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0話


「妹を捨てた村を嫌いながらも、私ではなかったことに安堵していた。ただ利用されていただけだったのに、それでも妹のように捨てられるのは怖かった。結局私は自分の身を案じていただけだったんです……あの日も私は何も…それどころか、彼らにはバチが当たったのだとすら思ってしまった。本当に罪深いのは私です…」


「村を襲った奴らは、お前を消そうとして村ごと焼いたのか」


「たぶん……誰も助けられなかったのに、私だけのうのうと生きてるだなんて…」


少しの沈黙。


「お前、妹いるんだろ」

「……はい」

「妹探さねーの?」

「…でも、私は旅どころか村から出たことすらなかったんです…妹もどこにいるのか…」

「お前今自分がどこにいると思ってんだ」

「え…?」

「悪名名高い死の外科医、トラファルガー・ロー率いるハートの海賊団!ポーラータング号だ!」

「航海士はオレだぞ!」

「えっ……で、でも私……いいんですか?」

「お前は何がしたい。お前の望みは」


まっすぐ見る。


「妹を、探したいです。生きているならそれだけでいい。それに、広い世界を見てみたい。この数日間ですら、私が初めて見るものがたくさんあった。一生知らずにいたかもしれない。海も空もこんなに広いだなんて。冒険がこんなに楽しいだなんて。初めてなんです。私、何かを求めてもいいんでしょうか」

「海賊なら欲しい物は奪えばいい」

「そうだぞ、[#dn=2#]。お前次の島は買い出し係なんだから」


もう仲間だろ、と微笑むクルー達。


「はい!」
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