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事実と強い絆

どうしても気になる。
あれが一体何なのか。
いったい、何が起きていたのか。
だれか知らないものだろうか…。

「…お姉ちゃん。難しい顔して、どうしたの?」
「!?いや、なんでもない。大丈夫。」

…そんなに難しい顔をしていたんだろうか。

「ニア、私はちょっと出かけるけど…ニアはどうする?」
「んーー、ついてくー。」

というわけで、ニアと出かけるのだった。
行こうとしているのは、ここの近くにある広場。フィード・ツリーっていうらしい。

そこに行けば、誰かしらはいる、と思ったからだ。
「あれ、ニアにリア。久しぶりね、あれからどう?」
「リア…、何か……ある。…絶対。」

にらんだ通り、やはりいた。
そこにいたのは、ミルティとクロッカだった。

「ちょっと、聞きたいことがあって…。」
「?どうしたの?」

私は、そこで今までの経緯を洗いざらい話した。
隣で、ニアは不思議そうな顔をして、聞いていた。

すべて話し終えると、ミルティとクロッカは少し曇った表情をしていた。
「…そう。じゃあ、今から少し話しても…いいのかしら…」
「…多分。どっちにしろ…後々知る…ことになる…。」
「?どうしたの?」
禁句とかでも言ったんだろうか。

「二人とも。今から話すことは…あなたたちにかかわることなの。
 もちろん、ここのみんなが知っているわ。
 だけど…とても、言いにくいの。
 少し複雑だけど…聞きたい?」
「うん」

もちろんだ。そのために来たのだから。
でも、話は思う以上に複雑で、とてもつらいものだった。
「あなたたちは、元々別の所で生まれたの。 
けど…あなたたちのお母さんはここに連れてきた。
 あなたたちと別れるために。
 
 あなたたち二人には、力があるでしょう?
 お母さんは、その大きな力に、恐れをなした。
 だから…それぞれ、片目が使えないでしょ。
 あなたたちのお母さんがそうしたの。
 力を、少しでも消し去りたい…その一心だったのかもしれない。

 でも、そんなことをした自分が、やるせなくなった。
 だから…あなたたちと別れることを決意した。
 そして考え、ここに連れてきた。
 
 リア…たぶん、その記憶は、お母さんが別れ際に言っていたことだと思うの。
 あなたたちを見ていると、自分が母親でいたらいけない気がする。
 自分がしたことと、別れることになったこと、二つへの後悔だったんじゃないかしら。
 
 でも、こればっか考えてても、楽しくないじゃない。
 ほら、なんかして遊びましょ!」

きっと、最後のほうは、気を使ってくれたのだろう。
でも、どうして…

「…きっと…リアはお母さんのこと……大好きだったんだよ…」
クロッカがボソッとつぶやく。

そうなのかもしれない。
ニアは、ミルティと遊んでいる。

それを遠巻きに見ながら、こう思うのだ。

いつか、故郷を訪ねたい。
そして、お母さんにあって、伝えたい。

「怒ってないよ」、と。

そして、

「生んでくれて、ありがとう」、とも。
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