刀剣乱舞
雪の日のお話。
睦月。ある日。
昨夜は大寒波が本丸のある地方を襲い、激しい冷え込みとともに大雪が降った。
朝になり外を見る。
すると目の前には真っ白な世界が広がっていた。
大寒波の名残なのか、まだチラチラと細かな雪が降っている。
「顕現して初めて経験する季節が冬とはねえ…難儀なことだ」
私は炬燵に入り、隣に座る大包平を見て言った。
大包平は…と言うと、背中を丸め手まで炬燵の中に突っ込んで「あり得ん、寒すぎる」などとボヤいている。
そんな大包平を横目に、私はお茶をひとくち飲んで言った。
「ま、この寒さにも耐えて戦うのが審神者と刀剣男士と言うものさ」
「…世知辛いな…」
「でも顕現したての大包平くんにいきなり外で修行はしんどいだろうね。だからまず体の中から鍛えようよ」
「は。中からったって、どうやって」
「ふふ、ちょうどいいものがあるんだよ。これを見給え」
そう言うやいなや、私は手品のごとく雪見だいふくをサッと取り出した。
「……お前」
「ああ、超美味しいとちまたで噂のクリーミィスイートポテト味だからって、そう驚かないで?」
「いやそうじゃない。そうじゃない。なんでアイスが出る…」
大包平は半分呆れたような顔をしたが、私は得意げにこう続けた。
「炬燵に入ってアイスを食べる!これが冬のお楽しm…お腹の鍛え方というものなんだよ」
それを聞いた大包平は「何を言っているんだ、俺の主は」とでも言いたげだ。
とうとう本格的な呆れ顔になってしまった。
「ま、ま。難しいことは抜きにして。今は雪見雪見だいふくとでも洒落込もうよ」
「…なんか色々とややこしいが…まぁいいだろう」
雪見だいふくの封を開ける、ぺりぺりという音が雪の中へ溶けていった。
【了】
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