交流
「ふう、今回はそう手こずらずに済ましたね」
武器を片手に、ラビが辺りを見渡して確認する。そんなラビの後ろ姿を見つめながら、未だによく分かってはいないが、とにかく満たされた感情を抱く私がいる。
私がラビ以外とは滅多に組まなくなってから、早くも2ヶ月が過ぎようとしている。勿論、滅多に組まないと言うだけであって、たまの暇な日は組んでいることもある。ただそれでも間違いなく変わったと言えるのは、その後にお茶へ誘われても気乗りしなくなった、辺りだろうか。実際、もうずっと断りっぱなしだ。
「…明日はここでピクニック、でしたっけ」
「そうです。ふふ…ラビのお弁当、楽しみにしていますね」
「ミアさんは準備しないんですか?」
「しますけど…。私、自分で作るとセンスが壊滅的なのか、見た目が酷い事になってしまって。なので、明日は既製品を買っていこうかなって思ってるんです」
その気乗りしなくなった最大の理由が、ラビの存在である。ただし、彼女に申し訳ないとか、良心の呵責があるとか、そういう理由では全くない。単に、ラビが料理上手なのと、私がラビじゃないと嫌と感じるようになってしまったのだ。
前に少し散歩をした時、ラビがお菓子を作って持ってきてくれた事が何度かあった。それが見た目きれいな上に美味しく、あっという間にお茶しに行くぐらいならラビのお菓子をお供にお茶を飲みたい、と思うようになってしまったのである。
ラビと一緒でなければ嫌だ、というのは言葉の通りだ。元々私は、他人になど興味のきの字すら無いような人間である。今はラビが気になって仕方ない、というのもあるが、興味のない他人へ関心を向けるのが苦痛でしかたなく感じてしまうのだ。
…ラビは私が料理下手というのが意外だったのか、呆気にとられたような顔でこちらを見つめてくる。
「そんなに酷いんですか?」
「…友人から、美味しいけど食べる気にならないって言われたことがある程ですから」
「そ、それは…相当な気がしますね…」
一方で私は料理こそできても見た目的なセンスは壊滅的らしく、何らかの理由で他人へ料理をしなければいけなくなった時、ほぼ必ず見た目が悪いと言われてしまう。言われることが稀なのは、汁物やご飯そのもののような余程でもない限りは突っ込まれないようなものくらいである。
…そんなお弁当、ラビへ見せられるかと言われると流石に抵抗感があるので、明日は止めておくことに決めている。いつか、料理を振る舞うようなことがあったら…その時は、腹をくくるつもりではいるけれど。
「それにしても…ミアさん、お仕事大丈夫なんですか?こんな頻繁だと回らなくなるんじゃ…」
「平気ですよ。幾らでも融通なんてききますし、経過報告の為に二徹ほどするのは前からですから」
「二徹してる時点で駄目です…」
そう言って、ラビが呆れたように溜息をつく。とはいえ、私の本職は忙しい時とそうでない時の差が大きいので、一概にどうとは言えないのも事実なのである。一方でラビは古物屋と細工師の二つの側面を持っているらしく、暇な時は掃除をして終わるが、忙しいとひたすらミシンや工具と向き合って日が暮れると言っていた。
呆れるラビへ苦笑いを向けると、私は大丈夫ですから、とそっとなだめる。
「そうかもしれませんけど…度を越した夜更かしは身体に毒ですよ」
「ふふ…そうですね。まあ何であれ、今日はきちんと寝ますけど」
私のことを心配して、不安そうにするところもまた可愛い。そう思ってつい微笑んでいると、釣られたのかラビも困ったように微笑みだした。
武器を片手に、ラビが辺りを見渡して確認する。そんなラビの後ろ姿を見つめながら、未だによく分かってはいないが、とにかく満たされた感情を抱く私がいる。
私がラビ以外とは滅多に組まなくなってから、早くも2ヶ月が過ぎようとしている。勿論、滅多に組まないと言うだけであって、たまの暇な日は組んでいることもある。ただそれでも間違いなく変わったと言えるのは、その後にお茶へ誘われても気乗りしなくなった、辺りだろうか。実際、もうずっと断りっぱなしだ。
「…明日はここでピクニック、でしたっけ」
「そうです。ふふ…ラビのお弁当、楽しみにしていますね」
「ミアさんは準備しないんですか?」
「しますけど…。私、自分で作るとセンスが壊滅的なのか、見た目が酷い事になってしまって。なので、明日は既製品を買っていこうかなって思ってるんです」
その気乗りしなくなった最大の理由が、ラビの存在である。ただし、彼女に申し訳ないとか、良心の呵責があるとか、そういう理由では全くない。単に、ラビが料理上手なのと、私がラビじゃないと嫌と感じるようになってしまったのだ。
前に少し散歩をした時、ラビがお菓子を作って持ってきてくれた事が何度かあった。それが見た目きれいな上に美味しく、あっという間にお茶しに行くぐらいならラビのお菓子をお供にお茶を飲みたい、と思うようになってしまったのである。
ラビと一緒でなければ嫌だ、というのは言葉の通りだ。元々私は、他人になど興味のきの字すら無いような人間である。今はラビが気になって仕方ない、というのもあるが、興味のない他人へ関心を向けるのが苦痛でしかたなく感じてしまうのだ。
…ラビは私が料理下手というのが意外だったのか、呆気にとられたような顔でこちらを見つめてくる。
「そんなに酷いんですか?」
「…友人から、美味しいけど食べる気にならないって言われたことがある程ですから」
「そ、それは…相当な気がしますね…」
一方で私は料理こそできても見た目的なセンスは壊滅的らしく、何らかの理由で他人へ料理をしなければいけなくなった時、ほぼ必ず見た目が悪いと言われてしまう。言われることが稀なのは、汁物やご飯そのもののような余程でもない限りは突っ込まれないようなものくらいである。
…そんなお弁当、ラビへ見せられるかと言われると流石に抵抗感があるので、明日は止めておくことに決めている。いつか、料理を振る舞うようなことがあったら…その時は、腹をくくるつもりではいるけれど。
「それにしても…ミアさん、お仕事大丈夫なんですか?こんな頻繁だと回らなくなるんじゃ…」
「平気ですよ。幾らでも融通なんてききますし、経過報告の為に二徹ほどするのは前からですから」
「二徹してる時点で駄目です…」
そう言って、ラビが呆れたように溜息をつく。とはいえ、私の本職は忙しい時とそうでない時の差が大きいので、一概にどうとは言えないのも事実なのである。一方でラビは古物屋と細工師の二つの側面を持っているらしく、暇な時は掃除をして終わるが、忙しいとひたすらミシンや工具と向き合って日が暮れると言っていた。
呆れるラビへ苦笑いを向けると、私は大丈夫ですから、とそっとなだめる。
「そうかもしれませんけど…度を越した夜更かしは身体に毒ですよ」
「ふふ…そうですね。まあ何であれ、今日はきちんと寝ますけど」
私のことを心配して、不安そうにするところもまた可愛い。そう思ってつい微笑んでいると、釣られたのかラビも困ったように微笑みだした。