第9話 不自然な力
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彩音が口を開いた瞬間、まるで陽だまりのような歌が響きわたる。実に楽しげで、軽やかで、優しげな歌声にオレの目は奪われた。普段からは想像できない、慈愛に満ちた桜色から目が離せず、息をするのを忘れる。
「歌っている時の彩音は、普段からは全然想像できないくらい綺麗なの。普段も可愛いんだけどね?それにつられて動物達も集まってきて……。動物と会話したり、ホント、彩音って不思議……」
あちらこちらから動物という動物が集まり、一分も経たないうちに、かなりの広場が彩音を中心に集まった動物で埋め尽くされる。
その中に依頼とピッタリ条件の揃う猫がいた。
「あっ、あなたが“トラ”ちゃんね?駄目よー脱走したら。え?あ、あーーーー………、本当にお疲れ様……。うん、私からも言ってあげるから、ね?それでも脱走したくなったら私の家においで。飼い主さんに納得してもらえるまで私も頑張るから」
猫はウニャウニャしか話してないのに成り立ってしまう会話に、何の疑問も抱かずすんなり受け止めてしまう。そんな神秘すら感じる光景を、オレは言葉なく見ていた。
これがあの“巫女”の力、か……。
「せんせーー‼トラちゃん帰るってーーー‼早く火影室行きましょーー?」
「え?あ、あぁ、そうだね」
彩音の言葉で我にかえる。広場出口でこちらに手を振っている彩音に向かい、オレは走り出した。