諏訪
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
名前の視線の先は煙の出ていない煙草の先端部分だ。根元は諏訪が薄い唇で咥えている。防衛任務中の空いた時間、立っている諏訪の横でしゃがみ込みながら、名前は唐突に思ったことを口走った。
「ねぇ、それ何のために吸ってるのー?」
「あ?」
「煙草、必要ないじゃん?」
別にニコチン摂取してる訳じゃないでしょ、とゆるーい雰囲気のまま彼女は言う。
二人の待機場所の少し先には堤たちが同じように立っている。
こいつ、少し余裕ぶってんな、と内心諏訪が思うが、彼女のねぇねぇは止まらない。
気になるとそこばかりが目につくのが彼女の好奇心旺盛とも思えるところであり、欠点の一つでもある。
「うっせーなァ!いいからお前もアイツら見習え!」
「それを言うなら諏訪だって見習って、その煙草止めなよ~。ただの邪魔じゃん」
何を考えているかイマイチ掴めない名前の瞳は、眠たげなようにも見える。正直、暇つぶし程度の気持ちでそんな疑問を諏訪に投げかけたのだろう。
今にも欠伸でもかましてしまいそうな目の前の女の態度に、若干苛立ちを覚える諏訪。
若干、というか、思い切りその顔が苛立ちを顕している。
だが、名前も特段気にする様子はない。人相が悪いのはいつものことでしょーと彼女なら言ってしまいそうだ。
しばらく何かを考えた諏訪は、咥えていた煙草を指で挟んで、口元から遠ざけた。
「俺から煙草が消えたらな…」
「ん?どうなんの?」
チラッと彼女を一瞥すると、立った体制からしゃがんでいる彼女の顔に自らの顔を近づけた。
「目閉じろよ」
「…は?」
目は閉じなかった。言うが早いか、言葉が飲み込まれるのが早いか。
トリオン体故にその感触は全くなかった。なかったが、何をされたかぐらいは、睡魔に襲われていた名前にも分かった。
「俺の口が寂しくなるんだよ、バーカ」
そっぽを向いて堤たちの方に歩き出した諏訪は、彼女を振り返らなかったが、彼女の目には耳が赤くなった彼の姿が見えた。
感触はなかったから、生体じゃないしノーカウントと言われればそうなのかもしれないが、視覚的な破壊力は激しかった。
一人残された彼女の胸にはぐるぐると複雑な気持ちが立ちこめるばかりだった。
1/1ページ