第20話 森で出会った子
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
修行を始めて六日目の朝。今日もナルトは朝からいない。
「ナルトの奴、昨夜も帰ってこんかったわい。…大丈夫なのか、あの坊主」
「なーに、心配いりませんよ。ああ見えてもアイツはいっぱしの忍です」
「…ご飯だって呼んできますね」
ナルトを呼びに行くのが日課になったこの頃。おそらく寝落ちしているだろう森へ足を運ぶ。寝るんだったらちゃんと布団で寝なさいと言っても聞かないのは分かっているので何も言わない。
しかし、一人で爆睡しているだろうという予想は砕かれる。ナルトのそばに少し年上くらいの可愛いお姉さんがいたのだ。
「ナルトーー‼その可愛い子誰⁉おはようございます!」
「おはようございます。今、この子に薬草を摘むのを手伝ってもらっているんですよ」
「おう!一人じゃ大変だからな!」
「あっ、私も手伝いますよ!」
三人で集めるとみるみるうちに籠へ薬草が溜まっていく。そろそろ底が薬草で埋め尽くされそうな頃、お姉さんがふと口を開く。
「そういえば、どうしてこんな朝早くこんなところにいるんですか?」
「修行‼」
お姉さんの問いにナルトは自信満々に答える。我が道を行くのがナルトのいいところでもあるのだが……。
「…修行もいいけどちゃんと戻ってきてよね。心配するんだから……」
「ごめんごめん」
あまりにも軽い『ごめん』にため息をつく。やっぱり聞く気はないか……。
「へー、凄いね、君達」
私達のやり取りを微笑ましそうに見つめるお姉さん。お姉さんの言葉に気をよくしたナルトはペラペラ喋りだす。
「へへ。オレってば、もっと強くなりてーんだ!」
「…それは何のために……」
お姉さんの顔が少し険しくなる。ナルトはそれに気付かず断言する。
「里で一番忍になるため!みんなにオレの力を認めさせるんだ!それに今は“あること”を“ある奴”に証明するため!」
「フフ…絶対叶えようね!」
きっと“ある奴”ってイナリ君のことだ。そのために寝る間も惜しんで修行しているんだから。
「…君は?」
「私?私は……」
私が修行に精を出す理由。それはもちろん……。
「…ただ守られているだけなんて嫌だもの……」
あのカカシ先生が水牢の術に捕まってしまった時、逃げろと言われたのが辛かった。その後カカシ先生が倒れた時、本当に怖かった。無力な自分が嫌になった。
拳をギュッと固く握り締めていると、フッと小さく笑う声がする。顔を上げると優しい顔で私を見つめるお姉さん。
「君には大切な人がいるんですね」
「…うん、たくさんいる……」
学校に編入してからずっといたずら同盟を組むナルト。女の子らしくて強いサクラ。最初は嫌な奴だったけど根は別に悪くないサスケ。…あと、第一印象最悪だし遅刻魔だけど、優しくて温かいカカシ先生。里にもまだまだたくさん大切な人がいる。
……誰も失いたくない。夢に見るあの真っ赤な情景を再現なんてしたくない。
「…君にもいる?」
「もちろん!いっぱいいるってばよ‼」
お姉さんは満足そうに頷き、そして真っ直ぐ私達に向き合う。
「人は…大切な何かを守りたいと思った時、本当に“強くなれる”ものです」
「…うん!それはオレもよく分かってるってばよ」
お姉さんは最後ににっこりと微笑み、籠を持って立ち上がる。
「君達は強くなる。…またどこかで会いましょう」
「またな!ねーちゃん!」
「お姉さんも薬作り頑張ってね!」
笑顔でその背中を見送っていると、ふいにお姉さんが立ち止まり振り返らず爆弾を落とす。
「あ……。それと、ボクは男ですよ」
「「…………はぁ!!!?」」
今まで見てきたなかでダントツで可愛いのが男⁉こんな可愛い男の子、見たことがなかったので驚いたが、まぁ、可愛いは正義!むしろ仲良くなりたい!
「…彩音より可愛い奴って初めて見たってばよ……」
「ん?何か言った?」
この世の不思議をナルトと話していると、お姉さんの去って行った方角からサスケが歩いてくる。
「おいお前ら、飯の時間とっくに過ぎてるぞ。特に彩音、お前はナルトを呼びに行くと言って帰って来なかったから心配されてんぞ」
「あ!そうだナルトを呼びに来たんだった‼」
グ〜〜〜
思い出した途端お腹が鳴る。私達は顔を見合わせ、同時に噴き出す。そんな私達をサスケは呆れたように眉を下げる。
「…お前らの分は残ってる。食いたきゃさっさと帰れ」
「うん!ありがとね!サスケ!」
「こうしちゃいられねぇ‼さっさと食って修行再開だ‼」
「どっちが速く帰れるか競争しましょ!」
「負けねーってばよ‼」