このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

厨番長童子切


最後のページだけ、とうらぶちゃんねるネタがあります。





ざわざわと賑やかしい人ごみの中を、搔き分けるように進んでいく。

「おっと……主、こっちにおいで。ほら」

人ごみに紛れてはぐれてしまわないように、差し出された手のひらをそっと取るのは、審神者・浜茄子。

「あ、はい。ありがとうございます。青江さん」
「ふふ、構わないよ。……後ろの子たちは、ちゃんと付いてきているかな?」

「おう!わしらの事なら心配はいらんぜよ!」

にっかりと、花咲くひまわりのような笑みを零した陸奥守を先頭に、浜茄子の刀が列を成す。陸奥守・太鼓鐘・童子切……そして、最近顕現して特のついた、岩融・平野・鯰尾。この六振りで、今はそう。肥後国の中央サーバーに設置されている演練場に来ていた。
平野は慣れない戦場とは異なる雰囲気の場所に、少し緊張した面持ちで。対する鯰尾は見るものすべてが新鮮で楽し気な様子で、最後に、岩融は悠々とした様子で力強く歩いていた。
時折、ちら、ちらと視線が向けられているのを、刀剣ほど気配を読むのに長けていない浜茄子でも感じ取っていた。そして、それらの視線の全てが、童子切に向いていたのも。……というのも、無理もない。浜茄子たちの本丸、審神者レベルは六十にも満たない。となれば、演練にて対戦する本丸においては先の百鬼夜行の折、童子切を鹵獲出来たものもほとんど居らず。「童子切」を求めていた浜茄子ですら、私財を投じてようやく確保できるほどなのだから、いわば、かつての三日月のようなレア刀剣として、視線を浴びていたのだった。最も、渦中にいる童子切は視線を受けているはずなのにまるでないモノのように扱っていたが。

「(ちょっと失敗した…かなぁ…。けど、髭切さんは遠征だし、燭台切さんは…代わりに厨で仕事をするって言っていたし……)」

うぅん、と浜茄子は頭を悩ませる。髭切は太刀でないといけない遠征に出てくれているし、燭台切は、それこそ本丸にいる間暇さえあれば厨に籠って何かを作っている童子切に代わって仕事をしようと買って出てくれたのだ。だから、童子切が外にいるのは采配としては正しいのだが、ここまで視線を浴びる羽目になるとは思わなかった。ちら、と後方にいる童子切に視線を向けるとぱちりと目と目が合って、審神者?とこてんと首を傾げるのだった。童子切の練度は、先日六十台に乗ったばかり。もうすぐで第一部隊にも合流できる強さになる。が、演練という場での戦いの経験は、まだ少ない。だからこそ、この空気にも慣れてもらおうと思っての事だったのだが……。

「(ままならないなぁ)」

ふう、と小さくため息をついて。今日の演練の対戦カードを申請する浜茄子であった。







演練は、五回戦である。同格の本丸との演練が、四戦。そして格上の本丸との戦いが、一戦。その格上の相手の情報が開示されて、浜茄子たちの本丸は対策会議を練っていた。……最も、対策など在ってないようなものだと自覚はしていたが。
対戦相手…審神者証に記されていた審神者名は「薄暮」。所謂、ギャルというべき風貌の女性の顔写真の横に、近侍である鶯丸の写真と紋が刻まれていた。そして、審神者レベルは百八十一。百以上レベルが離れていた。相手部隊の情報は、隊長は山姥切国広。以下、薬研藤四郎・骨喰藤四郎・鶯丸・日本号・そして、三日月宗近————全振り、極めた刀剣男士だった。対する浜茄子の本丸は全振りが未だ、初。そもそも、遠征に重きを置いていたため厚樫山すら突破していないのだ。勝てる戦ではない。だが、だからといって手を抜く気も毛頭なかった。

「まず、いつも通り俺と平野で偵察に行く。どこまで地形や陣形把握できるかはわかんねぇけど、タダで負ける気はねぇから任せな」
「はい、お任せください。鯰尾兄さんは、隊の隠蔽の方をお願いしますね」
「おっと大役。オーケー、任せな」
「俺たちはどうする?」
「岩融さんたちは、後方にてお待ちください。陣形不明の可能性が高いので、逆行陣にて仕掛けたいと考えています」
「先手必勝、ちゅうわけやな。まかしちょけ!」
「……わかった」

意見を交わし合った所で、控室から転移し、放り出されたのは開けた野原。後方には、隠れられそうな藪がある。そして、演練開始のほら貝が鳴り響くと、鯰尾と平野、太鼓鐘は頷きあって散開する。

「ほらほら、みんなこっち!隠れて!」

鯰尾の主導で藪に身を顰め、偵察の二振りが返ってくるのを待つ。相手もまた、この野原のどこかに放り出されたはずだが草むらの中から目を凝らしても人影ひとつ見つけられはしなかった。そうこうしているうちに、平野と太鼓鐘が返ってくる。

「すまねぇ!やっぱり見つけられなかった!」
「骨喰兄さんの隠蔽が上手過ぎました……相手の潜伏先が未だ判明していないので、ひとまずここは様子見を——」



「おっと、様子見してる場合じゃないぜ?…隙だらけだ!」
「!? がっ…!」

音もたてずに降って来た声——薬研の奇襲に鯰尾が一撃で戦線崩壊する。どさりと倒れた鯰尾に、兄さん!と平野の悲鳴が木霊する。

「奇襲!?そんな、いつの間に接近を許したと——!」
「許すもなにも、俺たちは最初からお前たちの後ろにいたさ」
「!」

背後からの声にいち早く反応した童子切が、素早く剣を後ろに振り抜く。キィン!と甲高い音を立てて刀同士が打ちあい、三日月の瞳が朱に落とした真珠の瞳とかち合う。

「ほう、よく受けた。流石は童子切安綱の剥落よ」
「……っ」

三日月は軽く受け止めているが、童子切は全力で押し込んでいる。それでも、びくともしない膂力に練度差を痛感させられていた。童子切!と陸奥守が声をあげるが、こちらも山姥切国広との剣戟に押されて苦戦していた。平野・太鼓鐘は鯰尾が落ちて出来た隙を薬研と骨喰に翻弄され、岩融は日本号と切り結んでいた。鶯丸だけが、たった一振りどこにも参加せずに静かに静観していたが、最早陣形など在ってないような混戦にもつれ込んでいた。

三日月が一歩退いたのに合わせて、童子切は剣を打ち込み続ける。しかし、そのどれもが三日月には全く届かず、柳に吹く風のように受け流されていた。まるで、剣の稽古だ。

「…っ、は!」

三日月が回避すれば儲けもの、その隙を狙って刀を振り抜けば浅かろうが傷は入る。と、かちり、と刀をまっすぐ構えて刺突を繰り出す。だが失敗すれば、敵の懐に自ら飛び込むことになる、捨て身の賭けだった。刀を構えて迫りくる童子切に、三日月の瞳が目をまあるくした……そこまで見て、童子切の視線がぐるりと反転した。

「っ!ぐはっ」

どさり、と地面にうつ伏せに叩き伏せられ、背中に捻られた左手を取られた状態で押さえつけられる。身動きの出来ないそれを振り払おうと身体を捻ろうとするも、ぎりりと腕を捻り上げる手に力が加わって、身体が悲鳴を上げている。
さくり、と顔のすぐ近く——首筋に美しい太刀が一振り突き刺さった。

「どれ。大人しくしておれ、もう直に終幕よ」
「……っ…」

伏せられた地面から、仲間たちが一振り、また一振りと倒れていくのを見つめている。岩融が戦線崩壊し、平野と太鼓鐘もまた薬研たちの前に伏していた。ただ一振り、陸奥守だけが未だ山姥切と切り結んでいたが、視界の端に組み敷かれた童子切を見たのだろう。剣筋が鈍る。

「童子切!」

動揺が剣に現れた。そしてその隙を見逃す山姥切では、なかった。深く沈んだ姿勢から切り上げるように陸奥守を切り払い、ぱっと血しぶきが噴き出る。目を見開く陸奥守と、視線が絡む。そしてゆっくりと崩れ落ちていく陸奥守を見て、「また ・・だ」と童子切は視界が真っ赤になった。

「……っ、はなせ、!!」
「ん、っ!と」

渾身の力で極めた刀の拘束を無理やり振りほどこうとする。三日月が童子切の左手を押さえつけていたが、その腕からべきり、と骨の折れる音がした。その異常さに目を見開いて動揺していると、その瞬間童子切が身体を起こして拘束を脱する。そして、残った右腕で刀を強く握りしめ、駆け出す。陸奥守の元へ、山姥切の元へ。陸奥守の前に立っていた山姥切もまた、その光景を目の当たりにして少々動揺していたらしい。刀を構えるのが少し、遅れた。それを見逃す手はなく、刀を振り切るのが先かと思われた。だが



ザシュッ



心臓から、刀が生えていた。真っ白な装束を赤く染めながら、かふ、と吐いた血が白い肌をも赤く彩る。緩慢に後ろを振り向くと、今まで静観していた鶯色の髪がふわふわと揺れている。

「落ち着け、童子切。これで、試合は終わりだ」
「……っ」

ぐらり、と倒れ込んだ童子切を鶯丸がそっとだきとめる。視界がぼやけ、輪郭が二重三重にぶれる中、童子切はそっと陸奥守の方を向いていた。そして、手を伸ばそうとして、そこで、意識を失った。



————————————


—————————


——————


———



演練の成果は、四勝一敗であった。同格との戦いにおいては勝ち抜く事ができたのだから、十分な成果と言えるだろう。担当官の桜にもいい結果を報告できる。とはいえ、最後の試合ではまだ上には上がいると痛感させられたのだが。
ざわざわと賑やかしいここは、食堂である。券売機で買った券を出せば食事が提供されるこのスペースで、演練終わりの者や、演練待ちの者が代わる代わるに食事をとっている。併設された出店で買ってきた食事を採ったり、おやつを食べる者もいる。浜茄子たちはここで、今日は本丸から持ってきていた弁当を広げていた。

「おぉ、今日の飯もうまそーだ!」

きらきらとした目でお弁当の中を見つめているのは太鼓鐘。今日のお弁当は、二重になっている。まずは一番下の段。ふかふかの白ご飯にちょこんと乗った梅が一粒。はらりと散らした黒ゴマと透明な塩が輝いていて、冷ましたはずなのに温かい。沢山戦って、疲れた身体には梅の塩気と酸味がありがたい。そして、二重になっているお弁当のもう一段は、おかずだ。こちらも待ちきれないとぱかりに蓋を開ける。目に入ったのは、色鮮やかなおかず。まず目を引くのは大根と人参の甘酢漬けだろう。こちらも酸味と甘みを効かせて、香りづけにごまをはらりと散らしてあって派手好きの太鼓鐘はご満悦だ。その隣にあるのは、ふわふわの出汁巻き卵。これは鯰尾のリクエストだ。そして、男士にとってのメインディッシュ。主役とばかりに大きく場所を取ってお弁当に入っていたのは、牛肉のしぐれ煮だ。これは、童子切が朝からしぐれ煮を煮詰めて煮詰めて仕上げた逸品だった。その隣には、コロッケ(こちらは、流石に冷凍を使ったらしい)が入っている。がっつりしたおかずにおぉ、と喜びの声をあげたのは岩融や陸奥守だった。

「とても、おいしそうですね……」

お弁当をだいじなもののように、大切に手に取りながら平野がしみじみと口にする。その隣で青江が、きれいだねと笑っていた。そんな様子にくすりと笑いながら、浜茄子はちらりと童子切を盗み見る。童子切は、眩しいものを見るかのように目を細めて、ただ黙してお弁当に喜ぶ仲間たちを見つめていた。……あの、最後の試合で見せた異様な覇気など、影もなく。ふと、童子切が浜茄子の視線に気づく。

「…審神者?」

こてん、と首を傾げて浜茄子を見つめる。それに慌てて、何でもないですよ。と答えると、少し慌てた様子でかぱりと浜茄子のお弁当を開けた。

「あれ?」

浜茄子のお弁当は、刀剣男士のものとほとんど変わりはなかった。ただ、コロッケの代わりにほうれん草のお浸しが入っている。これは…ときょとんとしていると、あぁ、と穏やかな低い声が響く。

「それは……わたしたちに、合わせると、審神者は…食べるのが大変、だと思ったから……」
「もしかして…私の為に、ですか?」
「…うん。……だめ、だったか?」

少し眉を下げてそろりと尋ねる。その様子に、いいえ、いいえと首を振る。

「そんな…!むしろ、そこまで考えてくださってたなんて…嬉しいです、ありがとうございます。童子切さん」
「ん…なら、いい」

ふ、と微かに童子切が笑う。そして改めてお弁当に向き合い、手を合わせて声をかける。

「それでは、いただきます」
「「「「「いただきます」」」」」
「…いただきます」

ぱくり。ふわふわの卵からじゅわりと染み出す出汁が濃くて、ご飯を掻きこむ。口の中いっぱいに頬張って食べていると、卵の優しい味と米の甘味が溶け合って頬が落ちそうだった。ごくりと飲み込むと、やはり男士たるもの肉に惹かれていった。ショウガのたっぷり乗った、分厚い肉は煮詰めた分脂が減っているはずなのに、全然かさが減っておらず。一口食べると肉を食べている、という満足感と共に、程よい脂と甘くて濃い醤油の味が、ショウガと共にやって来た。むしろ余分な脂を落としてくれている分、箸が進む。しぐれ煮の一切れをつまんでご飯の上に乗せると、海苔でご飯を包むように肉でご飯を包んで、口の中に放り込む。先ほど感じた肉のうまみと脂と、そして醤油の味をご飯が包み込んでいて、まだ二口めなのにおかわりが欲しくなってしまう。
そんな男士の様子が余程顔に出ていたのだろう。童子切が、「それは、今晩の夕餉の分もある」と察して口に出してくれた事で、本当ですか!?やったぁ!と鯰尾などは大喜びだった。さぁ、それなら話は簡単だ。今ある分を堪能してしまおうとひとくち、ふたくちと肉とご飯を放り込む。箸休めに甘酢漬けに手を出してぱりぱりと食べていると、さっぱりとした味が口の中を洗い流してくれる。これのおかげで、毎回新鮮な気持ちで肉を食べられるのだ。冷凍コロッケも、侮るなかれ。ほくほくのジャガイモにミンチの入ったコロッケに掛かっているソースは、童子切特製のオーロラソース。マヨネーズとケチャップを1:1で混ぜてもいいところだが、ジャガイモに合うのはケチャップだろうか…と、気持ちケチャップ多めで作られたソースは酸味が効いていて、ほくほくのコロッケによく合う。
平野が、美味しいですね、とほほ笑んでいた。

「美味しいです。童子切さん。今度、自分にも作り方を教えてください」
「わたしで、よければ…」
「そんなことないぜ!自信持ってくれよ、厨番長!」

ざわ、と一瞬ざわめいていた音が止まった。どこからか、厨番長…?え、童子切って天下五剣の…?剥落が厨番長してるのか…?という声が呟かれたが、浜茄子たちには聞こえておらず。控えめながら談笑の絶えない食事に、舌鼓を打っていた。

「お、いたいた。えーっすっご、いーなおいしそ!うぐぴもそー思わない?」
「主、急に話しかけては困らせるぞ」

ん?と浜茄子が目をぱちくりさせながら振り向いた先にいたのは、よっすと手を上げているマスクをした女性。先ほど演練で、こてんぱんにされた…確か、薄暮という名の審神者だった。

「えっ…えっ、どうも…?」

慌てて箸を置いて会釈をする。そんな浜茄子の緊張っぷりもどこ吹く風。ひらりひらりと手を振る薄暮。

「いーよいーよ気にせんどいて、あっ座っていーぃ?」
「ど、どうぞ」
「マ?ありがと~!ってかめーっちゃおいしそうじゃんね、え、ヤバ。そっちの厨の子すごいね」
「あ、ありがとうございます。これは…その、童子切さんが…」
「マ!?えっ、ドジピが作ったの!?えーやば!え、え、すご。うちのドジピは未だに箸すら使うの危なっかしーのに。すごいね、ドジピ」
「え…と…あり、がとう……?」

浜茄子共々、薄暮のテンションに圧され気味でしどろもどろに答える童子切に助け船を出すように、こらとこつんと薄暮の頭を叩く鶯丸。

「こら、主。少しは落ち着け」
「あいたっ、うぐぴ大人ぶっちゃって草。いーっつもカネピのおっかけしてんのにこんな時だけ!」
「時と場合を選べ。俺は選んでやっているからいいんだ」
「はいはい。あ、そーだ。ね、浜茄子ちゃん、良かったらSNS交換しょ。ウチ浜茄子ちゃんのガッツ気に入っちゃっておっかけちゃったんだよね」
「え、えぇ……?あの、私たちのどこにそんな…」
「んー、なんてゆーか。気合?格上と当たるって時さホラ。勝てないからって破れかぶれにやっつけでやる子もおーいのに、浜茄子ちゃんしーっかり戦術練ってたじゃん?ウチが当たる子でそこまで気合入った子ほとんど見なかったからさ。揉んできちゃってってウチ雑な命令しちゃったんだけど、あれよくなかったなーって反省じゃん?浜茄子ちゃんに悪いじゃん。っていうか、索敵ゃばだった。もちょいで薬研見つかってたし。で、最後のドジピの殺気もゃばゃばで、あコレぜーったいお近づきになりたいって思ったん。だめ?」

怒涛の誉め言葉に赤くなって浜茄子は縮こまる。ど、どうも…とか細い声で呟くと、赤くなっててウケる、かわい。とマスクの下で薄暮が笑った。そのまま押し切られてSNSを交換すると、マブゲットとぱしゃりと自撮りをする薄暮に、すっかり飲まれてあわあわとしている浜茄子だった。

「マジマブ増えてらっきー。ね、今度通話作業しよ。ウチら男士はいっぱいだけど女子はいないから女子会に飢えてんだよね」
「え。えぇと……その、先輩が大丈夫なら…?」
「先輩って!ウチらトシ変わんないっしょ。薄暮でいーよ浜茄子ちゃん。あ、なすびちゃんって呼ぶ?」
「わぁあ…どっちでもいいです…!」
「そんじゃ通話しよ。今日暇ならさっそくやっちゃお」

「主、そろそろ歌仙が本丸で待ちかねているぞ」
「えー之定マジ門限厳しくてワロ。そんじゃね、なすびちゃん。ア…そうだ」

鶯丸にせっつかれて席を立った薄暮が、振り返って浜茄子を見つめる。

「門限で思い出したけど、外出るときは護衛の男士とはぐれないよーにね。鬼が出るから」
「鬼…?ですか?」

鬼?と首を傾げる浜茄子に、そ、と軽い調子で薄暮は肯定する。

「ヤバめな政府の役員とかぶっ殺してるヤバめの鬼がいるぽい。実害っつーか害虫駆除みたいなモンだけど、肥後でだけ。ウチら清廉潔白な審神者サマにはかんけーないかもだけど~?念のため、つねちーとか石切ママが護衛はつけろてゆーからうちも万屋とか行くときはつけてる。なすびちゃんも気を付けてね」
「えと…‥わかりました、気を付けます。その、ありがとうございます。薄暮さん」
「薄暮でいーって。そんじゃ、またね~」

ひらひら、と手を振って人ごみの中に消えていく。鬼…か、とぽつりと呟いた浜茄子の声もまた、音の波に紛れて消えていった。






【本丸は】210話目の肥後国【今日も平和です】



328.名無しの審神者
 ……ってことで、うちの本丸では刀装シャッフルが流行りましたとさ



329.名無しの審神者
 政府広報の燭台切が銃兵ぶっぱするあのシーンに惚れた審神者は数知れないだろあんなん……



330.名無しの審神者
 わかりみ



331.名無しの審神者
 うちアレで燭台切を知ったクチ(審神者養成学校出身)だから、
 みっちゃんが銃兵装備できないって知って絶望したよね……



332.名無しの審神者
 おまおれ



333.名無しの審神者
 そいや、また出たらしいな



334.名無しの審神者
>>333 出たってなにが?



335.名無しの審神者
>>>334 黒お化け。政府の役員が一人死んだとかで、うちの担当にちょっと仕事が振られてて困ってた。



336.名無しの審神者
 また出たのか。これで被害何人目だ?



337.名無しの審神者
 4人…とかじゃなかったっけ



338.名無しの審神者
 でもま、殺されてんのって今んとこレキシューのスパイだったり審神者と癒着してブラ本運営してたやつとかでしょ?死んで残当では



339.名無しの審神者
>>>338 今は、な。そもそも政府のガッチガチの結界すり抜けて暗殺かませるやべー奴が野放しにされてるって自覚しろ



340.名無しの審神者
>>>338 そのお化け。暗殺してるとこ見られてないんだぜ…?



341.名無しの審神者
 そう考えると怖いよな。切り口からして、太刀って噂だろ?



342.名無しの審神者
 刀剣男士の墜ちた姿だって噂されてるけど……一体何の恨みがあって……



343.名無しの審神者
 そりゃあ、殺しの内容考えるとレキシューに相当恨みでもあるんじゃね?



344.名無しの審神者
 主が殺されて、仲間を折られて、一人残された男士が墜ちて…っての想像してしまった無理



345.名無しの審神者
 そんなにメンタル弱くないだろあいつら。それに太刀なら猶更。



346.名無しの審神者
 でも怖いから早めに成仏してほしいね



347.名無しの審神者
 本霊に還れるんかな



348.名無しの審神者
 知らん。内容的には残当みすごいけど殺しは殺しだからなぁ



349.名無しの審神者
 一体誰なんだろう……



350.名無しの審神者
 そいや、その真っ黒お化けらしいやつこの前演練場で見たわ



351.名無しの審神者




352.名無しの審神者




353.名無しの審神者




354.名無しの審神者




355.名無しの審神者




356.名無しの審神者
>>>350 マ?



357.名無しの審神者
 え、やば。誰狙ってたの



358.名無しの審神者
 コテハンつけろ



359.名無しの審神者
 いや、コテハンつけるほどじゃないし。ていうか話したんだけど、誰か探してるぽかったぞ



360.名無しの審神者
 



361.名無しの審神者 




362.名無しの審神者
 いや本当に大丈夫なんだって。ただ、



363.名無しの審神者
 話した!?お化けと!!?



364.名無しの審神者
 おま、馬鹿!!いしkりまるよんでこい!!



365.名無しの審神者
 いや本当に大丈夫なんだって。ただ



366.名無しの審神者
 ただ?



367.名無しの審神者
 すげー、悲しそうな声だったんだよな。聞き覚えがあって……あ



368.名無しの審神者
 そいつ、思い出した。今急に。童子切。って呼んでた



369.名無しの審神者




370.名無しの審神者




371.名無しの審神者




372.名無しの審神者




373.名無しの審神者




374.名無しの審神者
 童子切……?
 

4/4ページ
スキ