第13話 ナルトの作戦
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「…あれ?ナルト、私は……」
「お前血も出てフラフラじゃねーか!オレとサスケに任せとけってばよ!」
ナルトが心配してくれているのは分かる。分かるが……少しムカッとする。大体頭は血の気が多いから大量に出るだけで、実際の怪我はそこまで酷くない。フラつきも大分引いたのに……‼
内心凄いムカついているがそれを顔には出さない。むしろ血が抜けて頭が冴えていく。作戦に入れてくれないなら勝手にするだけだ。
「…分かった。作戦に入らない……勝手に水分身の足止めしとくから‼」
「おい⁉彩音!⁉」
みんなの静止の声も聞かず、一人水分身に突っ込む。本体の速さは全く見えなかった。だが、ナルトを庇った時といい、さっきのナルトを蹴飛ばした時といい……何とか目で追えるまでスピードが落ちていた。これなら……‼
「ガキが調子にのって………っ⁉」
水分身の刀を避け、クナイを突き立てる……が、寸でのところで避けられ皮膚を掠めただけだった。
「チッ‼」
「……はっ。お前、少しはやるじゃねーか……‼」
後ろでナルト達が動き出した気配を確認する。絶対この水分身をナルト達の方に行かせてはならない……‼
今度は水分身の方から走り出す。後ろに飛び退いて避けるも、やはり先程のダメージが残っていたのか目の前がグラつき、その隙に背後を取られる。
完全に視界の外をとったと思った再不斬だった。しかし
彩音はそのまま上に飛び上がり回し蹴りをお見舞いした。
その隙をつこうとクナイを構えたところで急に術が解け、ただの水へ戻る。
「え…?」
「彩音!大丈夫⁉サスケ君達がカカシ先生を術から解いてくれたわ‼」
湖の方へ目を向けると、風魔手裏剣を手の甲の金具で止めるカカシ先生。水牢の術はもうどこにもない。作戦は成功したらしい。
「ナルト、サスケ…“作戦”、見事だった。彩音、よく水分身を止めてくれた。成長したな、お前ら……」
「へっ…カッとなって水牢の術を解いちまうとはな……」
「いや、解いたんじゃなく、“解かされた”んだろ」
カカシ先生の言葉に青筋をたてる再不斬。同時に距離をとってからは圧巻だった。
同じ動き、同じ術、同じ威力……。カカシ先生が完全に再不斬をまね、そしてついに再不斬より速く術を繰り出す。
「グッ……‼お前には…未来が見えているのか……‼」
カカシ先生の水遁大瀑布の術を浴びて木に叩きつけられ、クナイを受け満身創痍の再不斬は目を見開き問う。
それにカカシ先生はクナイを構え、断言する。
「ああ……お前は死ぬ」
その瞬間、再不斬の首に刺さる二本の千本。
「フフ…本当だ、死んじゃった♡」
声の先にはお面をした子供。背丈や声からして、おそらく私達とそんな変わらないはず……。
「…確かに死んでるな……」
カカシ先生は再不斬の首に手を当て脈を確認する。カカシ先生でも苦戦したあの再不斬を、子供があっさりトドメを刺したなんて……。
「何なんだってばよ!お前は!⁉」
「…安心しろ、ナルト。敵じゃない」
「んなこと聞いてんじゃねーの!オレってば‼オレと変わんねェあんなガキに!簡単に殺されちまったんだぞ‼納得できるか‼」
ナルトが私達の気持ちを代弁する。サクラも、きったあのサスケですらきっと気持ちの整理がついてない。
「信じられない気持ちも分かるが、これも事実だ。この世界にはお前より年下で、オレより強いガキもいる」
カカシ先生は諭すように言うが、まだあまり納得出来ない。
しかしお面の子は、そんな私達の気持ちもお構いなしに死体へ近づき、運ぶ準備をする。
「ボクはこの死体を処理しなければなりません。何かと秘密の多い死体なもので……。そじゃ、失礼します」
死体と共に消え、後に残ったのは未だ気持ちの整理がつかない子供と大人二人。そんな私達に走る微妙な空気を打ち消したのはカカシ先生だった。
「フー……、さ!オレ達もタズナさんを家まで送り届けなきゃならない。元気よく行くぞ!…あと彩音、お前の傷の手当てをとりあえずする。血の勢いは弱くなったがまだ止まってないからな」
カカシ先生は額当てで左目を隠し、一息つくと元気よく叫ぶ。私達もその声にやっと気を抜くことができた。今になって額の傷が痛みだす。
「ハハハッ‼皆、超すまんかったのォ!ワシの家でゆっくりしてくれ!それと嬢ちゃん、女の子の顔に傷残っちゃいかんからな!家にある傷薬を塗ってくれ!傷痕が残らないって娘も愛用しているからな!」
「じゃあ、ありがたく使わせていただきますね」
そんな軽口をたたきタズナさん宅へ歩きだそうとした瞬間、目の前でカカシ先生が糸を失った操り人形のように崩れ落ちた。