第16話 生きている……?
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「彩音ー⁉」
誰かの叫び声に飛び起きる。敵襲かと目を走らせると、周りには引き攣った顔を浮かべるナルトとサクラとサスケ……?
「彩音から離れるってばよ‼」
「彩音!大丈夫⁉カカシ先生に何か変なことされてない⁉」
「…サクラ?どうしたの……?」
「ちょっ!お前らねぇ…!先生!犯罪なんか犯してないから‼」
起き抜けの頭ではこの状況があまり理解出来ない。一旦落ち着こう。周りを見渡してみる。えーっと…ここはカカシ先生の寝床。私の上に被せられているのはカカシ先生の使っていた毛布。
……あれ、私なんでカカシ先生の寝床に……?
そこで昨晩の行いを思い出し、血の気が引く。
「すみません、先生!毛布取っちゃった……!」
「あー……それは大丈夫、気にすんな」
「っていうか!なんで彩音がカカシ先生の寝床にいるんだってばよ‼」
流石に、カカシ先生が死んじゃわないか心配で見に来たら安心して寝落ちました、なんて言ったら馬鹿にされる……!ナルトに‼っていうか、馬鹿にされなくても情けなさ過ぎて話せない……。
そんな私の心情を察してか、カカシ先生が助け船を出してくれる。
「彩音は眠れなかったんだよ。昨日の戦闘で興奮が抜けきらなくてな?だからオレの水を変えてくれたりとか世話焼いてくれたんだ。そのうち眠気が勝って眠ってしまったけどな。な?彩音」
「ぅえ⁉あ…そうなの!昨日は凄い戦闘だったからね!」
全く納得してない顔だが、とりあえずそれ以上三人が聞くことはなかった。
「…ま、いいわ。彩音が大丈夫なら。それに、もうあんな凄い戦闘、早々ないだろうし」
「…それについてだが……。お前ら、あの少年は再不斬の死体をどう処理した?」
カカシ先生の質問の意図が分からず困惑する。
死体の処理なんて、私達は見ていないのだから分かる訳がない。
「知る訳ないじゃない!だって死体はあのお面が持って帰ったのよ」
「そうだ…。殺した証拠なら首だけ持ち帰れば事足りるのに…だ。それと問題は、あの少年が再不斬を殺したあの武器だ」
サクラの答えにカカシ先生は肯定し、さらに話を続ける。再不斬を殺した武器って……。
「千本、ですよね……?」
ごくありふれた、ただの千本だったはずだ。どこにも不自然な点はないと思ったが、サスケは違うみたい。
「……まさか……」
「あーあ…そのまさかだよ、サスケ……」
「ちょ、二人だけで納得しないでくださいよ!どうしたんですか!二人とも!」
「おそらく……再不斬は生きている!」
二人だけ仲良く分かり合ってズルい!そんな軽い気持ちで聞いたのだが、告げられた言葉はあまりにも衝撃的なものだった。カカシ先生とサスケ以外の開いた口が塞がらない。
「どういうことだってばよ⁉」
「カカシ先生だって再不斬が死んだのをちゃんと確認してたじゃない‼」
「千本が首にしっかり刺さってましたし‼」
この目でしっかりと首に二本貫通するのを見た。それなのに生きているなんて……。
「…本来、千本は急所にでも当たらないと殺傷能力のかなり低い武器でな、ツボ治療など医療にも使われるようなものなんだ。追い忍は人体構造のスペシャリスト……。仮死状態にすることも可能だ」
「考えすぎじゃねぇのか、先生さんよォ」
「いや…クサいとあたりをつけたなら、出遅れる前に準備するのも忍の鉄則!…ま、再不斬が本当に死んでたとして、ガトーの手下でさらに強い忍がいないとも限らないからな」
まさかの発言に布団を握りしめる。またあんなに強い敵と……?また、誰かが倒れるような場面を見るかもしれないの……?
唇を噛み締め、青褪める私の頭に何かが乗る。それは優しく、割れものを扱うかのように髪をすべる。顔を上げ目に映るのは、にっこりと微笑んだカカシ先生。
「大丈夫だ。お前ら全員、確実に成長している」
確信を持って告げるカカシ先生の言葉に胸が温かくなる。
「…ってな訳で、お前達に修行を課す‼」
「「「修行?」」」
「そ!もし仮死状態になったのだとしたら、もとの状態に戻るまで時間もかかるしな!オレの体がもとに戻るまでに強くなってもらう」
「なんか面白くなってきたってばよ‼」
「面白くなんかないよ」
突然聞こえてきた声の方を向くと、帽子を被った小さな男の子。
「おおイナリ!起きたんか!久しぶりじゃなぁ‼」
「おはよう、おかえり」
イナリというらしく、そのままタズナさんの膝下へ向かい、頭を撫でられている。この子がタズナさんの言っていた“十歳になる可愛い孫”だろうか。
イナリ君はこちらをじっと見つめるとやがて口を開く。
「母ちゃん、こいつら死ぬよ…」
「なんだとォーー‼このガキってばよォーーー‼」
「なに子供相手にムキになってんのよバカ‼」
暗い目をしてそう言ったイナリは、ヒーローなんている訳ないと言い自室へ戻ってしまった。