Heath
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
長い髪が鬱陶しくてあの時と同じように切り落とした
バラバラと落ちて足元に溜まる髪の毛があの出来事を鮮明に思い出させる
裸足で、ぐちゃぐちゃに走った
ぶつかった衝撃で落ちたものの破片が足に刺さった
高価な花瓶や骨董品、絵画も床に落ちた
逃げて逃げて追いかけられて追いつかれて髪の毛を掴まれて扉に思いっきり叩きつけられて
頭の皮膚が切れる感触
肩の骨を強打して軋む音
ドロっとしたものが額からだらだらと溢れていき白いフリルを真っ赤に染めていく
痛みと出血で意識は遠のく
綺麗な髪の毛だねと言ってくれたから
唯一、私の誇りだったから
貴方が言ってくれたから護りたかったの
何としても 私のためにも
幼い私には逆らえる力もなくて
ただただ奪われて奪われ続けて
私の大事なもの 全て
自分の価値を認めてくれるもの
心の拠り所にしていたもの
私がココに存在してもいい理由を
何もかも全て 奪い去られた 破壊された
私が私であるために
気が狂わないように
おかしくなりそうだった
私には貴女だけだったから
どんなにされても嫌いになりきれなかった
貴女の悲しみが分かったから
貴女の苦しみが分かったから
貴女が哀れだと思ったから
私も一緒だよと言えないから
離れたりはしなかった
できないことを知っていたし
逃げても無駄だったから
貴女の形見であの時と同じように髪の毛を切り落とす
不揃いだけれどそれでいい
血の匂いがした気がしたけれど、気のせい
私の思い出は全て 血の匂いと 死の匂いと共に
3/3ページ