いままさに重なっているそれに、少しだけ歯を立てた。瞬時に離れるジュンの隙をついて、ようやく私は解放される。
「なに、じゃないの。長すぎ。戯れもいい加減にしなさい」
今度こそ、はっきりと眠気が覚めた目でジュンを睨めつけた。そのまま彼を放置して、私はさっさとリビングへ向かう。今日が休日だからといって、ハメを外しすぎてはいけない。何しろ、まだ朝だ。アイドルとはいえ、現役の男子高校生でも、時間はわきまえてもらわなければ。
リビングに入ると、確かに紅茶と、パンの香ばしい香りが充満している。キッチンスペースに入り、十分に蒸らされている紅茶をカップに注ぐ。ふんわりと立ちのぼるアールグレイの香りに目を細めて、一口。
「どうっすか?」
邪魔しない程度に、腰へ添えられたジュンの右手。それには敢えて気付かぬふりをして、アールグレイを楽しむ。
「美味しいよ。さすが」
「どうも」
はにかんで、先程の口付けからは考えられないほど、あっさりとジュンは離れた。なんだ、ちゃんと離れられるじゃないか、と私も笑ってリビングのソファへと向かう。ローテーブルに、カップを置いて思い出す。――そういえば、朝ご飯。
振り向いた私の腕を掴み、ジュンはもはや四度目となる口付けを落とした。あまりにも突然で、対応できない。短く、断続的に落とされる。
「……少し、蒸らしすぎましたかねぇ」
その形良い唇を濡らすのは、はたしてアールグレイか、唾液か。すっかり上機嫌で朝ご飯の支度を始めたジュンの背中に、そっと、ため息をついた。
「おはようございます」
――そう言って笑った、あなたの唇が私の唇に触れた。
「……おはよう」
「紅茶、入れてますよ」
「……ありがとう」
「まぁだ、寝ぼけてるんすか?」
「……うん」
途端、視界が薄暗くなり、再び唇に熱が灯る。ジュンに口付けられているのだと分かったのは、彼が名残惜しそうに離れたとき。
「これで、目。覚めました?」
挑発的に笑う彼を、それでもまだ覚めない寝ぼけ眼で睨みつける。
「私の彼氏は、いつからキス魔になったの?」
「したい時にしちゃ、いけないんすか?」
「……随分、言うようになったし」
「イイコちゃんで居てほしいなら、その通りにしますけど?」
なおもどこか私に対して煽るような態度を改めないジュンに、ひとつだけため息をついて、ベッドから起き上がる。
「イイコちゃんなんて、今更」
「これでも礼儀は守ってるつもりなんすけどねぇ……」
困ったように頭を掻きながら、起き上がった私に黒のカーディガンを肩にふわりと掛ける。……こういうところは流石というか。
「ちひろさん」
控えめな声で呼ばれた彼に顔を向けた瞬間、それが彼の罠だと気づいた。三度、薄い唇が私と重なる。そっと、しかししっかりと後頭部に回されたジュンの右手に力が篭もった。私と彼の距離が、よりゼロになる。
気持ち、先の二回よりも長い。息が続かないので、そろそろ勘弁して頂きたい。限界を知らせるようにジュンの筋肉質な腕をタップする。
「……」
いや、動いてよ。素知らぬ顔で続けないでよ。酸素が恋しいんだよ、こっちは。
酸欠になりそうなので、先程よりも気持ち強めに腕を叩く。反応無し。
――いい加減にしなさい。
「……なに、」
キスに夢中の、彼のその唇。いままさに重なっているそれに、少しだけ歯を立てた。瞬時に離れるジュンの隙をついて、ようやく私は解放される。
「なに、じゃないの。長すぎ。戯れもいい加減にしなさい」
今度こそ、はっきりと眠気が覚めた目でジュンを睨めつけた。そのまま彼を放置して、私はさっさとリビングへ向かう。今日が休日だからといって、ハメを外しすぎてはいけない。何しろ、まだ朝だ。アイドルとはいえ、現役の男子高校生でも、時間はわきまえてもらわなければ。
リビングに入ると、確かに紅茶と、パンの香ばしい香りが充満している。キッチンスペースに入り、十分に蒸らされている紅茶をカップに注ぐ。ふんわりと立ちのぼるアールグレイの香りに目を細めて、一口。
「どうっすか?」
邪魔しない程度に、腰へ添えられたジュンの右手。それには敢えて気付かぬふりをして、アールグレイを楽しむ。
「美味しいよ。さすが」
「どうも」
はにかんで、先程の口付けからは考えられないほど、あっさりとジュンは離れた。なんだ、ちゃんと離れられるじゃないか、と私も笑ってリビングのソファへと向かう。ローテーブルに、カップを置いて思い出す。――そういえば、朝ご飯。
振り向いた私の腕を掴み、ジュンはもはや四度目となる口付けを落とした。あまりにも突然で、対応できない。短く、断続的に落とされる。
「……少し、蒸らしすぎましたかねぇ」
その形良い唇を濡らすのは、はたしてアールグレイか、唾液か。すっかり上機嫌で朝ご飯の支度を始めたジュンの背中に、そっと、ため息をついた。