第34話 第一試験の合否…そして第二試験へ
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つれて来られた先は第四十四演習場。別名『死の森』。全体的に薄気味悪い雰囲気に覆われている。
「フフ……ここが死の森と呼ばれる所以、すぐ知ることになるわ……」
「へーん!そんな脅し!ぜーんぜん平気!怖くないってばよ‼」
みんながアンコさんの言葉に息を飲む中、ナルトだけは持ち前のポジティブさ(または空気の読めなさ)で元気である。
「そう…君は元気がいいのね」
なんてニッコリと笑ったかと思うと、ナルトの顔スレスレにクナイを投げつけ、背後にまわっていた。
「アンタみたいな子が真っ先に死ぬのよねェ……。私の大好きな赤い血をぶちまいてね♡」
ナルトの左頬についた傷から流れる血を楽しそうに舐めるアンコさんに、カカシ先生の言っていた意味を悟る。サディストっていうか、この人ヤバイ……!
「どうやら今回は血の気が多い奴が集まったみたいね……。フフ……楽しみだわ」
……アンコさん以上に血の気が多い…っていうか、ヤバイ人はいないと思うけど……。
「あら、彩音。何か言いたそうな顔ね」
「ヒッ……!な…何でもないですよ‼」
アンコさんのニッコリとした笑顔を向けられ小さく悲鳴を上げる。興味の対象がこっちに向くのだけは勘弁してほしい。
「そうだわ!試験が始まる前にこれを配るわね!」
今思い出しました、と懐から取り出されたのは『同意書』と書かれた紙の束。
「これにサインしてねー。こっからは“死人”も出るから、同意とっとかないと私の責任になつちゃうからさ〜♡」
まるで『お財布忘れちゃった〜』くらいの軽さで言われる内容はかなり重い。しかも死人も出るって……。
同意書が回され、手に取ると説明がなされる。
第二試験は極限のサバイバル。その中でなんでもありの“巻物争奪戦”。一斑に一つ配られる『天の書』か『地の書』、それらを二つ集めてゲートから約10kmにある中央の塔に、三人で来ること。期限は五日間。しかも自給自足らしい。これ、かなり厳しいものになりそう……。
「巻物の中身は塔の中にたどり着くまで決して見ぬこと!中忍なら極秘文書を扱うこともあるわ。これは信頼性を見るためよ。…説明は以上!班員の同意書と巻物を交換して、各自ゲート入り口を決めて一斉スタートよ‼。…最後にアドバイスを一言。…………死ぬな‼」
真剣な声色のアンコさんに気を引き締め、同意書を書き、『天の書』と交換する。ここで一つ問題が発生する。巻物を預かるのは誰か。
「…巻物はオレが預かる」
「はぁ⁉オレが持つってばよ‼」
「いいからサスケ君に渡しなさい!」
「ヒデーってばよ!サクラちゃん‼」
……でも、ぶっちゃけ私もナルトに預けるのは少し……いや、非常に心許ない。どこかに落としたとか言いそうで……。
「…ここは大人しくサスケに渡そっか!」
「彩音まで……‼」
がっくりするナルトには申し訳ないが、これは命かかってる。マジで。
もう少し駄々をこねるかと思ったが、意外と素直に引き下がった。三対一で分が悪いって分かったのかな?
そのまま私達は12ゲートを選び、開始の合図を待つ。
「…そういえば、頬の傷、もう平気なの?」
「おう!もう痛くもかゆくもねーってばよ‼」
「そっか……でもナルト、これからは先走ったりしないでね?……死んじゃうことだって、あるんだから……」
「大丈夫だって!もし強い奴が出てきてもオレがやっつけてやるってばよ‼」
私が真剣な顔で言うものの、ナルトは本当に分かってるのかニシシと笑うばかり。私の言いたいこと全然伝わってない……。
「フン……ドベがよく言うぜ」
「んだとコラ‼」
久しぶりの二人の言い争い。なんだか懐かしくて毒気が抜かれてしまう。不安に思ってたのが馬鹿馬鹿しく思えてくる。
「…なんだか、二人がこんなふうに言い争っているのって久しぶりね……」
「最近は同じ言い争いでもずっとピリピリしてたからね……。やっぱり、ナルトとサスケはこうじゃなきゃ!」
あのピリピリとした険悪な雰囲気がとれ、少し前みたいに戻っている。
サクラと笑いあっていると、二次試験開始の合図が鳴る。
「よっしゃあ‼行くぞ‼」
「命令すんな、ドベ」
「ドベ言うな‼」
「はいはい喧嘩はおしまい!仲がいいのは分かったから行くよー」
「「仲良くない‼」」
「…プッ」
声が揃ったことに真似すんなといがみ合うのがおかしくて、ついには噴き出してしまった。なんとか笑いを堪え、久しぶりに斑全員で仲良くなれたことに浮かれながら私達は森の奥へと消えていった。