第31話 vs ロック・リー
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「そこの目付きの悪い君!今ここで、ボクと勝負しませんか?」
試験会場へ向かう途中、広間で突然リーさんがサスケに勝負を持ちかける。何故こうもサスケは目を付けられるのか……。
「ボクの名前はロック・リー。ボクは君と戦いたい!あの天才忍者とうたわれた一族の末裔に、ボクの技がどこまで通用するのか試したい!それに……」
言葉を区切ると、リーさんはこちらをじっと見つめ、ウインクをしてくる。どうしていいのか分からないので、とりあえずニッコリと手を振っておく。
「彩音!あんな奴無視していいってばよ‼」
「彩音さん!君はボクの天使だ‼」
リーさんの投げキッスによってハートが放たれるも、ハートはナルトにクナイで壊され私はサクラの背に庇われる。
「彩音!ナルトはまだいいけどアイツはダメ!下まつ毛も髪型もゲジゲジ眉毛も全部ダメ‼」
「そ、そんなに言わなくても……」
リーさん全否定に、流石にちょっと同情する。めっちゃ濃いけど、悪い人じゃないんだし……。
しかし、ナルトはキレたのか、大きな声を上げてリーさんを指差す。
「もう怒った!ゲジマユはオレがやる!五分もあれば片付くってばよ!」
「ボクが戦いたいのは君じゃない。“うちは”です」
「どいつもこいつもサスケサスケってうるせーってばよ‼」
ナルトが怒りでリーさんへ突っ込むも、簡単にいなされふっ飛ばされる。
「ナルト‼」
慌てて駆け寄るが、大事には至ってない。目立った外傷もなく、ただ気絶しているだけみたい。
「宣言します。君達はボクに絶対敵いません。なぜなら、ボクは今、木の葉で一番強い下忍ですからね」
やっぱり強い……。あの殴られていたのは演技ということか……!
「…面白い。やってやるよ」
…ん?ちょっと待て。今時間って……。
「やめてサスケ君!受付の時間まであと30分もないのよ⁉」
「五分で終わる……」
「サスケ君‼」
サスケ、お前やっぱりナルトと仲いいだろ。なんで五分にくくるんだよ……。
サクラの静止も虚しく、サスケはリーさんと戦い始める。しかしリーさんのスピードは想像を超える速さだ。写輪眼を使うサスケすら捉えられない。
「写輪眼でも捉えられないって……。まさかこれ、体術なの……?」
空中に蹴り飛ばされたサスケの背にピッタリと張り付くリーさんの腕の包帯がほどける。何か大技を繰り出すような雰囲気を醸し出す中、それを止めたのは……
「そこまでだ、リー」
一匹の大きなゾウガメだった。
「リー!今のは禁じ手であろうが‼」
「す…すみません!つい……。でも、“真”の技の方を使う気はこれっぽっちも……」
リーさんをきつく叱るゾウガメ。まさか先生ってことないよね。……え、ないよね?
隣では目を覚ましたナルトが、キョロキョロと不思議そうに辺りを見回す。
「…彩音……オレが気絶してる間に何があったってば……?」
「サスケ、ピンチ。亀、現れる。リーさん、怒られる」
「なんでカタコト……」
私だって今混乱中だわ!
貫禄溢れる亀先生(仮)は、のそのそとリーさんに近付くと、空気が震えるくらい大声で怒鳴る。
「馬鹿者‼そんな言い逃れが通用すると思うのか!忍が己の技を明かすとはどういうことか、分かっているはずじゃ……」
「オ…押忍!」
「覚悟はできてるな……?では、ガイ先生。よろしくお願いします!」
その言葉と同時に、亀の甲羅から立ち上る術煙。徐々に晴れていく視界に、何かが立ち上がる。
「まったく!青春してるなー!お前らーー‼」
それはリーさんを100倍濃くしたような大人。全身緑色におかっぱ、太眉。しかもなんか意味不明なポーズまでつけて。
「うわーー……。なんて言うんだろう、この気持ち……」
「スゲー……。オレ、あんな激眉、初めて見たってばよ……」
「コラー‼君達、ガイ先生をバカにするなーー‼」
「ウッセーってばよ‼変なのばっか出てくるからリアクションに困ってんだよ‼」
「なにお〜〜‼」
ちょっと酷いけどこっそり頷く。そろそろキャラの濃さが飽和状態を越して、胸焼けを起こしそうだ。
「リー!こっち来い!」
「あ!押忍……」
手招きされたリーさん。そしてそのまま……。
「バカヤローーー‼」
「ぐふっ‼」
「うわぉ……」
右ストレートパンチが綺麗にリーさんの左頬にキマる。しかも何故か二人は涙を滝のように流し始め、きつく抱きしめあう。これぞ青春とか言ってるけど、絶対違う。あ…そろそろ本格的に胸焼けが……。
「な…なんかああいうノリ、いいなぁ……」
「バ…バカ‼危険よ‼危な過ぎるわよ‼」
「…ナルトのお願いでもあれは無理。絶対無理。死んでも無理」
羨ましそうなナルトには申し訳無いが、あれに交ざるって言い始めたら止めるかも……。
「それよりカカシ先生は元気かい?君達!」
「カカシ先生を知ってるんですか?」
「知ってるも何も……クク……」
笑うガイ先生を困惑顔で見つめる。目を離しはしなかった。なのに、瞬きした瞬間にはそこにガイ先生の姿はない。
「人はボクらのことを『永遠のライバル』と呼ぶよ……」
真後ろからの声。いつの間に背後を取られていたのか分からない。
「50勝49敗。カカシより強いよ、オレは……」
スピードだけなら本当にカカシ先生以上かもしれない。…なんかちょっとムカつく……。
「リーが迷惑かけてすまなかったな!君達もそろそろ教室へ行った方がいい。じゃあ頑張れ!あばよ‼」
「サスケ君、ボクは君に嘘を付きました。下忍で最も強いのはボクのチームにいる。そいつを倒すために出場するんです。…そして君もターゲットの一人……。試験!覚悟しといてください‼」
激濃ゆ二人は去り、あとに残されたのは重い空気漂う私達だけ。
「ケッ…なーんだ!うちはも大したことねーんじゃねーの?」
「こら、ナルト!焚き付けるようなこと言わないの!」
また喧嘩になると思った。ここでそんなことしたら受付に間に合わなくなりかねない。しかし、予想に反してサスケは何も言わずに拳を握る。
「お前も見ただろ、アイツの手……。毎日毎日、お前よりも特訓してんだ。…ただ、それだけのことだってばよ」
「ナルト……」
包帯の間からチラリと見えたリーさんの手。それは傷だらけで、豆やタコがいくつも潰れ固くなった跡があった。文字通り、血の滲むような修行の跡が……。
「面白くなってきたじゃねーか…この中忍試験……!」
サスケの目が燃えるように輝く。あの悔しそうな顔から、いつものように不敵なサスケに戻った。フフ…なんか私達の調子も出てきた!
「行くか、ナルト!サクラ!彩音!」
「おう!」