第36話 ニセ者ヤロー
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うわあああぁ
ゲートが完全に見えなくなったところで悲鳴が聞こえる。
「い、今の人の悲鳴よね……⁉なんか…緊張してきた……」
「と、遠いし、大丈夫だよ!………多分……」
「どうってことねーってばよ!彩音!サクラちゃん!」
そう言うナルトの顔にも冷や汗が浮かび、強がっているのがバレバレ。
ぎゃあああああぁ
「ヒッ‼」
また上がる悲鳴に、私も悲鳴を上げてしまう。ナルトの顔にも引きつりが広がり始め、ソワソワと落ち着きがなくなる。
「…オレってば、ちょっとしょんべん……」
「レディの前で何さらそうとしてんのよ‼草陰行きなさいよ!バカ‼」
目の前でズボンを下ろそうとするナルトに、サクラはキツイゲンコツを落とす。…私もこの歳になってナルトの下半身は見たくないかなぁ……。
慌てて草陰へ向かっていたけど、ちょっとズボンずり落ちてたから転ばないかな……。
「あーすっげー出た!スッキリ〜!」
慌てて草陰へ隠れたナルトが、用を足し終えたように戻ってくる。しかし、“それ”を見た瞬間、私は直感的に『ナルトじゃない』と感じる。
「だからレディの前でそーいう……」
「サクラ!下がって‼」
そいつとサクラの間に立ちはだかり、背にサクラを庇う。そいつはサスケが殴り飛ばしてくれた。
「ふ、二人とも⁉何して……」
「本物のナルトはどこへやった‼」
「い…いきなり何するんだってばよ‼」
「手裏剣のホルスターが左足に付いてる。アイツは右利きだ。それに、さっきつけられた頬の傷がない。てめーはナルトより変化が下手だな、ニセ者ヤロー」
「…へへ、バレちゃしかたねー!巻物を持ってるのは誰だ!」
変化を解いた敵に対応するサスケ。私は草むらに分け入り、ナルトを探す。
「彩音ー!これ解いてくれってばよ!」
「全く!油断しないの!」
幸い、縛られて転がされていただけで、特に怪我などはなかった。クナイで縄を切り、サスケに応戦しようと目を向けると、そこには敵にクナイを突き立てるサスケの姿。
「サスケ……!」
「ボケボケすんな!敵はコイツ一人とは限らない!気を抜いたら本気で殺されるぞ‼」
左腕をサスケに負傷させられた敵は後退し、息の荒い私達だけが残る。敵は去ったと言うのにまだ緊張状態が解けない。むしろどんどん高まっていく。
「…お前ら、場所を移動するぞ」
無言で頷き、サスケについて行く。一刻も早くここから離れたかった。どこにも安全なところなんてないと分かっていたが。