この天蓋からは抜けられない
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ある日、僕は暇であることからなんとなく机で頬杖をつき、考え事をしていた。
…考え事、というよりは思い出していた、の方が正しいかもしれない。
それは出会って間もなく、僕がレティへ一目惚れしてしまったばかりの頃。
『…』
僕が用事で子供部屋へ戻った時、偶然ベランダの柵へもたれるレティと鉢合わせして。
声を掛けたら足早に去ってしまうのは目に見えていたし、静かにそばへと近づいてみたんだ。
そしたら、無感情そう…どころかむしろなんだか気怠そうに、景色をぼんやりと眺めているところが目に入って。
どうしたんだろう、とか思っていると、気付いたのかレティは無言でどこかへと行っちゃったんだ。
…あんまりレティは本心をオープンに話してくれないから、今でも知らないことはたくさんある。
でも、その時よりかは話してくれることも増えた。
だから、このことも事情は簡単に知っている。
…ごほん、本題に戻して。えっと、思い出していたのはレティが強く心を閉ざしていた時だった。
あの頃は、ごく稀にレティが呟くことでしか詳しいことが分からなかったっけ。
家族も、友達も、地元のことも。
唯一はっきりわかることは、話したくない、ってことだけ。
でも、知っている今ならそう言うレティの気持ちもわかる。
僕でも話しにくい事極まりないから。
…それもそのはず、彼は僕と同世代なのに、かなり不憫な人生を送ってきていた側の人間だったのだ。
「…でもやっぱり、あの頃の憂いた顔も好きだなあ」
「…本当、暇さえあればレティさんについてを考えるんですから…」
「リュカ、だって…」
「本当にレティさんが好きなんですねえ」
乱闘でも終わったのか、からかうような口ぶりで話しながらリュカが目の前へ腰かけてくる。
そのまま楽しそうにケラケラ笑うリュカへ少し頬を赤く染めてしまうと、頬杖をついていた手を目の前で組むようにし、顔をその中へ埋めた。
…僕の、初恋の人。
最愛の彼とまた一緒にいられるまで、こうして顔を隠していようっと。
…考え事、というよりは思い出していた、の方が正しいかもしれない。
それは出会って間もなく、僕がレティへ一目惚れしてしまったばかりの頃。
『…』
僕が用事で子供部屋へ戻った時、偶然ベランダの柵へもたれるレティと鉢合わせして。
声を掛けたら足早に去ってしまうのは目に見えていたし、静かにそばへと近づいてみたんだ。
そしたら、無感情そう…どころかむしろなんだか気怠そうに、景色をぼんやりと眺めているところが目に入って。
どうしたんだろう、とか思っていると、気付いたのかレティは無言でどこかへと行っちゃったんだ。
…あんまりレティは本心をオープンに話してくれないから、今でも知らないことはたくさんある。
でも、その時よりかは話してくれることも増えた。
だから、このことも事情は簡単に知っている。
…ごほん、本題に戻して。えっと、思い出していたのはレティが強く心を閉ざしていた時だった。
あの頃は、ごく稀にレティが呟くことでしか詳しいことが分からなかったっけ。
家族も、友達も、地元のことも。
唯一はっきりわかることは、話したくない、ってことだけ。
でも、知っている今ならそう言うレティの気持ちもわかる。
僕でも話しにくい事極まりないから。
…それもそのはず、彼は僕と同世代なのに、かなり不憫な人生を送ってきていた側の人間だったのだ。
「…でもやっぱり、あの頃の憂いた顔も好きだなあ」
「…本当、暇さえあればレティさんについてを考えるんですから…」
「リュカ、だって…」
「本当にレティさんが好きなんですねえ」
乱闘でも終わったのか、からかうような口ぶりで話しながらリュカが目の前へ腰かけてくる。
そのまま楽しそうにケラケラ笑うリュカへ少し頬を赤く染めてしまうと、頬杖をついていた手を目の前で組むようにし、顔をその中へ埋めた。
…僕の、初恋の人。
最愛の彼とまた一緒にいられるまで、こうして顔を隠していようっと。