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ONE PIECE 〜FILM GOLD〜


「うわぁ…どこもかしこも金金金金…目が痛い」


そう言って目を細める燕。


「にしてもここ、海賊も海軍も普通にいるって異常な空間っすよね」

「グラン・テゾーロ、世界政府公認の中立都市。オーナーは黄金帝ギルド・テゾーロ。世界の20%の通貨を掌握するとされており、海賊はもちろん海軍や世界政府まで金で動かす程の力を持つ。らしい。元海賊だけど。」

「20%?!ほぇぇ!金持ちとかいうレベルじゃないじゃん!」


カッカッとヒールの音を響かせながら歩み寄ってきた女性。


「ようこそ、グラン・テゾーロへ!海軍の燕さんにそのパートナーの雪さん。歓迎しますわ」

「なんで雪達のこと知ってるの?」

「海軍トップクラスの名コンビと名高いお2人ですもの。当然、存じておりますわ。私はここの案内人、バカラと申します」

「そう。よろしく」


喜んでいるわけではなさそうな燕。


「グレイトなお二人にはグレイトなおもてなしを。このグラン・テゾーロ最大の目玉、カジノへご案内しますわ」

「待って、ここに来たのは仕事のため。天竜人に届け物があるの。遊びに来たんじゃない」

「天竜人もカジノの最上階ロイヤルビップルームにいらっしゃいます。どうぞご安心ください」


バカラが指を鳴らすと小亀がたくさん乗った高級車が現れる。


「うわぁ!すっごい高級車!このカメさんかわいい!ソファもふかふか〜!これ乗っていいの?!」

「えぇ、もちろんです。おくつろぎください。」

「ねぇ、カジノより先にホテルはない?安価なものでいいんだけど、シャワーを浴びたくて」

「それならカジノの中にもありますわ。最高級のシャワールームが」

「全部カジノか……私カジノは別に興味ないんだけど…」

「いいじゃないですか先輩!行きましょうよ!せっかくなんですから!こんなところまで来て部屋でちまちまボトルシップでも作る気ですか?!」

「わかったわかった。行く、行くよ」

「それでは、カジノへ!」


車の中で


「先輩何でそんな不満そうなの?こんな豪勢なのに」

「入ってくるときに大量に金粉浴びたでしょ?なんか気持ち悪くて。一旦シャワーしたい」

「長距離任務の時は2、3日水浴びで過ごす人が何言ってんすか」

「ここまで雪を乗せて飛んできたのは誰だったっけ?」

「先輩です!ありがとう大好き!」

「違うそうじゃない」


カジノ


「ではお2人共、こちらに着替えていただけますか?当店ドレスコードがございまして、レンタルもドレスやタキシードを数多く揃えております」

「わー!ドレスかわいい!」

「も、もう少しシンプルというか、露出の少ないものはないの?」

「ではこちらはいかが?」

「いや先輩はこっち!こっちの方が似合う!」

「うーん…せめて羽織るもの頂戴」


中に入ると


「騒がしい!耳が…!」

「先輩ほんと感覚鋭すぎて困りすぎだよね」

「ゴーグルもイヤマフもない…拷問だ…」

「耳栓は?」

「ない。とにかく早く届けて帰ろう」

「いやせっかくだから遊んでいかなきゃ!」


天竜人に届け物。


「海軍本部准将、天瀬燕です。政府機関からの速達物をお届けに参りました」


ガードマンに伝える。


「お疲れさまです。受け取ります」

「はい、お願いします。すみません、親書なもので、お声だけでもご確認いただきたく存じます」

「分かりました」


ノックをする。


「カマエル聖」

『なんだえ』

「政府からの速達物があると、海軍本部の海兵が来ております。親書のため、カマエル聖ご本人の受け取り確認をお願いしたいと」

『届け物?』

『父上、あれではないですか?この間ご注文なさってた』

『あぁ!あれかえ!わかったえ。それを寄越すえ』


ガードマンが渡してきた。


『おぉ、これだえこれだえ。確かに受け取ったえ。ご苦労だったえ』

「ご確認ありがとうございます。それでは失礼させていただきます」




「あーつっかれたー!かたっくるしいのはにがて!」

「天竜人の前で下手なことして打ち首よりマシ。ほら、雪遊んでくるんでしょ」

「もっちろん!!先輩も一緒に行くんですよ!」


カジノホールへ。


「うぅぅやっぱりここうるさい…私端の方にいるから、雪行ってきて。破産しないようにね。お金は貸さないから」

「分かってますよぉ。がっぽり稼いできますね、先輩❤︎」




「こんばんは。美しいレディ。貴方ほどの女性が壁の花だなんてもったいない。ぜひエスコートさせてください」

(あ、黒足。こいつ、気づいてないのか)

「いいです。騒がしいのは苦手なので。私はツレに付き合って来ただけで…」

「ではテラスでお話しませんか?少し喧騒から離れてゆっくりシャンパンでも」

(……静かなところには行きたい…けど……まぁいいか、中立都市だし)


テラスで風に当たる。


「レディ、飲み物は何がいいかい?」

「甘いのが欲しい。けど、ここじゃなかったら捕まえてましたよ、黒足」

「え?……あぁ!!海軍の燕ちゃん!!普段のクールビューティな様子から見違えて華やかで気がつかなかったよごめんね!ドレスとっても似合ってるよ!綺麗だ」


燕の手を握るサンジ。やんわり押しのける。


「麦わらの一味もカジノとか来るんですね。豪遊とは無縁かと思っていました」

「確かに普段なら食費で大半消えるからねぇ。でも今日は最初に3000万分借りてて、もう十数倍には増えたよ。ルフィの馬鹿も運だけは最強だからな」

(…それ後から嵌められるやつでは…?海賊が破産しようがどうでもいいけど…)

「あー!!先輩こんなところにいた!探したんですよぉ!」


むすっとして駆け寄ってくる雪。


「あぁ雪、ごめん。ちょっと静かなところに避難してたの」

「興味ないって顔しながらちゃっかり男引っ掛けてたの?!ずるーい!」

「違う違う。よく見なさい馬鹿」

「え?あ、黒足?!」

「燕ちゃんのツレってこの子かい?!なんてキュートな美少……美……なんだ男か」


すんっと真顔になるサンジ。


「うへぇ、初見でわかるんだ怖っ」

「当たり前だ!俺はレディにしか興味はねぇ!」


遠くから呼ぶ声が。


「おーいサンジー!!次行くぞー!!」

「あぁぁ分かったよ!待ってろ!じゃあねぇ〜!燕ちゅわぁん❤︎また会おうね〜❤︎」

「うるさっ」




「ふふふ、稼いだ稼いだ」

「ほとんど貢がれてただけじゃなかった…?」

「いいの!それも雪の実力なの!」

「はいはい。早くホテルで休みたい…」

「先輩、夜は豪華なディナー行こ!もちろん雪の奢りで!」

「フレンチとかは嫌だよ、私」

「お寿司!」

「それならまぁ」



ゾロの処刑カウントダウン。


「やっぱり」

「やっぱりって?」

「3000万も元手借りてるって言ってたから、嵌められるんじゃないかと思ってた」

「あー、それはご愁傷様って感じ…」

「そもそもあのバカラとかいう人も怪しいもの。客の持ち上げ方が異常だし、どうやってもカジノに連れて行こうとしてたじゃない」

「でもそれは雪達有名だしお金持ってそうだったからって言ってたよ?」

「雪、来るときに金粉浴びたでしょ」

「え、うん」

「あれだけの金粉をかぶって、どこにも付いてないのおかしいと思わない?」

「え……あ!確かに、服についたの払ったりしてない!どういうこと?!」

「分からないけど、ただの金粉じゃないってことは確か」

「だから先輩あんなに気持ち悪いからシャワー浴びたいって言ってたのかぁ」



でんでん虫に連絡が入る。


「燕准将、政府からグラン・テゾーロへの軍艦の出動要請があった。至急向かえ」

「あー……はい」
(もう居るんだよな…)

「なんだその歯切れの悪い返事は」

「いや、何も。出動ですね。分かりました」


電話を切る。


「雪、雪〜」

「はぁい?」

「出動要請。ここに軍艦が集められるって」

「まじか!まぁ麦わらの一味があんなことしてんだからそりゃ一悶着二悶着あるか…」



外に出ると雨が降っている。


「えー、先輩傘持ってないですよね」

「このくらいの雨気にしないの」


踏み出した燕がすぐに足を止める。


「先輩?」

「雪、待ってこれ…」

「え?あっ冷たい!海水?!なんで海水が降って…って先輩大丈夫ですか?!」

「大丈夫。というか、もう止んだみたい。行くよ」


飛んで軍艦へ向かう。


「先輩!あれ!」


雪に言われ見おろすと、黄金が津波のように街を包んでいく。


「何これ…」



敷地内から軍艦へ。


「燕准将!雪大佐!お疲れ様です!」

「うん」

「ありがとっ」

「淡白で有名な海兵殿がこんなところで豪遊とは…意外なものだ。」

「うわっCP0……」


嫌そうな顔の雪。燕はなかったことにして海兵に話す。


「それで、これは何の招集?」

「政府からの要請でして…」

「(ルッチがなんか説明)」

「あーこの案件は随分厄介そう…帰りたい」


天竜人からの電話。


「早く助けるだぇぇ!!こっちはもう船にいるぇぇ!!」

「……わかりました。護衛に海兵を向かわせます」

「早くしろぇぇ!」


電話切る。


「そこの鳥共、天竜人のお守りだ」

「貴方は私の上司ではないはずだけど。でもまぁ分かった。」

「あーあ、お守りか。大変だ」


2人は天竜人の方に飛んでいく。


「護衛につきます。准将、燕です」

「大佐、雪です」

「何でもいいからわちしらを守るんだぇぇ!」

(なんだこいつ赤べこみたいな首してんな)
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