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ワドルディ 旅の回歴

西陽が眩しい時間。

僕は無事ダイナブレイドと和解し、さらにこうして卵が孵ったから、いつかに作った木製の荷車に不思議な鳥を乗せ、キャンディ山を下りるところだ。

何も喋っていないから、木の車輪がきしむ音がよく響いてくる。
しかしその静寂も、少しして破られた。

「ねえねえ」
「?」
「きみはなまえ、なんてゆーの?」

どうやら、この子に話しかけられたみたいだ。
でもどうして名前を…
そっか、よくよく考えたら初対面だった。

ずっと一緒にいた気がしてたけど…
いや、間違ってはいないけど、実際のところ初対面と一緒だよね。

「僕はワドルディ。君が卵の時から、ずっと一緒にいるんだよ」
「へー。だからなつかしくおもったんだ、そのこえ!」
「君には名前、あるの?」
「え?なまえ?…うーん、ないー」

まあ当然か。
自分が誰かということすら、見当がついてなさそうだし…
かといって、この子と同じような知り合いとかいない…いや待て。

知り合い…と言うべきか迷うけど。いた、そういえば。

「なまえちょーだーい、わどぉー」
「あれ、なんかまた…まぁいいや。
仲間みたいなのがなんかスフィアローパーだのグランドローパーだのよくわかんないから、ひとまず共通してるローパーでいい?」
「うん!ローパー、それでいい!」

センス皆無な気がするんだけど…
本人が納得してるし、まあいいか。

「ところでわどー、これからどこいくのー?」
「そういえば…全然決めてなかったっけ…うーん」

一応、ローパーを家に帰す目的はあるけど…まだよくわかんないしなあ。

この子の生態について、何かしら知っている人、いないかなあ…

「ねーねー、そーいえばわどってどこからきたのー?」
「僕はなんの変哲も無い、ただの森から来たんだ。どうかしたの?」
「えっとねー、わどのおうちにいってみたい!」
「行きたい?じゃあ今特に当てもないし…行く?」
「わーいやったー!」

ここから僕の住んでいた森までというと、もう少しかかりそうな気がする。

けど、久々にみんなに会うっていうのは、すごく楽しみだなー。
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