第12話 新たな刺客
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「へーこりゃこりゃ……。霧隠れの抜け忍、桃地再不斬君じゃないですか」
やっと現れた敵に、ナルトは待ってましたとばかりに飛び出す……が、カカシ先生の手に阻まれる。
「邪魔だ。下がってろ、お前ら。こいつはさっきの奴らと桁が違う」
いつになく真剣なカカシ先生の声。思わず生唾を飲み込む。
「写輪眼のカカシと見受ける。悪いが、ジジイを渡してもらおうか」
「…このままじゃあ、ちとキツいか……」
額当てに手をかけ、現れたのは真紅の瞳。目蓋に走る縦一直線の傷と血のような瞳が妖しく美しい。
普通なら少し怖いだろうその瞳が、私を安心させる。初めて見たはずだが、何故か懐かしい。
「お前ら、卍の陣だ。タズナさんを守れ。…戦いには加わるな。それがここでのチームワークだ」
「噂に聞く写輪眼を早速見られるとは…光栄だね。オレ様が霧隠れの暗殺部隊にいた時、手配書にお前の情報が載ってたぞ。千以上の術をコピーした男………コピー忍者のカカシ…ってな」
その言葉に思わずカカシ先生を見る。この、いつも遅刻ばかりの先生がそんなに凄い忍だったなんて……。
「クククッ…お喋りはここまでにしよう……」
再不斬の鋭い視線がタズナさんを捉えるのを感じ、私達四人は素早くタズナさんを取り囲みクナイを構え警戒する。再不斬の術により生みだされた霧が視界を遮り、いやでも感覚が研ぎ澄まされた。
「…八ヶ所……」
どこからともなく不気味な声が響く。
「咽頭・脊柱・肺・肝臓・頸静脈・鎖骨下動脈・腎臓・心臓……。さて、どの急所がいい……?」
どんどん霧が濃くなり、居場所の分からない声。視界の悪さと緊張で徐々に苛立ちが募るなか、急にカカシ先生から殺気が溢れ出す。
呼吸一つするだけで殺されてしまいそうな空気。初めて浴びる上忍の本気の殺気に気が狂いそうになる。呼吸は乱れはじめ、今にも意識が飛びそうだ。
「サスケ、彩音、安心しろ。お前達はオレが死んでも守ってやる」
私達の変化に気づいたカカシ先生が振り向きながら微笑む。
「オレの仲間は絶対殺させやしなーいよ」
そんなカカシ先生のいつも通りの笑顔を見た途端、とてつもない安心感に包まれる。この人がいるなら大丈夫、そう心の底から思えるほど……。
しかし、そんな安心感も長くは続かなかった。
「…それはどうかな……?」
気が付くと私達の中心に入り、タズナさんを狙う再不斬。カカシ先生が私達を突き飛ばして事なきを得るも、水分身の応酬に負け、湖に蹴り飛ばされる。
「カカシ先生‼後ろ‼」
私の声も間に合わず、水牢の術に閉じ込められてしまったカカシ先生。もう誰も私達を守ってくれる人はいない。自分達でどうにかするしか……。
水分身を生みだしながら、再不斬は静かに話しだす。
「ククク…偉そーに額当てまでして、忍気取りか?忍とは、いくつもの死線をくぐり抜けてきた者のことだ。つまり……オレ様の手配書に載るようになって初めて忍者と呼べる。…お前らみたいなのは忍者とは呼ばねェ」
フッと水分身が霧のように消える……いや、違う‼
「ナルト‼危ない‼」
ナルトを突き飛ばした瞬間頭に走る凄まじい衝撃。その衝撃で額当ては落ち、私ははるか後方にふっ飛ばされる。
「彩音‼」
駆け寄るサクラの手を借りて何とか起き上がるが、頭がまだふらつく。生温いものがつたわる感覚に顔をしかめていると、拭った手が真っ赤に染まった。どうやら血も出ていたみたい。
「ちょっ彩音!酷い血よ⁉」
「私は大丈夫……」
「お前らァ‼タズナさんを連れて早く逃げるんだ‼コイツとやっても勝ち目はない‼オレを水牢に閉じ込めている限りコイツはここから動けない‼水分身も本体から離れては使えないはずだ‼とにかく今は逃げろ‼」
そんなこと分かっている。カカシ先生でも敵わない相手に私達が敵うはずがない。でも、カカシ先生を置いていくなんて……‼
さっきの衝撃でまとまらない頭で考えていると、ナルトが急に再不斬の水分身に向かって走り出した。
「うおぉぉぉぉぉ‼」
もちろん敵うはずもなく、ナルトは私達の場所まで蹴飛ばされる。その手に私の額当てを握りしめて……。
「…お前の手配書に載せとけ……。オレは木の葉隠れの火影になる男。木の葉流忍者……
うずまきナルトだ‼」
再不斬を真っ直ぐ見据えて宣言するナルトに、いつもの頼りなさはどこにもなかった。
「……さっきはすまなかったってばよ」
あの時の衝撃で落ち、再不斬に踏まれたままの額当てを取り返してくれたナルトは申し訳なさそうに差し出す。それを受け取り、私は額当てを付け直す。
「ありがとう、ナルト」
「礼を言うのはまだ早いってばよ……!サスケ!耳貸せ!作戦がある‼」
「フン、あのお前がチームワークかよ……」
「さーて、暴れるぜェ…‼」