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小さな僕の王子様

母さんもコルトさんもルディの気持ちを知っている…と?
それは兄弟としてリスペクト!とかいうこと?
男として尊敬、敬愛の念がとまらないよって事?
それとも、恋慕…?兄弟になるのに?いやいやおかしいでしょ。
家族としての平和な家庭を望んでコルトさんは結婚するんだよな?母さんもその考えに賛同して、自分も第2の人生始めるって事でもあるんだろ?そうじゃないの?
真相を母さん達に聞くにしてもまずこの熱を吐き出さないことには…さすがにもう放置で治まる状態じゃない。
「もういいや。母さん達に聞いてみる。」
「ダメだ!なら入れ!抜いてやる!」
「なんなんだよおまえ!自己中すぎだろ!」
「何が悪い!」
怒る気力削がれた。こんなにはっきり言い切るか普通。
何も言い返さなくなった僕を不審に思ったのか鍵が解かれドアが開いた。
ふんぞり返るように立つルディに溜息が出る。
「俺は自慢じゃないが、明宏に対しては自己中心的にいくぞ!何せおまえはその方が喜ぶと知っているからな!」
「なんでだよ!普通にムカつくから。何情報だよ。」
「こうしんじょ?」
何故疑問系?そういう所が急に子供になるのズルくないか?
「とにかく、おまえは何がしたいの?」
「明宏を俺のモノにしたい。」
先程までの生意気な子供らしい表情から一変、
真剣な眼差しに照れてしまう。
「具体的には?」
「キスしたい。セックスもしたい。他の奴が手出し出来ないように閉じ込めて一生俺だけ見てて欲しい。」
束縛激しいなぁーと思ってしまったが口にすればまた締め出されるので言わない。
「恋人にしたいって事?」
「ぬるくいえば?」ぬるくってなんだよ!とツッコミそうになるがココも我慢。
血は繋がってないけど兄弟だし同性だし…歳の差…とか色々思うけれど、とりあえずもう好きにさせるかと半ばヤケになっていると
「そのうち飽きるだろとか思ってるなら大間違いだからな。同性でもおまえは大丈夫だしむしろその方がいいはずだ。歳の差はあるが後数年すれば差し支えない。血の繋がりはないが、恋人よりも強い繋がりだろう?兄弟になるのに苦労したんだ。春子には言えないけどな。」
悪い顔で笑うルディに僕は鳥肌が立ってしまった。今回の2人の結婚はルディが画作したものとなれば執念が凄い。そんなにしてまで何故僕なのか不思議でならない。
「なんで、僕なの?」
「春子から色々聞いたと言った。後調べて分かった。お前は寂しがり屋で誰かに愛されていないと不安な奴だ。だから他人に優しいし強引にされると逆らえない。自分だけを見て、日常から連れ出してくれる王子様を待ってる。年頃の乙女のような考えを持ってるなんてかわいいじゃないか。」
上手く隠していたつもりだった本心を明るみにされ驚きと羞恥に戸惑う僕に歩みより頬を撫でてくるルディ。
「明宏、俺はね。全てを埋めてあげられる。今はまだ背も低いけど、そのうち明宏より高くなるし父さんのようにそこそこ見た目も良くなる。優越感に浸れる、兄弟で恋人って背徳感も感じられる、理想の王子様になれる。違うか?」
「ちが…わない。でも、おまえ…僕にあたり強い…」
「そうされると、気になって仕方なくなるでしょ?」
ルディは満面の笑みでそう告げた。
僕はもう、こいつに適わないなと思ったし、たしかに優良物件すぎる事実に負けて出会って間もないこの少年を王子様にしてしまった。
受け入れたが最後、あの手この手で翻弄され、家族公認の恋人関係になってしまったのはこれからそう遠くない未来の話。

END
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