この天蓋からは抜けられない
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「…どうしたの?なんだか静かだけれど」
とある日の朝レティの元を訪ねると、何かを静かにやっているところで。
僕が声をかけると、軽く顔を上げてこちらを向いてくれた。
「ああ…久しぶりに荷物を触ってただけ」
「ふーん…」
「その中で、これ見つけて…思い出に浸ってたというか」
「これ?」
そう言って、レティは再び手元へ顔を戻してしまう。
そんなレティの方へ近づくと、横から少しのぞき込んだ。
…レティが持っていたものは、スリーブやアルバムにも入っていないせいで見た目がややあせてきている、一枚の写真だった。
「…これって、」
「俺が小さい時の…まあ、7年前くらいだけど、そのときの写真」
「…」
「…あの時、確かにこいつとよく一緒にいたなあ、って。もちろん他の皆ともいなかった訳じゃないけれど、色々理由があって一緒にいることが多かったんだ」
あくまでも淡々と、レティは話していく。
どこか悲しそうに、瞳を落としながら。
「…もう、こいつには…どう足掻いたって、会えないけど」
「…」
「こいつだけじゃない、他にも…」
写真を持つ手に力が入るのが分かる。
レティはそのまましばらく手を小刻みに震わせていたかと思うと、本当に自分が憎らしく感じる、と小さく呟く声が聞こえてきた。
そして写真から顔を上げたと思うと、大きな深呼吸を一つついてから、写真を傍の適当な場所へと置くのが見えた。
「…朝から悪い、こんな話」
「いいよ、そんなの。というか僕が首を突っ込んだだけだし」
「未練はないって思いたいけど、やっぱりそう上手くもいかないもんだな…」
「家族も同然の人たちを喪ったんでしょ?そう早く全て吹っ切れるかって言ったら、ちょっと無茶な部分もあると思うよ」
「…」
特に、レティは自身の目の前でその人を喪っていることが度々あるから。
今こうして、静かに向き合えているだけでも大きいんじゃないか…って、僕は思う。
僕も友達と戦ったことはあるけど、そういう意味で失ったことはない。
だから、リュカの方が気持ちや痛みを理解できるのかもって、こういうところを見るといつも思ってしまう自分がいる。
「…気持ちに整理がつくまで、思いっきり悩んで、泣いて…って、していいと思う。そうやって、ゆっくり受け入れていくんじゃないかな」
「…うん」
でも、共感して寄り添うなら僕にもできる。
せめて少しでも気持ちが軽くなれば…と、レティの手をそっと握った。
とある日の朝レティの元を訪ねると、何かを静かにやっているところで。
僕が声をかけると、軽く顔を上げてこちらを向いてくれた。
「ああ…久しぶりに荷物を触ってただけ」
「ふーん…」
「その中で、これ見つけて…思い出に浸ってたというか」
「これ?」
そう言って、レティは再び手元へ顔を戻してしまう。
そんなレティの方へ近づくと、横から少しのぞき込んだ。
…レティが持っていたものは、スリーブやアルバムにも入っていないせいで見た目がややあせてきている、一枚の写真だった。
「…これって、」
「俺が小さい時の…まあ、7年前くらいだけど、そのときの写真」
「…」
「…あの時、確かにこいつとよく一緒にいたなあ、って。もちろん他の皆ともいなかった訳じゃないけれど、色々理由があって一緒にいることが多かったんだ」
あくまでも淡々と、レティは話していく。
どこか悲しそうに、瞳を落としながら。
「…もう、こいつには…どう足掻いたって、会えないけど」
「…」
「こいつだけじゃない、他にも…」
写真を持つ手に力が入るのが分かる。
レティはそのまましばらく手を小刻みに震わせていたかと思うと、本当に自分が憎らしく感じる、と小さく呟く声が聞こえてきた。
そして写真から顔を上げたと思うと、大きな深呼吸を一つついてから、写真を傍の適当な場所へと置くのが見えた。
「…朝から悪い、こんな話」
「いいよ、そんなの。というか僕が首を突っ込んだだけだし」
「未練はないって思いたいけど、やっぱりそう上手くもいかないもんだな…」
「家族も同然の人たちを喪ったんでしょ?そう早く全て吹っ切れるかって言ったら、ちょっと無茶な部分もあると思うよ」
「…」
特に、レティは自身の目の前でその人を喪っていることが度々あるから。
今こうして、静かに向き合えているだけでも大きいんじゃないか…って、僕は思う。
僕も友達と戦ったことはあるけど、そういう意味で失ったことはない。
だから、リュカの方が気持ちや痛みを理解できるのかもって、こういうところを見るといつも思ってしまう自分がいる。
「…気持ちに整理がつくまで、思いっきり悩んで、泣いて…って、していいと思う。そうやって、ゆっくり受け入れていくんじゃないかな」
「…うん」
でも、共感して寄り添うなら僕にもできる。
せめて少しでも気持ちが軽くなれば…と、レティの手をそっと握った。