第8話 合否判定
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「サクラ!ナルトを殺せ。さもないとサスケが死ぬぞ」
「えっ⁉」
「ナ、ナルトは殺させないんだから‼」
サスケの首筋にクナイを当てるはたけにゾッとする。慌ててナルトとサクラの間に立ちはだかるが、はたけカカシは鼻で笑い、サスケを拘束したまま丸太に近づく。…どうやら虚言だったらしい。よかった……。
「…とまぁ、こんなふうに人質を取られ、無理な二択を迫られることもある。任務は命懸けのものばかりだ!」
サスケを丸太に縛り付け、縄抜け出来ないようにすると近くの石碑に足を運ぶ。そしてそのままこちらに背を向け話し始めた。
「…これには無数の名が刻まれている。全て里で英雄と呼ばれている忍達だ」
その言葉にナルトはピクリと反応する。
「スゲーー‼決めた‼オレもそうなる‼英雄って名を刻むってばよ‼犬死になんてまっぴらだ‼」
「ナルトらしいねー」
ナルトは元気よく宣言する。無邪気な答えにクスリと笑ってしまう。確かに英雄となれば、里のみんなも認めてくれるに違いない。
「これはただの英雄じゃない」
「へー、じゃあ、何の?何の?」
今思えば、その答えをこの人から聞かなきゃよかったと後悔している。
表情の見えないまま、はたけカカシは無機質に答える。
「………任務中に殉職した英雄だ」
何も言えなかった。ナルトも先程までの勢いは鳴りを潜め、俯いたまま黙っている。
「これは慰霊碑。オレの親友の名も刻まれている」
ただ淡々と話しているだけのこの人の背中が、どうしようもなく哀しかった。
「…お前ら、最後にもう一度だけチャンスをやる。昼からもっと過酷な鈴取り合戦だ!参加したい奴だけ弁当を食え。彩音、お前は参加不参加問わず合格にしよう。三人を助けるもよし、先に帰るもよし、好きにしろ。……ただし、サスケには弁当を食わせるな」
「え?」
「完全な個人プレーをした罰だ。食わせた奴は彩音でも問答無用で試験失格にする」
まさかのサスケ飯抜きに言葉を失う。これ以上過酷な試験でご飯抜きなんて、体がもつ訳がない。ただてさえ朝食も食べてないのに…!
しかし、そんな言葉はとりあってもらえず、一蹴されてしまう。
「ここではオレがルールだ。分かったな」
そう残し、目の前から消えてしまった。
「…彩音は残るの?」
「…もちろん、みんなを手伝うよ」
ぐ〜〜〜〜ぎゅるるるるるっ
そこで四人の腹の音が今日一番に達する。とりあえず弁当を広げるが、みんなお腹は減っている筈なのにあまり箸が進まない。さっきのはたけカカシの言葉も引っかかってるし、サスケの腹の音も気になる。サスケも気にしてない風を装ってはいるが、空腹を堪えきれてない。
「っ〜〜〜〜〜〜あーーーーーーもう‼サスケ‼」
「なんだ…うぐっ⁉」
堪えに堪えかねて、私はサスケの口の中に弁当を詰めた。
「何やっているの⁉そんなことしたら彩音、折角合格したのに忍者になれなくなっちゃうのよ⁉」
「げほっ、げほっ、はぁ、何考えてる……」
やはり私の行動に三人は驚き戸惑っている。でもサスケをこのままになんて出来ない!
「私の勝手でしょ⁉周りにあの人の気配のない今がチャンスなのよ‼」
「同情のつもりか‼」
「私はナルトとサクラと一緒に下忍になりたいの‼お腹減ってヘロヘロなサスケじゃ困るの‼はい食べる‼」
サスケの頬を引っ掴んで無理矢理弁当を詰める。サスケも私が引かないと、周りにあの上忍がいないと分かると、不貞腐れながらも素直に食べ始めるようになった。
「ゔ〜〜……。サスケェ!そんなに食ったら彩音の分無くなるだろ!オレも分けてやるから食え‼」
「サスケ君!私のも食べて‼」
「二人とも……」
二人とも、苦悩しながらもサスケに弁当を差し出す。これでバレたらみんな忍者学校からやり直し。そんな共通意識からか、私達の仲が少し、ほんの少しだけだけど、深まった気がした。