第一話

その後は他愛のない話をした。
趣味とか、特技とか、好きな食べ物とか。

甘い物について語る時は、やっぱり彼女は楽しそうだった。

いつの間にか空っぽになっていた4皿を重ねて、最後にチーズケーキがいたお皿を乗せる。

外はもう暗くなり始めていた。

「そろそろ帰りましょうか」

「そうだね」

「では、お会計に行ってきます」

「良いよ。僕が払うよ」

「お忘れですか?これはお礼です」

いや、別に忘れてたわけじゃないんだけど。
流石に年下に払わせるのには抵抗がある。
都合よく忘れてくれたら、と思っていたけどダメか。

「お礼、なので」

鋭い目つきでわざわざ強調してきた。
これは意地でも払うつもりみたいだ。
ここで僕が払って、後々何か言われるのも面倒だったので従うことにした。

「今日はありがとうございました」

「いや、こちらこそ。払ってもらっちゃって」

「いえ、私がしたくてしたので」

当然のように言うんだから、何も言えなくなってしまう。

「じゃあ、また」

「はい、失礼します」

丁寧にお辞儀をする彼女を見届けて、今度こそ家へと向かう。

偶然に知り合った女の子、三藤さん。
不思議な出会いだったと呑気に思いながら帰路に付いた。
まだ口内に残るチーズケーキの甘みをほんの少しだけ感じながら。
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