第29話 志願書
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「はぁーーー……」
今日も今日とて遅刻のカカシ先生。これは初日のいたずらの仕返しなのか……。そろそろ慣れ始めた自分が嫌だ。
「これって許されることだと思う⁉カカシ先生、常に呼び出しといて待たせんだよ⁉」
「そうよ!寝坊したからといってブローを諦めて来る乙女の気持ち、どうしてくれんのよ‼」
「そーだ!そーだ!オレなんか寝坊したから顔も洗ってないし歯も磨いてないってばよ‼」
「…それは汚い……」
「アンタ、それはないわ……」
まさかの不衛生に若干引く。最近ナルトの部屋を掃除に行ってなかったけど、また汚くなってんじゃないでしょうね……?
「やあ!おはよう諸君!今日は人生と言う名の道に迷ってな?」
「「「ハイ!嘘っ‼」」」
反省のはの字も見えないカカシ先生に、戦い以外は本当に駄目人間だと呆れる。マジで殴りたいあの笑顔。
「ま!なんだ!いきなりだがお前達を中忍選抜試験に推薦しちゃったから」
本当にいきなりぶっこむな。いや、っていうか中忍選抜試験って……。
「何ですってーーー‼」
「嘘つかないでください‼」
「そんなこと言っても誤魔化され……」
「ハイ、志願書」
「わーい!先生大好きー!」
「流石カカシ先生!」
「ちょっ、彩音⁉離れろって……!ナルトも!」
思わずナルトと抱き着くと、カカシ先生は焦ったように引き離そうとする。焦るその姿が珍しくて、いたずら心のくすぐられた私は逆に強く抱きしめる。いつもやられっぱなしだしね!
まあ、本気で懇願され、キリのいいところでやめてあげたけど。
「ゴホン…推薦は強制じゃない。受験するもしないもお前らの自由だ。受けたい者だけその志願書にサインして、明日の午後四時までに学校へ来ること。以上!」
用件はそれだけだったらしく、さっさと消えてしまった。ナルトは志願書片手に浮かれ気分である。多分強い人と戦えることが嬉しいんだろうな。
「…あれ、サクラ?どうしたの?」
ふと志願書を思いつめたように見つめるサクラに気付く。
「!ううん!なんでもないの!さあ!明日に備えて頑張りましょ!バイバイ!彩音!」
「え、あ、うん。バイバイ……」
なんだか無理矢理作ったような笑顔が似合わなくて、嫌だった。サクラはいつでも感情を大々的に表に出すのがいいのに……。
「彩音ー!今日は修行して、一楽で気合い入れようってばよ!」
「あ、分かった!今行く!」
サクラのことは気になるが、一度気持ちを切り替える。サクラは他人に弱みを見せるの嫌がりそうだし、気付かれたくないだろう。
前で手を振るナルトに向けて走り出す。少し気になるけど、多分、大丈夫な気がする。サクラも意外と負けず嫌いだしね!