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時は金ナリっ☆


フリーター歴早数年。
給料日1週間前の今、財布の中身はスッカラカン!
通帳の残高を確認しても雀の涙ほど。
やばい。ひじょーにヤバい!!
金がない。
こういう時、飲食系のバイトをしておけば良かったと思ってしまうが、俺の仕事は昼間はティッシュ配りで夜中は交通整理。
無理じゃん!
1週間も体力もちませんけども。
マジかーどうするよ。
非常食用のカップ麺もこんな時に限って切らしちまった。
腹の虫が元気に鳴き叫んでやがる!
とりあえず来月のために俺はティッシュを配るゼ!!って事で炎天下の駅前で綺麗なお姉さんにエロい店の広告が入ったティッシュを配る。

日差しが体力をどんどん削る。
真昼間に出歩く女性の日傘率の高さが凄い。
昼飯食いに出かけるだけでも日傘さすのかよ。
近寄ると刺さりそうで怖すぎる。しかし、近寄らねばティッシュは手渡せない。
腹が減ったぁーと叫びたい気持ちを押し殺し、必死に差し出してみるが総スカン。
厳しい世の中だぜ。
空腹感と暑さで立ちくらみがした俺は、日陰で少し休むことにした。
このお昼時を逃すと配りきれないのは分かっているが、もう限界。

日陰に入り、ビルの壁を背にしゃがみこむ。
暫く遠くを眺めていると、視界に明らかに挙動不審なサラリーマンがチラついた。
なんだアイツ。
こっち見てる…ような気がする。
というか、近付いて来てね?
ヒョロっこい眼鏡のリーマンだ。
俺が気付いた事に気がついたようで、速度が上がって歩み寄ってくる。もう走ってる感じ…え?
ヤバい人かもしれないと、もう目と鼻の先にまで迫ってきてる段階で思い、ティッシュの台車ごと急いで移動する。
急に立ち上がったら立ちくらみがして、思いっきりティッシュをぶちまけたし、コケた。
そしたらアイツさっきよりも早く駆け寄ってきた。そんでもって、ぶちまけたティッシュ拾い集めてくれた。アレ?良い奴?

近くでみると、歳は30歳前後のようでそこそこ顔がいい。細いかと思った体格はそこそこ筋力ありそうな細マッチョ感。
良い奴かと思ったけど、そんな事なかったわ。
ティッシュ拾い上げたら俺の両手を握りこんできて、水滴のついたコンビニ袋を渡してきた。
怖すぎねーか?
見知らぬ人から物を貰っちゃいけません!
物騒な世の中ですよ!!
眼鏡の奥でめっちゃいい笑顔ですけど、受け取りたくねーよ。手を振り払いたいのに力強っ!

「すんません…手を…離して貰えませんか?」
「あっ!?ごめんよ。つい…。」
手を離してくれたけど、コンビニ袋は持って帰らないんだね…あーそう。
「これ、貰えないっス。」
「変な物入ってないから!暑いし、水分補給は大事だから!」
「いや、知らねー人からはちょっと…。」
「そうだよね。あっでも、いや、えーっとそれならそこの自販機で買ってあげる!」
「えっと…知らない人からはそんな事してもらえないって。」
「そう言わずにさ!とりあえず、俺は北見。北見和也。君は?」
「浅井亮。って自己紹介じゃなくて。」
「浅井くんかー。亮くんって呼んでもいいかな?これで知らない人じゃないねー。」
話を聞かないなーこの男!まじでヤバい人じゃん。逃げなきゃじゃね?
1歩後退ると、1歩歩み寄ってくる…これは下手に逃げらんないわ…体力ないからね俺。
とりあえず帰ってくれるの待つか。
って事で自販機でスポドリ買って貰ってなんか変に話こんで、これからファミレスに連れて行ってもらう事になりました。やばくね?
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