小話
ふわりと甘い匂いがしたので後ろを振り返ると、そこには先程には居なかったはずの屈強なボディガードが立っていた。
彼にたずねると鼻に触れた匂いの正体はあまいみつで、虫ポケモンのために常に持ち歩いているそうだ。
「ブブブブブ………」
突然羽音が聞こえたかと思うと、匂いに引き寄せられた野生の虫ポケモンたちが何処からか現れ、目の前にいたボディガードが一瞬にして埋もれてしまった。
ボディガードが何か言っているようだが、虫ポケモンの羽の擦れる音と蜜を吸う音に掻き消されてしまい、まったく聞き取ることができない。
雰囲気からして助けを求めてることはないだろう。
虫ポケモンが好きなボディガードとあまいみつを堪能する虫ポケモンたちとの至福な時間を邪魔してはいけないと思い、私はこの場から静かに離れることにした。
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