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「妹を捨てた村を嫌いながらも、私ではなかったことに安堵していた。ただ利用されていただけだったのに、それでも妹のように捨てられるのは怖かった。結局私は自分の身を案じていただけだったんです……あの日も私は何も…それどころか、彼らにはバチが当たったのだとすら思ってしまった。本当に罪深いのは私です…」
「村を襲った奴らは、お前を消そうとして村ごと焼いたのか」
「たぶん……誰も助けられなかったのに、私だけのうのうと生きてるだなんて…」
少しの沈黙。
「お前、妹いるんだろ」
「……はい」
「妹探さねーの?」
「…でも、私は旅どころか村から出たことすらなかったんです…妹もどこにいるのか…」
「お前今自分がどこにいると思ってんだ」
「え…?」
「悪名名高い死の外科医、トラファルガー・ロー率いるハートの海賊団!ポーラータング号だ!」
「航海士はオレだぞ!」
「えっ……で、でも私……いいんですか?」
「お前は何がしたい。お前の望みは」
まっすぐ見る。
「妹を、探したいです。生きているならそれだけでいい。それに、広い世界を見てみたい。この数日間ですら、私が初めて見るものがたくさんあった。一生知らずにいたかもしれない。海も空もこんなに広いだなんて。冒険がこんなに楽しいだなんて。初めてなんです。私、何かを求めてもいいんでしょうか」
「海賊なら欲しい物は奪えばいい」
「そうだぞ、[#dn=2#]。お前次の島は買い出し係なんだから」
もう仲間だろ、と微笑むクルー達。
「はい!」