第28話 砂の下忍
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「わっ、ごめんなさい!」
咄嗟に謝り、木の葉丸君に近付こうとするが……。
「いてーじゃん、クソガキ」
男は木の葉丸君の胸ぐらを掴みあげ、宙に浮かす。そんなことまだ幼い子供にすることではない!
「ちょっと!ぶつかっただけで酷いわ!子供のすることよ!」
「こらデブ!その手を離せってばよ‼」
私達の言葉なんかに耳も貸さず、隈取りはニヤニヤと笑うだけ。その間にも木の葉丸君の首元は締まり、苦しそうにもがいている。
「…オレ、チビって大嫌いなんだよね。おまけに年下のくせに生意気で………殺したくなっちゃうじゃん」
「なっ…‼」
まるで今日の天気を言うかのように言う男に言葉を失う。人の命をなんだと思っているんだ!
「…ま、このチビの後はそこのうるさいチビね‼」
隈取りが拳を構えるのを見て走り出す。振りかぶられた拳から木の葉丸君を守るため、私はめいいっぱい木の葉丸君に腕を伸ばした。
ガッ
隈取りの手に何が当てられる。その一瞬の隙をついて、なんとか木の葉丸君を奪い返す。腕の中の木の葉丸君を確認するも、怪我などはない。無事だったみたい……。
「よそんちの里で何やってんだテメーは」
小石を片手に木の枝に座るサスケ。さっきのはサスケの投げた小石だったのか。
また庇われたことが少し不服だが、今は素直に感謝して、隈取りから木の葉丸君を抱いて離れる。
「クッ…またムカつくガキがもう一人……」
「失せろ」
「「キャーーー!カッコイイーーー‼」」
ヒーロー的登場にサクラだけでなく、モエギちゃんとウドン君も頬を染める。…まあ、これはちょっと悔しいけど、カッコイイかも……。
「ナルトの兄ちゃんカッコ悪りー!信じてたのに、姉ちゃんにも負けてるし……‼」
一方ナルトは弟分の木の葉丸君に失望の涙を流され、気まずそうに視線を逸らす。まあ、そこは後で挽回頑張れ!
「おい…ガキ、降りてこいよ!オレはお前みたいに利口ぶったガキが一番嫌いなんだよ……」
一触即発の空気に包まれる。忍同士の喧嘩は御法度。しかも他里となると外交問題にも関わってくる。お願いだから降りて来ないで……!
そんなことを願っていると、サスケのいる木から新たな声が聞こえた。
「カンクロウ、やめろ。里の面汚しめ……」
「ガ、我愛羅……」
サスケとは反対側の枝に、逆さまになって立つ男の子。多分歳は同じくらい。赤茶の髪に酷い隈とひょうたんが特徴的だ。
「喧嘩で己を見失うとは……。なんのために木の葉へ来たと思っている」
「聞いてくれて我愛羅!こいつらが先に突っかかって来て……」
「黙れ…殺すぞ」
背筋が凍りそうな視線に、私まで震える。私達とそう変わらない年齢のはずなのに、どうしたらそんな目ができるようになるの……?
「わ…分かった、オレが悪かった……」
「ご…ご…ごめんね……」
さっきまでの威勢が嘘のように謝る二人は、何かに怯えているみたい。
「君達、悪かったな。行くぞ」
「待って‼」
立ち去ろうとする三人を止めたのはサクラ。真剣そのものの顔で声をかける。
「額当てからして砂の忍よね……。同盟国ではあるけど勝手な入国は禁じられているはず。目的を言いなさい!場合によってはこのまま行かせるわけにはいかないわ!」
「なんだ、何も知らないのか。確かに私達は砂の下忍。中忍選抜試験を受験しに来たな。ホラ、通行証もある」
見せられた通行証は確かに木の葉のもの。にしても、もうすぐ中忍試験があるなんて聞いたことなかった……。
「おい!そこのお前、名はなんて言う?」
「え?わ…私か?」
「違う!その隣のひょうたんだ」
四つ結びの女の子が頬を赤らめるもバッサリ切り捨てるサスケ。他国の子まで落とすなんて、ホント罪づくりな奴だ。
「…砂漠の我愛羅……。オレもお前に興味がある。……名は?」
「!…うちはサスケだ」
早速目を付けられてる。サスケのこの息を吐くように目を付けられるの、どうにかなんないかな……。
「…そこの袴の女。お前は?」
「…え、私⁉…乱舞彩音です……」
まさかの火の粉に驚く。今なんで私目を付けられた?なんもしてなくない?
「あのさ!あのさ!オレは?オレは?」
「興味ない……。行くぞ‼」
こちらもバッサリ。ナルトは木の葉丸君に愚痴を零す。
「…木の葉丸、オレってばそんな弱そうに見える?」
「少なくともサスケの兄ちゃんと彩音の姉ちゃんよりはね!コレ!」
「サスケ‼テメーには絶対負けねーぞ‼彩音にも負けねーからな‼」
「うるさいウスラトンカチ」
騒ぐナルトより、私はさっきのひょうたんの子がずっと引っかかってる。どうしてか、あの子が悲鳴を上げてるような気がして……。