パンクハザード
子供達について
「“キャンディ”ですね」
「それが、覚醒剤なのか?!」
「おそらく。決まった時間…“検査”の後がお決まりだったようです」
「……それを見ていて、何とも思わなかったのか……?」
怒りや悔しさの混じった顔のチョッパー。表情からは感情が読み取れない悠。数秒の沈黙。
「……そうですね。そう見えますか」
悠の表情が少し崩れる。感情の滲む微笑み。ハッとするチョッパー。
「…ごめん…」
「見て見ぬ振りをしていたのは事実です。あなた方がいるのなら、この子達も、もう心配要らないでしょう」
そっと、眠る子供の頭を撫でる悠。愛おしそうな、寂しそうに微笑む。
ローの帽子にチョッパーを乗せる。麦わら一味は笑い転げ、悠は真顔でカメラを連写している。
「ローさんめっちゃ面白い!いいと思うソレ!」
「おい……」
不満げなローは悠を睨む。
「大丈夫です船長。最高です。皆にとても良い土産ができました。きっと大喜びです」
「ふざけるな。消しとけよその写真」
悠は信じられないというような顔をする。
「俺がおかしいみたいな顔をするな」
「こんな可愛いレア写真消すなんて正気じゃありませんよ」
「正気じゃないのはお前だ!全く…」
ローはチョッパーを鬼哭の先にくくりつける。
「さっさと行くぞ」
不機嫌なロー。悠は小狐姿になるとローの肩に乗り、首元に尾を巻きつける。
(マフラーだ)(マフラーみたい)
研究所前
ルフィが突っ込んでくる。
「あのバカ!誰が全軍相手にしろと言った!?」
「私、向こうについていた方が良かったかもしれませんね…」
モネが1人で部屋にいる。
悠も人型に戻ってローのそばで。
「Mならいないわよ」
「ちょっとお前の能力を借りてぇんだが…一緒にいいか?」
「あら、デート?嬉しい❤︎」
悠の目が怖い。
「ふふ、そんなに怖い顔しなくても貴女のご主人を盗ったりしないわよ。狐さん」
「悠、お前は待ってろ。いいな」
からかうようなモネに眉間のシワを寄せつつ、悠はしぶしぶうなづいた。ロー達の背中を見送る。悠の役目はチョッパーとキャンディについて調べる事。私情は自重しなければ。
「トナカイさん、行きましょう」
「う、うん」
探索中、悠がふと耳を立てる。
「どうした?」
「いえ………」
(船長の声……)
「トナカイさん、すみません。少し別行動させてください」
「え?あ、おい!悠!?」
小狐姿で駆け出す悠。
(匂いが濃くなる……近づいてる……けど、これは……)
「こんなところに犬畜生が迷い込んだか」
目の前に現れたのは白いコートの男。思わず飛びのく悠。
「あぁ、お前はローのペットだな」
(あの人は、怖い。あの気配、あの匂い、覚えはないはずなのに怖い。もしかしてこれは、船長の……)
走って逃げるべきだと脳は訴えるが、体が恐怖を覚えている。動けない。
(船長は、船長は無事なの……?)
それを読み取ったのか、男はでんでん虫を取り出しながら言った。
「お前の飼い主はすでに捕まえた」
「…っどういうことですか」
悠は人型に戻り刀に手をかける。
「お前のことはジョーカーから特に指示はなかったが……勝手に殺すわけにもいかんだろう」
「捕まるつもりもありませんよ」
飛びかかる。が、あっさりと弾かれ組み敷かれてしまった。
「うっ……く…」
「少し黙っていろ」
組み敷かれたまま、右の手首をグッと捻る。
「あ"ぁっ…!!」
でんでん虫が着信を受けた。
「ジョーカー、ローのペットを捕まえた。どうする」
『フッフッフッフ……そうか、よくやった。まだ殺すな。牢に入れておけ』
「……誰」
『フッフッフ、ローの犬か。俺はジョーカーだ。お前らが俺の輸出ルートを潰そうとしてることくらい伝わっている。残念ながら、ヴェルゴとモネがそっちに潜入しているからな』
「モネ…!そんな、じゃあ船長はっ……」
「だからもう捕まえたと言っただろう。逃げたところでローの心臓は俺が持っている。取り返しに戻ってくるに決まっている」
「っ…!!」
悠はボッとヴェルゴのコートに火を伝わす。一瞬引いたヴェルゴに炎を纏わせた刀で襲いかかる。
「返して!!!」
猛攻撃を仕掛けるが全て受け止められてしまう。
「船長の!心臓を返して!!」
悠の攻撃を受けながら、ヴェルゴはでんでん虫を置く。
『どうした、ヴェルゴ』
「いや、ローはペットの躾もできていないようだ。」
『フフッ、噛み付かれたか。まぁ殺さん程度に黙らせておけ』
「了解」
その会話が終わった途端、悠は左側腹部に衝撃を感じ、壁まで吹き飛ばされた。体内が熱い。痛い。胃から何かがせり上がってくる。
「っ……かはっ……」
血を吐く悠。
(見えなかった…!)
「大人しくしろ」
ヴェルゴが悠を持ち上げようと伸ばした手をペシッと弱々しく振りはらい、グッと膝を立てる。ヴェルゴは棒で悠の頭を殴る。
「ゔぁっ……!」
悠は額から血を流し、脳震盪を起こして目が霞んできている。
「まだ立つか」
ヨレヨレになりながら立ち上がる。
「しつこい犬だ。殺してしまわんうちに諦めろ」
「誰が…!」
悠が刀を構え直した瞬間、ヴェルゴは悠の腹をグッと殴った。
「ぐっ……かはっ……」
悠はそのままぐったりと意識を失った。ヴェルゴはそれを脇に抱えた。
、、、
牢に入れられているロー達。
「なんかデジャヴ」
「そうね。あなた達が同じ檻の中にいるのは見覚えがあるわ」
「そうだ!アラバスタでワニとロビンに捕まった時だ!」
そこにヴェルゴが現れる。何かを抱えている。
「いくら喚こうが構わん。そこで死を待て。あぁそれから、ロー、ペットはきちんと躾けておけ」
ヴェルゴが牢の前に投げ捨てたのはぼろぼろの悠。
「……っ悠!!ヴェルゴてめぇ……!!」
ローは牢外のヴェルゴを睨みつけ、柵に寄る。
「悠!おい!悠!!」
「安心しろ。殺してはいない。しばらく目は覚めんだろうがな」
「くそっ……悠!」
ローは必死に悠を見る。横になっているため髪で顔が隠れてしまっているが、わずかに肩が上下している。
(よかった…呼吸はしている。弱々しいが…)
髪がはらりと落ち、額からの血が見える。
「悠、悠」
必死に呼びかけるロー。
「ゔっ……」
呻いて、悠が少し目を開く。
「悠!」
「せん、ちょう………ご無事、ですか……」
「馬鹿野郎!!お前……何をされた!」
「船長っ……っ……かはっ……」
悠は血を吐く。
「そう睨むな。少し黙らせただけだ」
ヴェルゴは悠をかかえて牢に投げ入れる。
「ゔっ…」
「悠!」
「そうだ、船長、船長、の、心臓…取り返、さなきゃ……」
「わかった。わかったから休め」
悠はゆるりとうなづいた。
、、、
牢の中、煙に紛れて。
悠のコートの中を弄るロー。
「せ、船長っ……やめっ…」
「動くな」
「でも……い"っ……たい……」
「肋骨…2本は折れてるな。血を吐いていたな、内臓もいってるか。頭は脳震盪ですんでるようだが……他は?」
「大丈夫です。大丈夫ですから」
ローは悠の右手を掴む。
「っ……」激痛
「折れてはいないか。足は無事だな。動けるか?」
「はい」
まだふらついている悠
「お前はこっちだ。戦闘には出るな」
「……分かりました」
素直に狐姿でローの服に潜り込んだ。
毒の霧
小狐がパッと飛び出してぶわっと風が吹き少女に変わる。
「少し抑えます!早く奥へ!!」
そういうと少女は風邪を操り毒霧を押さえ込んだ。
「助かった!ありがとう!」
悠も息が荒い。そのまま戦闘も。
「はぁ…はぁ……くっ……はぁ…」
またふらついてくる。
「ゔっ……」
ガクンと膝をついた時、背後から飛びかかってくる影。やばいと思った瞬間、抱きかかえられてぐいっと引かれた。
「っ……ゔっ……ルフィ、さん…」
「お前もう下がってろ。無理すんなってトラ男にも言われたろ」
「でも…私はまだ……いえ、足手纏いですね……置いていってください。」
「馬鹿言え。お前怪我してんだろ?ちゃんとトラ男のとこ連れてくから、しっかり掴まってろよ」
「…ルフィさん……」
「よし、いくぞ」
肩に担がれる。
「うぐっ……あ、ちょ、ルフィさん、腹部は…腹部はやめて下さい…」
「あ、わりぃ」
背中に背負われる。
「“キャンディ”ですね」
「それが、覚醒剤なのか?!」
「おそらく。決まった時間…“検査”の後がお決まりだったようです」
「……それを見ていて、何とも思わなかったのか……?」
怒りや悔しさの混じった顔のチョッパー。表情からは感情が読み取れない悠。数秒の沈黙。
「……そうですね。そう見えますか」
悠の表情が少し崩れる。感情の滲む微笑み。ハッとするチョッパー。
「…ごめん…」
「見て見ぬ振りをしていたのは事実です。あなた方がいるのなら、この子達も、もう心配要らないでしょう」
そっと、眠る子供の頭を撫でる悠。愛おしそうな、寂しそうに微笑む。
ローの帽子にチョッパーを乗せる。麦わら一味は笑い転げ、悠は真顔でカメラを連写している。
「ローさんめっちゃ面白い!いいと思うソレ!」
「おい……」
不満げなローは悠を睨む。
「大丈夫です船長。最高です。皆にとても良い土産ができました。きっと大喜びです」
「ふざけるな。消しとけよその写真」
悠は信じられないというような顔をする。
「俺がおかしいみたいな顔をするな」
「こんな可愛いレア写真消すなんて正気じゃありませんよ」
「正気じゃないのはお前だ!全く…」
ローはチョッパーを鬼哭の先にくくりつける。
「さっさと行くぞ」
不機嫌なロー。悠は小狐姿になるとローの肩に乗り、首元に尾を巻きつける。
(マフラーだ)(マフラーみたい)
研究所前
ルフィが突っ込んでくる。
「あのバカ!誰が全軍相手にしろと言った!?」
「私、向こうについていた方が良かったかもしれませんね…」
モネが1人で部屋にいる。
悠も人型に戻ってローのそばで。
「Mならいないわよ」
「ちょっとお前の能力を借りてぇんだが…一緒にいいか?」
「あら、デート?嬉しい❤︎」
悠の目が怖い。
「ふふ、そんなに怖い顔しなくても貴女のご主人を盗ったりしないわよ。狐さん」
「悠、お前は待ってろ。いいな」
からかうようなモネに眉間のシワを寄せつつ、悠はしぶしぶうなづいた。ロー達の背中を見送る。悠の役目はチョッパーとキャンディについて調べる事。私情は自重しなければ。
「トナカイさん、行きましょう」
「う、うん」
探索中、悠がふと耳を立てる。
「どうした?」
「いえ………」
(船長の声……)
「トナカイさん、すみません。少し別行動させてください」
「え?あ、おい!悠!?」
小狐姿で駆け出す悠。
(匂いが濃くなる……近づいてる……けど、これは……)
「こんなところに犬畜生が迷い込んだか」
目の前に現れたのは白いコートの男。思わず飛びのく悠。
「あぁ、お前はローのペットだな」
(あの人は、怖い。あの気配、あの匂い、覚えはないはずなのに怖い。もしかしてこれは、船長の……)
走って逃げるべきだと脳は訴えるが、体が恐怖を覚えている。動けない。
(船長は、船長は無事なの……?)
それを読み取ったのか、男はでんでん虫を取り出しながら言った。
「お前の飼い主はすでに捕まえた」
「…っどういうことですか」
悠は人型に戻り刀に手をかける。
「お前のことはジョーカーから特に指示はなかったが……勝手に殺すわけにもいかんだろう」
「捕まるつもりもありませんよ」
飛びかかる。が、あっさりと弾かれ組み敷かれてしまった。
「うっ……く…」
「少し黙っていろ」
組み敷かれたまま、右の手首をグッと捻る。
「あ"ぁっ…!!」
でんでん虫が着信を受けた。
「ジョーカー、ローのペットを捕まえた。どうする」
『フッフッフッフ……そうか、よくやった。まだ殺すな。牢に入れておけ』
「……誰」
『フッフッフ、ローの犬か。俺はジョーカーだ。お前らが俺の輸出ルートを潰そうとしてることくらい伝わっている。残念ながら、ヴェルゴとモネがそっちに潜入しているからな』
「モネ…!そんな、じゃあ船長はっ……」
「だからもう捕まえたと言っただろう。逃げたところでローの心臓は俺が持っている。取り返しに戻ってくるに決まっている」
「っ…!!」
悠はボッとヴェルゴのコートに火を伝わす。一瞬引いたヴェルゴに炎を纏わせた刀で襲いかかる。
「返して!!!」
猛攻撃を仕掛けるが全て受け止められてしまう。
「船長の!心臓を返して!!」
悠の攻撃を受けながら、ヴェルゴはでんでん虫を置く。
『どうした、ヴェルゴ』
「いや、ローはペットの躾もできていないようだ。」
『フフッ、噛み付かれたか。まぁ殺さん程度に黙らせておけ』
「了解」
その会話が終わった途端、悠は左側腹部に衝撃を感じ、壁まで吹き飛ばされた。体内が熱い。痛い。胃から何かがせり上がってくる。
「っ……かはっ……」
血を吐く悠。
(見えなかった…!)
「大人しくしろ」
ヴェルゴが悠を持ち上げようと伸ばした手をペシッと弱々しく振りはらい、グッと膝を立てる。ヴェルゴは棒で悠の頭を殴る。
「ゔぁっ……!」
悠は額から血を流し、脳震盪を起こして目が霞んできている。
「まだ立つか」
ヨレヨレになりながら立ち上がる。
「しつこい犬だ。殺してしまわんうちに諦めろ」
「誰が…!」
悠が刀を構え直した瞬間、ヴェルゴは悠の腹をグッと殴った。
「ぐっ……かはっ……」
悠はそのままぐったりと意識を失った。ヴェルゴはそれを脇に抱えた。
、、、
牢に入れられているロー達。
「なんかデジャヴ」
「そうね。あなた達が同じ檻の中にいるのは見覚えがあるわ」
「そうだ!アラバスタでワニとロビンに捕まった時だ!」
そこにヴェルゴが現れる。何かを抱えている。
「いくら喚こうが構わん。そこで死を待て。あぁそれから、ロー、ペットはきちんと躾けておけ」
ヴェルゴが牢の前に投げ捨てたのはぼろぼろの悠。
「……っ悠!!ヴェルゴてめぇ……!!」
ローは牢外のヴェルゴを睨みつけ、柵に寄る。
「悠!おい!悠!!」
「安心しろ。殺してはいない。しばらく目は覚めんだろうがな」
「くそっ……悠!」
ローは必死に悠を見る。横になっているため髪で顔が隠れてしまっているが、わずかに肩が上下している。
(よかった…呼吸はしている。弱々しいが…)
髪がはらりと落ち、額からの血が見える。
「悠、悠」
必死に呼びかけるロー。
「ゔっ……」
呻いて、悠が少し目を開く。
「悠!」
「せん、ちょう………ご無事、ですか……」
「馬鹿野郎!!お前……何をされた!」
「船長っ……っ……かはっ……」
悠は血を吐く。
「そう睨むな。少し黙らせただけだ」
ヴェルゴは悠をかかえて牢に投げ入れる。
「ゔっ…」
「悠!」
「そうだ、船長、船長、の、心臓…取り返、さなきゃ……」
「わかった。わかったから休め」
悠はゆるりとうなづいた。
、、、
牢の中、煙に紛れて。
悠のコートの中を弄るロー。
「せ、船長っ……やめっ…」
「動くな」
「でも……い"っ……たい……」
「肋骨…2本は折れてるな。血を吐いていたな、内臓もいってるか。頭は脳震盪ですんでるようだが……他は?」
「大丈夫です。大丈夫ですから」
ローは悠の右手を掴む。
「っ……」激痛
「折れてはいないか。足は無事だな。動けるか?」
「はい」
まだふらついている悠
「お前はこっちだ。戦闘には出るな」
「……分かりました」
素直に狐姿でローの服に潜り込んだ。
毒の霧
小狐がパッと飛び出してぶわっと風が吹き少女に変わる。
「少し抑えます!早く奥へ!!」
そういうと少女は風邪を操り毒霧を押さえ込んだ。
「助かった!ありがとう!」
悠も息が荒い。そのまま戦闘も。
「はぁ…はぁ……くっ……はぁ…」
またふらついてくる。
「ゔっ……」
ガクンと膝をついた時、背後から飛びかかってくる影。やばいと思った瞬間、抱きかかえられてぐいっと引かれた。
「っ……ゔっ……ルフィ、さん…」
「お前もう下がってろ。無理すんなってトラ男にも言われたろ」
「でも…私はまだ……いえ、足手纏いですね……置いていってください。」
「馬鹿言え。お前怪我してんだろ?ちゃんとトラ男のとこ連れてくから、しっかり掴まってろよ」
「…ルフィさん……」
「よし、いくぞ」
肩に担がれる。
「うぐっ……あ、ちょ、ルフィさん、腹部は…腹部はやめて下さい…」
「あ、わりぃ」
背中に背負われる。