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ちょっと待ってよ

衣装を脱ぎ捨て、メイク落とし始めた頃。田代が遅れて着替えに戻ってきた。
「なぁ。なんでさっきあんな怒ったわけ?いつものお前らしくねーじゃん。」
保はゴシゴシとメイクを拭き取りながら田代に声をかけるが、チラリと一瞥くれただけで何も答えない。
悪態つきそうになったが面倒臭くなりはやく帰ろうと手を動かす事にした保。
ふとその手首を田代に掴まれた。
何も言葉を発さず、ただ手首を少し強めに握りこまれ訝しむ保。
「なんだよ。手離せよ。」と掴まれていない方の手で田代の手を外そうと試みたが、消え入る声で「なんで、平気なの?」と言われ疑問が浮かぶ。
「何がだよ。」
「女装とかメイクとか…人前で…あんな格好…」
「お前も手伝ってくれたじゃん。そもそもネタだろ?別にお前に迷惑かけてねーし。」
そう言い放った瞬間、保は手首を強く握られ痛みに顔を顰めた。
「迷惑とかじゃない!違う…でも、だって…」尻すぼみにごにょごにょと文句を言う田代にため息混じりにはっきりしろよと告げてみると1度唇を噛み視線を泳がせた田代だったが深呼吸をし口を開いた。
「可愛いから。いつにも増してメイクとかされて可愛さが増したうえにあんな露出度高い衣装で、ネタでもなんでも柏木のあんなエロ可愛い姿女子だろうが視界に入れるの許せねーなって思っただけだよ。そもそもなんでお前、あんな可愛くなる訳?素材は普通じゃんなんなんだよ!」
捲し立てるように保の女装が良かったと褒めたかと思いきや何故か後半逆ギレをし始める田代。呆気に取られ開いた口が塞がらない保。
ゆっくりと脳内で処理を行う間も、田代の文句はとまらない。
要するに、田代は保の女装が可愛いから自分以外が見るのが嫌だったと?平凡が可愛いを作ってんじゃねーぞと?
罰ゲームと言われたから、いっそ楽しもうと開き直っただけでなぜ責められるのかと理不尽さに怒りを覚え言い返そうとした瞬間。
「柏木、頼むからそれ以上俺好みにならないで!」
両頬を大きな手でしっかりと包まれ、田代と目線がかち合ったところで告白紛いの言葉をぶつけられた。



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