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「ん……ふぁ…ぁああ……朝…ん…?」
身動きが出来ず不思議に思い、目を開ける。目の前にはローの寝顔があった。端正に整った顔立ち、普段の眉間のシワがない分幼くも見えドキッとする。[#dn=2#]がローの腕から抜け出そうと身をよじるとローが目を覚ました。
「ん……はよ」
「あ、お、おはようございますっ……あのっ…せ、せんっ…船長さんっ…な、何で私のっ…何でここに…」
「眠れたか」
「え?は、はいっ……あの、も、もう離して…」
「駄目だ。冷えてる」
「で、でも……ち、近っ…い…です…」
ガチャ
「[#dn=2#]〜、おはよう!ごめんね、今日一緒に寝られなくて。大丈夫だった?」
「あ、だ、大丈夫ですっ…あ、あの、ベポっ…」
「あ!キャプテンと寝てたんだね!よかった!」
ダイニングへ。
「あれ、船長が朝飯来るなんて珍しいっすね」
「あぁ」
「お、[#dn=2#]も起きてきたのか。おはよう、飯食うか?」
「はい。おはようございます。お願いします」
「ベポいなかったけど寝れたか?」
「は、はい」
「キャプテンと一緒に寝てたんだって。よく寝れたみたいで良かったよ〜」
ざわつくダイニング。すこしいたたまれない[#dn=2#]だった。
[#dn=2#]は雑用をポンポンとこなしていた。馴染んできて、[#dn=2#]も気が緩んでいたのだろう。
「あ、やべっ」
その声と共にガッシャァァンと大きな音が響く。背後でシャチが皿を割った音に驚いて耳と尻尾が出てしまった。
「え?!お前それ何?!」
「あ…え、えっと……これは…」
「犬?狼?」
「…狐です」
「悪魔の実か?」
「い、いえ、生まれつきで…」
クルーにまとめて質問責めにされる。
「あ、あのっ!!降参!!降参です!ちゃんと、全部話しますから。……聞いていただけますか」
「あぁ」
「わたしが生まれたのは、みなさんが見たあの村です」