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テイクアウト

激しくスプリングの軋む音と、肌がぶつかる乾いた音と、滑りある水が混ざるような音が聞こえる。
身体は熱さと痛みを強く感じる。特に下半身にそれらを感じる。
重く閉ざされた瞼を何とか持ち上げると、目の前には見知らぬ男。
苦しげに眉を寄せ、荒く息を吐きながら身体を揺さぶるこの男はいったい誰だ。
まだはっきりしない思考で記憶を何とか思い出す。
そうだ…僕、映画サークルの奴と合コンに行ったんだ。頭数の為だったから別に彼女作るつもりなくてタダ飯って色々飲み食いしていたはず。
あれ?その後どうしたんだったけ?

目の前の男が強く僕の両足を抱え込み激しく腰を打ち付け始めた。
あぁ、今僕はこの男とセックスをしているんだなとどこか他人事のように感じる。
熱くて大きな杭が僕のグズグズに濡れた後孔を出入りする度、内蔵を引きずり出されるような感覚と強い衝撃に少し冴え始めた思考に霞がかかる。生理的な涙が頬を濡らし、出したくもない嬌声があがる。
男は気を良くしたのかさらに速度を上げ、いっさい強く腰を引いたと同時に「出るっ!」と呻くように声を漏らし、僕の中に射精した。
そこで僕の意識は途絶えた。

再び意識が覚醒した時、僕の汗ばんでいたはずの身体はさっぱりとしておりバスローブに包まれていた。
ゆっくりと状態を起こすと、腰と尻にピリつく痛みを覚えた。人生初めてのセックスをしていたわけだからそりゃあ…ね。
腰を労りながらベッドを抜け出そうと動いた瞬間、グッと腰を抱き込まれ身動きが取れなくなる。視線をやれば、例の男がにこやかな顔をしながら抱きついていた。

「逃げないから、離して…下さい。」
「嫌だ。後、起きたら挨拶でしょ?」
「いや、その前に貴方は誰?なんでこんな事を?そしてココはどこ?」
「朝から疑問ばっか…なんにも覚えてないんだー酷いな。」
男は残念そうに呟くと僕から離れ、サイドボードに置いた恐らくサイフから何か抜き取り戻ってきた。
1枚の紙切れもとい名刺を僕に差し出し「こういう者です。」と笑う。
名刺を受け取り見ると、そこには「CLUB DeaL 彼方」と書いてある。
「ホスト?」
「そ!これでも店の中じゃNO.2で人気なんだよ、川上勇介くん。」
「なんで僕の名前を!?」
「えー自分で言ったんじゃん。K大文学部3年で昨日はサークルの仲間と合コンで気持ちよーく酔っちゃって…帰りたくなくなって、俺んちの店の入口で座り込んで大騒ぎ。」
綺麗な顔でにこやかに話すのに、その目は笑っていなくて恐い。
「騒いでごめんなさい。後、僕ほとんど記憶がなくてですね…なんでこんな事にまでなったのかなーっていう…」
呆れたとでもいうかのように肩を竦めた彼方さんが仕方ないなーと遡って経緯を教えてくれた。
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