1話
「さぁ、今日は買い出しだぞ!![#dn=2#]の物も揃えないとな」
「はい」
「まずは服だな。好きなもん買いな」
「は、はい。では、あのお店を見てもいいですか」
「おう。着て帰るやつも選べよ」
「靴も要るな。何足か買っておいた方がいいぞ」
「はい、わかりました」
派手でなく動きやすいものを数着選んだ。靴も歩きやすく丈夫なブーツ。
「次は、下着を見たいのですが…」
「じゃあ俺らはここで待ってるから、行ってきな」
「はい。ありがとうございます」
タオルや髪を結う黒いゴム、部屋の時計など。
「他欲しいものあるか?」
「いえ、十分買っていただきました」
帰宅。
「ただいま戻りました」
「なんだその服は」
[#dn=2#]の姿を見たローは眉間にシワを寄せる。
「変でしょうか…」
「なんでそんな安物買ってきやがった」
「えっと、十分だと思ったので…」
謎の剣幕に萎縮する。
「ついてこい」
「は、はい」
強く腕を引かれ連れて行かれたのは
入るのをためらうような高級店。
「せ、船長!?こんな高級なお店っ…!」
「うるせぇ。おい店員、これとこれと…」
「かしこまりました。お客様、試着室へどうぞ」
「えっ?あのっ、え…」
試着させられたのは全て可愛らしく上品なもの。ワインレッドのコルセットスカート、紺の膝上スカート、白いブラウス、リボン、ループタイ、深緑のカーデガン、黒いベロア素材のフード付きマント、ベージュのワンピース、深緑のパンプス……
「ど、どうでしょうか」
「……次」
ゆうに20着は着せられたのではなかろうか。流石に疲弊してきた頃。
「じゃあこの辺包んでくれ」
「かしこまりました。お値段がウン万ベリーになります」
「?!」
ローはポンと大金を出す。荷物を抱えて帰路につくロー。
「船長、こんな高価なもの……私、いただけません」
「何馬鹿なこと言ってやがる。お前は俺のもんだろう。てめぇのもんに何着せようが俺の自由だ」
「そ、そんなむちゃくちゃな…」
、、、
船長に名前で呼んで欲しい。
「あ、あの、船長」
「なんだ」
「名前…で、呼んで…いただきたい…なぁと…」
きょとんとするロー。あれ?呼んでなかったっけ、と目で訴えているのが分かる。呆れたようにペンギンが助け舟を出す。
「船長、悠のことオマエとかアイツとかって呼んでて“悠”とは言ってなかったっすよ」
「そうか。気をつける。悪かったな、悠」
「あ、いえ、そのっ……あ、ありがとうございます…」
少し頬を染める。
、、、
「シャチさん、あの、お願いがあるのですが…」
「ん?どした?」
「あの……カメラが欲しいんです。」
「カメラ?」
「はい。旅先で見た風景や、出来事を残しておきたくて」