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ハリー・ポッターと賢者の石

「僕が……魔法使い?」


見たこともないような店や商品。変わったローブをまとった人々。めまぐるしい人波と耳慣れない単語の喧騒。街並みすら目を奪われるものばかりで目が回りそうになる。
一通りの買い物が終わってハリーにも疲労が見た頃、ハグリッドが思い出したように言った。


「そうだそうだ!忘れとった!お前に紹介せにゃならん奴がおった!」

「紹介しなきゃいけない人?」

「この時間ならあそこにおるだろう。行くぞ!」

「あ、待ってよハグリッド!」


大勢の人で賑わうカフェ。シックなボルドーのパラソルが開くテラスにはスイーツを楽しむ沢山の女性達の姿があった。


「お!おったおった!おーい![#dn=2#]!」


ハグリッドはテラス席で1人パンケーキを頬張る女性に声をかけた。女性はパンケーキで頬を膨らませたまま顔を上げる。


「ん?んー!はふひっほふん!!んぐっ…早かったねー!買い出しおわったの?」

「おうよ」

「ちょっと待ってて。今そっち行くから」


女性は残ったパンケーキを幸せそうに頬張るとテラス席から降りてきた。襟のついた黒いワンピースにブーツ。腰にはポーチを下げている。彼女が他の人のようにローブを着ていない事に違和感を覚えたハリーは、自分がもう魔法の世界に慣れてきたように思えて少し嬉しくなった。


「ハリー。[#dn=2#]・[#dn=1#]だ。お前さんの事はよう知っとる。」

「よ、よろしくお願いします![#dn=1#]さん」

「[#dn=2#]でいいよ。敬語もなし。困った時はいつでも頼って」

「うん、ありがとう」


[#dn=2#]は懐かしむような、慈しむように目を細め微笑んでいる。


「[#dn=2#]?」

「あぁ、悪いね。不躾だった」

「ううん、いいんだ。どうかしたの?」

「何でもないよ。……いや、ごめんね。君のご両親を知っているから、そっくりだなぁと思って」

「[#dn=2#]は2人と仲良かったからな。」

「…[#dn=2#]、いつか、パパとママの事いっぱい聞かせてよ」

「もちろん」

数秒の沈黙はそれぞれ思いを巡らせているのだろう。

「おっと、俺は仕事があるんだ。[#dn=2#]こっから任せてえいか?」

「うん。ハリー君行こう」


「はい、これ切符。私は汽車には乗らないから、迷子にならないようにしなよ」

「うん……あれ?でもおかしいよ?9と4分の3番線なんて…[#dn=2#]?…いない…」

取り残されたハリー
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